シンカー:輸出は、これまでのIT関連財に加え、IoT・AI・ロボティクス・ビッグデータなどの産業変化もあり、データセンターや車載向けの部品などは増加を続けている。更に、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせるとともに、円安をともなう競争力の改善を反映して世界貿易に対する日本のシェアも上昇しているとみられる。雇用と冬のボーナスを含む賃金の拡大、株価上昇などによる消費者心理の向上もあり、個人消費にも勢いが出てきた。人手不足は深刻であり、需要の増加に対する供給の対応を整え収益機会を逸失しないため、企業は生産性を向上させることが急務となっている。そして、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。生産の増勢が、外需から内需を中心に裾野が広がってきているとみられる。好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりとしているとみてよいだろう。

SG証券・会田氏の分析
(画像=PIXTA)

12月の鉱工業生産指数は前月比+2.7%とかなり強く、11月の同+0.5%に続き、3ヶ月連続の上昇となった。

誤差調整後の経済産業省予測指数である同+1.8%を上回った。

10-12月期の実質輸出は前期比2.4%(7-9月期同1.9%)と好調である。

これまでのIT関連財に加え、IoT・AI・ロボティクス・ビッグデータなどの産業変化もあり、データセンターや車載向けの部品などは増加を続けている。

更に、日本が比較優位を持つ資本財が堅調な伸びをみせるとともに、円安をともなう競争力の改善を反映して世界貿易に対する日本のシェアも上昇しているとみられる。

1月の月例経済報告では、政府は個人消費の判断を「持ち直している」へ上方修正した。

外需に加え、雇用と冬のボーナスを含む賃金の拡大、株価上昇などによる消費者心理の向上もあり、個人消費にも勢いが出てきた。

年末商戦に向けた耐久消費財の作りこみ、輸出待ちの輸送機械を中心に在庫積み上げがみられ、10-12月期の鉱工業生産指数は前期比+1.8%(7四半期連続上昇)と7-9月期の同+0.4%から上昇が加速した。

年末商戦と外需動向に強気な姿勢で臨んだことは功を奏し、在庫(2ヶ月連続減少)は順調に出荷(2ヶ月連続増加)に向かったと考えられる。

誤差調整後の経済産業省予測指数は、在庫の積み上げの反動で1月は前月比-4.3%と弱い。

一方、2月の経済産業省予測指数は同+5.7%とかなり強く、在庫と出荷の動きの中で起こった変動であろう。

3月が横ばいだと仮定すると、1-3月期は前期比+1.3%と堅調な上昇の継続予想されている。

総選挙による連立与党の勝利を経て、政府は2020年までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」として「大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を総動員する」方針となり、投資活動を促進すると考えられる。

人手不足は深刻であり、需要の増加に対する供給の対応を整え収益機会を逸失しないため、企業は生産性を向上させることが急務となっている。

そして、新製品の投入などでの売上高の増加のため、設備投資と研究開発が拡大し始めている。

生産の増勢が、外需から内需を中心に裾野が広がってきているとみられる。

好調な内外需を背景に、生産の増加トレンドは引き続きしっかりとしているとみてよいだろう。

経済産業省は11月の結果で、生産の判断を「持ち直している」とし、前回の「持ち直しの動き」から上方修正している。

ソシエテ・ジェネラル証券株式会社 調査部
チーフエコノミスト
会田卓司