目次
はじめに
中国最大の電子商取引企業アリババグループ (阿里巴巴集団)。1999年に「アリババ・コム」を立ち上げたのを機に、「タオバオワン(淘宝網)」「Tモール(天猫)」「アリエクスプレス(AliExpress)」「1688コム 」など、多数のマーケットプレースを次々に市場に送り込み、瞬く間に国際舞台にのし上がった。
アントフィナンシャル・サービスグループ(蟻金融服務集団)で金融・決済市場、ツァイニャオ・ネットワーク (菜烏網絡)で物流市場にも参入しているほか、近年はAI(人工知能)・クラウド分野や医療分野への進出にも力を入れている。クラウド市場ではすでにグーグルやマイクロソフト、アマゾンといった欧米の大手IT企業を、成長率で上回っているというから驚きだ。
そんなアリババグループの強さの秘密と実情に迫ってみたい。
中国市場を牽引するグループ各企業
アリババグループには、ネットショップを中心に、さまざまな企業があり、今も事業を拡大し続けている。そうしたアリババグループを支える中心的な企業を紹介していこう。
「アリババ・コム 」―― B2Bオンライン・マーケットプレース
アリババを世界の表舞台に押し上げたのは、なんといってもネットショッピング関連のeコマース事業だろう。2017年第2四半期報告によると、過去1年のeコマース事業の売上高は464.6億元(約7982.9億円/前年比63%増)。利用者数は前四半期から2000万人増え、5.49億人に達した。
アジア地域だけではなく世界中で最も認知度が高いのは、やはり「アリババ・コム」だろうか。世界200カ国・地域のビジネス顧客(卸売業者、小売業者、仲介業者、製造業者、中小企業、など)が利用する国際B2Bオンラインマーケットだ。
「1688コム」は国内取引を対象としており、工場直営の商品が卸値で買えるという点が最大の魅力だが、中国語が堪能でない人は万が一問題が生じた場合のことなどを考えると、どうしても二の足を踏むだろう。輸入代行業者に頼むという手もあるが、手数料や手間がかかることはいうまでもない。
国内業者は「1688コム」で仕入れた商品を、同じく国内取引に焦点を絞った「タオバオワン」で売りさばくというパターンが多いようだ。