先週(1/29〜2/2)の東京為替市場で円は4週ぶりに反落、東京インターバンク間の17時のドル円レートは前週末比74銭円安の109円78銭で終えた。
ムニューシン米財務長官の円安容認発言に反応して、26日の海外市場でドル円は108円28銭と17年9月11日以来4ヶ月ぶりの円高、ユーロは対ドルで3年ぶりの高値水準をつけた。米金利が上昇しており、通常なら日米金利差拡大から円安に振れるはずなのだが、米金利上昇にもかかわらずドル安・円高に振れていた。ただ、トランプ大統領やムニューシンがドル安容認を否定したことで、ドル円は26日をピークに反発局面に入った。2日のNY市場では110円台を回復している。
米長期債利回りは1日には2.79%、2日には2.85%まで上昇14年1月以来4年ぶりの高水準になった。2日の雇用統計で非農業部門雇用者数が20万人とコンセンサスの18万人を上回り、平均賃金が前年度2.9%増と09年以来の高水準に達した。インフレ率が加速しFRBの利上げペースが速まるとの思惑と、米国のリフレ政策で債券発行が増加するとの見方から債券売りが止まらない。
2日のNYダウは665ドル(2.5%)安と急落した。下げ幅はリーマンショック時の08年12月1日以来9年ぶり。下げ率は16年6月BREXIT以来となった。トランプ政権下では最大だった。株と債券のボラティリティが上がっているのに比べ、為替の反応は限定的。通常リスクオフなら円高に振れるところが2日は円安が進み110円台を回復した。
株式、債券市場のボラティリティ上昇は大きな機関投資家かヘッジファンドがポジションシフトをしたことが主因とみられる。為替市場で雇用統計後は、日米金利差拡大からの円安と教科書通りの動きとなった。米株と債券が落ち着つくのならば108円から114円のボックス圏内での円安にトライする局面だと見ている。
先週(1/29〜2/2)の振り返り
29日の東京為替市場で円は反発、17時のドル円レートは前日比10銭円高の108円94銭だった。ダボス会議での黒田日銀総裁のインフレターゲットが近づいているとの発言で一時108円51銭まで円高が進む局面があったが、米国債の夜間取引で米長期金利が上昇、30日にトランプ大統領の一般教書演説や週末に雇用統計を控え方向感がでなかった。
30日の東京為替市場で円は続騰、17時のドル円レートは前日比18銭円高の108円76銭だった。米長期金利の上昇を懸念しNYダウが177ドル安となり、日経平均も337円(1.4%)安と急落。下げ幅は17年12月6日以来の大きさだった。日経平均は長期サポートラインである25日移動平均線の2万3499円を下回ると下げが加速した。米長期債利回りは一時2.73%まで上昇した。株安、債券安を懸念して円高が進展した。
31日の東京為替市場で円は小幅ながら3日続伸、17時のドル円レートは前日比6銭円高の108円70銭で引けた。日銀が国債買い入れオペで、短期の買い入れ額を増額、テーパリング懸念の縮小から円安となり一時109円09銭をつけた。トランプ大統領の一般教書演説はインフラ投資増を掲げたがコンセンサス通りでサプライズはなかった。
1日の東京為替市場で円は4日ぶりに反落、17時のドル円レートは前日比90銭円安の109円60銭だった。6日続落となっていた日経平均が大幅反発し投資家心理が改善、リスクオンの円安となった。一時109円63銭の安値をつけた。
2日の東京為替市場で円は続落、17時のドル円レートは前日比18銭円安の109円78銭だった。日銀は固定利回りで債券を無制限に買い入れる指し値オペを実施し、テーパリング懸念の払拭から円安が進んだ。ドル円は一時109円83銭とほぼ高値圏で商いを終えた。
先週の海外市場を振り返る
米国市場で長期債利回りの上昇が止まらない。2日の米1月雇用統計で非農業部門雇用者数は20万人増とコンセンサスの18万人を上回り、平均時給が前年同期比2.9%増と09年以来の高い伸びとなった。米国のインフレ率が上昇し、FRBの利上げペースが加速するとの懸念から米長期債利回りは2.85%と14年1月以来の4年ぶりの水準に上昇した。年初の水準は2.4%程度だった。
金利上昇は、株式にはネガティブ要因。特に今回は上げが急なだけに株式市場も下げ足を速め、NYダウは665ドル(2.5%)安と急落した。下げ幅はリーマンショック時の08年12月1日以来9年ぶり。下げ率は16年6月BREXIT以来でトランプ政権下では最大。債券、株式のボラティリティが上昇する一方、為替は円安で反応した。
2日のNY市場でドル円は110円20銭と1月24日以来の110円台を回復した。前日比75銭の円安だった。東京2日の17時比では44銭円安だった。
先週は、米金利上昇がNY株安、ドル安・円高に反応することが多かったが、2日米金利上昇で日米金利差拡大から円安と教科書通りに動いた。円高に反応していないということは、市場全体のリスクオンというよりも、一部の大手機関投資家かヘッジファンドが株から債券にポジションをシフトしたと考えるのが妥当だろう。資金シフトが終了すれば市場は一旦落ち着きを取り戻す可能性が高いと見ている。
今週(2/5〜9)の為替展望
今週のドル円の予想レンジは109円30銭から111円33銭のレンジを想定している。円高はムニューシンのドル安容認後の1月26日の108円28銭で反転した。その後は、米金利上昇に対し、日米金利差拡大から円安へと教科書通りの動きとなっている。
黒田総裁のダボス発言など市場は日銀のテーパリングに神経質であるが、先週は日銀が買い入れオペで緩和姿勢を継続した。市場が落ち着き円安になると考えるのが妥当だろう。
ドル円のサポートは5日移動平均線の109円30銭、これをブレークすればまた1月26日の108円28銭にトライする可能性はある。レジスタンスは1月17日戻り高値の111円33銭。これをブレークすれば20日移動平均の110円43銭だろう。
今週のイベントは、日本ではほとんど重要なイベントはない。世界では3日でイエレンFRB議長任期満了。パウエル議長が4日に就任。8日に米中央銀行金融政策発表、9日に第23回冬季オリンピック平昌大会開幕。先週に比べれば大きなイベントは少ない。
今週の経済指標は、日本では6日に車名別新車販売台数、7日に景気動向指数、勤労統計、8日に対外対内証券売買、景気ウォッチャー、国際収支、都心オフィス空室率、9日にマネーストックがある。海外では5日の米ISM非製造業景況指数、6日に米貿易収支、8日中国貿易収支、9日に中国消費者、生産者物価指数がある。(ZUU online 編集部)