先週(1/29〜2/2)の日本株は続落、日経平均は週間で357円35銭(1.5%)安の2万3274円53銭で引けた。
日経平均は、NY株高、好決算期待から23日に2万4124円15銭と91年11月15日以来の2万4000円台を回復した。その後は、米長期金利の上昇、円高、NY株の高値波乱から、日経平均は6日続落で1000円を超す下げとなり年初来安値を更新、1月の上げ幅を失った。2月1日には月初の株高のアノマリーで一旦反発したものの、米金利上昇に対する警戒感から2日には再び下落した。2日のNY市場が665ドル(2.5%)安と急落しており、今週の日経平均も波乱含みだ。2月9日にミニ先物、オプションのミニSQを控え、ボラティリティが高まる可能性が大きい。
米国市場では株の上昇が1月で10ヶ月連続。これは59年ぶりで、上げスピードの速さに警戒感が出つつある。2日には米長期債利回りが4年ぶりの2.85%まで上昇しており、NYダウは665ドル安と下げ幅はリーマンショック以来、下げ率はBREXIT以来の大幅安を記録した。
今まで適度な経済成長と適度な金利上昇であるゴルディロックス(適温)相場が世界株高を支えてきたが、金利上昇に警戒信号がともっている。大手機関投資家が株から債券への大きなポジションシフトをしたとの観測が強い。
今週の日本株は米国株、米金利動向を見ながら神経質な展開となりそうだ。SQ週はオプションのデルタヘッジで相場のボラティリティが上がる傾向があるので注意したい。
もっとも、米金利、米株が落ち着くなら、日本株も戻り歩調が期待される。日本企業の17年10-12月期の決算発表は現状では予想を上回っており、日経平均採用225社の今期予想EPSは2月2日時点で1541円と12月末の1511円から切り上がってきている。EPSで30円の上昇は、PER15倍として日経平均のPERでの理論値が450円上がったことになり、見直し買いが入る可能性もあるだろう。当面は好業績株、金利上昇時でも業績への影響が少ない新興市場などの小型成長株中心の個別銘柄物色となりそうだ。
先週(1/29〜2/2)の振り返り
29日の日経平均は小幅ながら4日続落、前週末比べ2円(0.0%)安の2万3629円で引けた。前週末のNYダウが223ドル高で過去最高値更新、日本株もギャップアップして始まり一時150円以上上げていたが、108円台半ばの円高に加えて中国などアジア株に売りが広まったことで日本株も上げ幅を急激に縮小した。上方修正したファナックが一時下げに転じたことも市場のセンチメントを悪化させた。
30日の日経平均は5日続落、前日比337円(1.4%)安の2万3291円で引けた。下げ幅は17年12月6日以来の大きさだった。米長期金利の上昇を懸念し、NYダウが177ドル安となり、日経平均が長期サポートラインである25日移動平均線の2万3499円を下回ると下げが加速した。108円台の円高が続いており、アップルがiPhoneXを減産すると伝わり大手ハイテク株に売りが広まった。日銀が735億円のETF買いを執行したが効果は限定的だった。
31日の日経平均は6日続落、前日比193円(0.8%)安の2万3098円で引けた。6日続落は2017年11月8〜15日以来、下げ幅は1025円に達し、引け値ベースでの年初来安値をつけた。NYダウが362ドル安と続落、2日で500ドルを超す下げとなった。米金利上昇、円高傾向が続いており、日本株にも利益確定の売りが拡がった。月末とあって国内機関投資家からまとまったロットの株式売りが入った模様で、東証1部の売買代金は3兆6324億円と今年最高だった。
1日の日経平均は7日ぶりに反発、前日比387円(1.7%)高の2万3486円で引けた。米株が3日ぶりに反発、ドル円も109円台に回復した。日経平均は今まで月初の上げが19ヶ月続いていることも反発のきっかけとなったようだ。もっとも大幅上方修正発表の任天堂が一時前日比マイナスに転じるなど好調な企業業績はある程度織り込まれているとの懸念も拡がった。
2日の日経平均は反落、前日比211円(0.9%)安の2万3274円で引けた。米長期債利回りが2.79%まで上昇し警戒感が広まり、米VIX指数、日経ボラティリティ指数(VI)などが上昇してきており、米雇用統計を控え持ち高の調整売りが広まった。日銀が今週2度目となるETFの735億円の買いを執行したため後場は下げ渋った。
先週の海外市場を振り返る
米国市場で長期債利回りの上昇が止まらない。2日の米1月雇用統計で非農業部門雇用者数は20万人増とコンセンサスの18万人を上回り、平均時給が前年同期比2.9%増と09年以来の高い伸びとなった。米国のインフレ率が上昇し、FRBの利上げペースが加速するとの懸念が広まり、米長期債利回りは2.85%と14年1月以来の4年ぶりの水準に上昇した。年初の水準は2.4%程度だった。
金利上昇は、株式にはネガティブ要因。特に今回は上げが急なだけに株式市場も下げ足を速め、NYダウは665ドル(2.5%)安と急落した。下げ幅はリーマンショック時の08年12月1日以来9年ぶり。下げ率は16年6月BREXIT以来でトランプ政権下では最大。週間では5週ぶりの下落となり、週間の下げ幅は1095ドル(4.1%)に達した。週間で1000ドルを越す下げは16年1月の中国ショック以来。
恐怖指数とも言われる米S&P500指数のボラティリティ指数であるVIXは17.31と前日比29%高で年初来高値を更新、16年11月8日のトランプショック時以来となっている。一般的には20を超えると危険水域と言われる。
2日のNY市場でドル円は110円20銭と1月24日以来の110円台を回復した。前日比75銭の円安だった。東京2日の17時比では44銭円安だった。
先週は、米金利上昇がNY株安、ドル安・円高に反応することが多かったが、2日米金利上昇で日米金利差拡大から円安と教科書通りに動いた。円高に反応していないということは、市場全体のリスクオンというよりも、一部の大手機関投資家かヘッジファンドが株から債券にポジションをシフトしたと考えるのが妥当だろう。
資金シフトが終了すれば市場は一旦落ち着きを取り戻す可能性が高いと見ている。
今週(2/5〜9)の株式展望
今週の日経平均の予想レンジは2万2759円〜2万3545円を想定している。日経平均は長期サポートである25日移動平均を31日に下回った。31日には5日移動平均線が25日移動平均線とデッドクロスもした。チャート的には上値が重い展開となる。下値は心理的抵抗戦である2万3000円。もっともミニSQを控えて相場はヘッジ商いでオーバーシュートする可能性がある。下抜けた場合は75日移動平均線である2万2759円がサポートとなるだろう。
日経の予想EPS1541円のPER15倍が2万3115円であり、2万3000円割れでは押し目買い意欲が強まると予想している。相場の上限は25日移動平均の2万3545円。NYダウと金利が落ち着きドル円が110円で推移し、25日移動平均線を奪回するようなら、相場の強さを再確認する形となろう。
今週のイベントは、日本ではほとんど重要なイベントはない。世界では3日でイエレンFRB議長任期満了。パウエル議長が4日に就任。8日に米中央銀行金融政策発表、9日に第23回冬季オリンピック平昌大会開幕。先週に比べれば大きなイベントは少ない。
今週の経済指標は、日本では6日に車名別新車販売台数、7日に景気動向指数、勤労統計、8日に対外対内証券売買、景気ウォッチャー、国際収支、都心オフィス空室率、9日にマネーストックがある。海外では5日の米ISM非製造業景況指数、6日に米貿易収支、8日中国貿易収支、9日に中国消費者、生産者物価指数がある。
決算発表では、5日のパナソニック、スズキ、三菱商事、6日のJT、トヨタ、重工、7日のソフトバンク、地所、8日の大成、住友商事、日産、住友金属鉱、9日のNTT、東レ、三井不などが注目。米決算では、6日のGM、ギリアド、7日のウォルトディズニー、9日のAIGなどが日本市場にも影響が大きい。(ZUU online 編集部)