中小企業の経営者が不慮の事故や病気などに見舞われ、急死した場合を考えたことはありますか?このような場合、事業の継続は行き詰まることが多くなります。「2017年版中小企業白書 概要」によると、倒産件数は減少しているのに、経営者の年齢は高齢化し、休廃業・解散した企業数は過去最多となっています。また、休廃業・解散した企業の中、経営者が60歳代以上、80歳代以上の割合は過去最高でした。

中小企業で「事業承継」がスムーズに進まないと、今後の日本経済の成長も滞ってしまう可能性があります。そこで、事業承継について、いざという時に役立つ相談先を紹介します。

中小企業の事業承継で頼れる相談先

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(画像=I Believe I Can Fly/Shutterstock.com)

「事業承継」に関する中小企業の悩みは、実にさまざまです。例えば、書類は何を用意すればいいのか、小さな会社でも事業承継をするメリットはあるのか、個人の相続はどうなるのか、後継者の立場から事業承継にどう向き合えばいいのか……。

中小企業では、会社の土地や建物と自宅が一体になっているなど、経営者の個人資産が重要な経営資源の場合も多くあります。また、事業承継を進めるためには、個人資産への担保設定や経営者の個人保証、経営者個人の借入れなど、相続や贈与などの税務・会計知識が必要となってきます。

経営者が亡くなると、相続税を払うために経営者の株式を売らざるを得ないケースや、経営権を左右する株式の半分以上が第三者に渡ってしまう場合も稀ではありません。後継者への事業用資産や自社株の譲渡などに関しても、中小企業の経営者が事業承継に備えておくべき重要な課題です。

適切な事業承継を行わず、後継者が経営を引き継げない場合、会社は廃業や倒産の憂き目を見てしまいます。事業承継の事前準備をしていれば、労力を軽減し次の世代で再生したり、加速度的な成長に繋げることも可能なのです。

以下に、中小企業の事業承継で、相談サービスや有益な情報提供をしている相談先をご案内します。

1. 一般社団法人「東京 事業承継相談センター」

事業承継や相続対策などに詳しい税理士や司法書士、弁護士のほか、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家が相談に応じます。ここでは株式の集中をはじめ、相続税や遺言、登記などの対策をワンストップで行えるのが魅力です。

経営者が元気なうちに、事業承継や相続対策をしっかり煮詰めておくことが大切です。まずは後継者を決めて、事業用資産や株式を後継者に集中させ、不動産名義の変更や遺言など、様々な法的手段を用いることで事業承継は確実となります。

相続税の対策で専門は税理士ですが、資産や株式の集中への対策で最適なのは実はファイナンシャル・プランナーなのです。

事業承継や相続対策では、総合的な法律面での相談・確認は弁護士、不動産や商業登記のほか、遺言は司法書士、というように複数の専門家に依頼する必要があります。何より現場を知り尽くし、経営者と一緒になって進めてくれる専門家がベターです。

事業承継相談センターは、これまで事業承継や相続にまつわる数多くの相談を手掛けてきた実績を誇り、相談や問合せは下記のオンラインにあるフォームから無料で24時間受付けています。対面での初回相談も無料です。

一般社団法人「東京 事業承継相談センター」

住所:〒160-0022東京都新宿区新宿2-11-2 カーサヴェルデ4F
電話:0120-401-624
営業時間:9:00~20:00(土日祝日も可)
アクセス:都営新宿線、東京メトロ丸の内線、副都心線「新宿三丁目」駅C8出口から徒歩2分
ウェブサイト:http://www.jigyosyokei-sodan.or.jp/

2. 中小企業庁

中小企業庁設置法第1条「目的」にあるように、中小企業を育成、発展させ、経営を向上させるに足る諸条件の達成を任務としています。具体的には、下記のような業務を行っています。

・ 育成、発展を図るための基本となる方策の企画及び立案
・ 経営方法の改善、技術の向上、経営の向上
・ 新たな事業の創出
・ 取引の適正化
・ 事業活動の機会の確保
・ 経営の安定
・ 円滑な資金の供給
・ 経営に関する診断、助言、研修
・ 交流、連携、組織に関すること
・ 経営に関する相談、行政に関する苦情、意見の申出、照会につき、必要な処理や斡旋

以上のように、幅広く中小企業の経営に関する様々な相談に専門家が応じています。

中小企業庁

住所:〒100-8912 東京都千代田区霞が関1丁目3番1号
電話:03-3501-1511(代表)
ウェブサイト:http://www.chusho.meti.go.jp/soudan/index.html

3. 公益財団法人「東京都中小企業振興公社」

東京都内の中小企業のための総合支援機関で、事業承継や再生など企業のあらゆるステージに対し、豊富な支援メニューを揃えています。事業承継や後継者問題に悩む中小企業のために、相談対応や助言、提案を主とした支援事業を行い、これまでに多くの相談実績があります。相談の秘密は厳守です。

特徴は複数の支援スタッフが1回あたり2時間かけて相談に乗ってくれることです。必要に応じて複数回や多角的に経営課題を捉えるため現地訪問も実施しています。公正で中立な第三者的立場から客観的判断を行い、事業承継の方針や計画の策定などを企業と共に進めています。

M&Aや相続税などに関しては、必要に応じて各分野の専門家である公認会計士や税理士などを派遣することも可能です。なお、同公社では相談企業の代理人としての手続きや交渉などは一切行っていません。

・ 必要書類
直近3年分の決算書類(写)、商業登記簿謄本、不動産登記簿謄本、直近の月次試算表、定款、会社案内。なお、予約時に別途書類が必要な場合あり。

・ 利用方法
都内の中小企業者に限り、予約制。相談無料。相談者は経営者または後継者など経営責任者に限る。

・相談方法
平日の午前9時から午後5時までに(年末年始を除く)下記へ電話、または「相談申込書」に必要事項を記入のうえメールで送る(要予約)。

電話:03-3251-7882(事業承継・再生支援事業担当宛)
E-mail:sien@tokyo-kosha.or.jp

公益財団法人「東京都中小企業振興公社」

住所:〒101-0025 東京都千代田区神田佐久間町1-9
電話:03-3251-7882(総合支援課)
FAX:03-3251-7888
ウェブサイト:http://www.tokyo-kosha.or.jp/

4. 弁護士・法律事務所

中小企業の「事業承継」に関する相談では、弁護士や法律事務所の対応も的確です。適切な後継者を選び、スムーズに事業承継できる法的な手続を任せるには最適です。主に、会社法や相続関連の事案をメインに手掛ける弁護士や法律事務所なら、中小企業の事業承継や後継者問題への解決に対応しています。

インターネットで検索するか、各都道府県の弁護士会などに問い合わせると、紹介もしてくれます。一般的に敷居が高い弁護士ですが、費用などについても事前に確認すれば安心です。(提供:あしたの人事online


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