1月下旬、淘宝(アリババのC2Cサイト)にレンタルサービス「淘宝租賃」が登場した。これには、サムスン、ハイアールなど70ブランドの公式レンタル業務を含んでいる。また衣二三(婦人衣料レンタル)、藍拓(コピー機レンタル)など200にのぼるレンタル業者も、淘宝上での業務を開始する。ニュースサイト「今日頭条」が分析記事を載せた。阿里巴巴の狙いはどこにあるのだろうか。

シェアエコノミーの新段階

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(画像=Webサイトより)

中国のシェアエコノミーはどのように発展してきたのだろうか。「滴滴出行」「Uber」「airbnb」などのアプリが、人と人とをプラットフォームによって結び付け、新しい余暇を生んだ、これが第一段階である。シェアサイクル、シェア充電器などが、人とモノを結び付けた。これが第二段階である。そして今回の「淘宝租賃」こそ新しいシェアエコノミーの第三段階となるそうである。

「淘宝租賃」は、基本的なモノや設備においては“万物”をレンタルできるようにする。これはシェアエコノミーを第三段階へと発展させる基本となる。さらにシステムも、従来のレンタル業界とは大きく一線を画すものとなるという。

それは、「淘宝租賃」と「芝麻信用」(阿里巴巴旗下の信用調査会社)との提携だ。「芝麻信用」の格付けによって、保証金や頭金の有無や額が決まる。「芝麻信用」の消費者評価は、信用事故に対する強力な防波堤となる。第三段階は、個人信用システムの成熟によって可能となるのだ。つまりこれができるのは阿里巴巴のみ、ということになる。

淘宝租賃の顧客イメージ

「淘宝租賃」はどのようなレンタル生活をイメージしているのだろうか。それには以下の3点を挙げている

1 短期需要型消費……北京短期滞在の多い人や、頻繁に引っ越しを繰り返す人たちのために、適宜に家電や家具を貸出す。またベビー用品や玩具のような使用期間の有限なモノ。

2 試用型消費……データや経験を重視する人は、試食を好む。またスマホを選ぶときも、比較検討をして決めたい。服装についてもそうだ。希望にぴったりフィットしたモノ以外には、金を払いたくない。そうした状況においてレンタルはよい解決法となる。

3 低頻度シーン型消費……礼服、結婚衣装、スーツ、ブランドバッグなど、1回または2回しか使わないモノ。

「淘宝租賃」は、主力をこの需要に設定している。

“万物借りられぬ物なし”で1兆元市場を創出へ

最後に“万物借りられぬ物なし”をうたう「淘宝租賃」の商品ラインアップをみてみよう。(1元=17.16日本円)

Apple iPhone X(64GB)……1カ月 475元。
高空まで飛べる熱気球 ……1日当たり 699.9元。
海南島の豪華クルーザー(海天盛宴という年4日のお祭り期間中、パーティー付き)……1日当り10999.9元。
破損したキャリーケース(弁償請求される心配なし)……1日当り 50元。
VR一体機(自分だけのVIP映画館)……1日当り 25.5元。
古い琴(匠の製作した伝統の音色)……1日当たり 15.5元。

なかなかバラエティーに富んでいる。

「淘宝租賃」は、90后(1990年代生まれ)に期待をかけている。収入が高くない上に消費習慣は開放的だ。消費後もモノを占有したい心理に縛られない。自らの個性と多様性を大切に考えている。立派な外面を重視する、年長世代とは明らかに異なっているからだ。

「淘宝租賃」は社会資源を最大限効率利用することによって、1兆元市場を創出したい、と壮大な夢を語っている。その成否のカギは、90后以降の若い世代が握ることになりそうである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)