不動産投資で複数の物件を運用したり、一棟マンションにチャレンジしたりするようになって、ある程度収益が上がると、「法人化」という言葉がよぎり始めるでしょう。「法人化で節税」と言われることもありますが、この「法人化」とはどういうことなのでしょうか。資産管理会社を立ち上げるタイミングやメリットと併せて紹介していきます。

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(写真=PhuShutter/Shutterstock.com)

不動産投資の法人化は節税につながる

不動産投資の法人化が勧められる理由に、「個人と法人の税率の違いを利用した節税ができる」という点があります。

日本の所得税は累進課税制を採用しており、収入が高いほど税負担が重くなります。個人の場合、年収695万円超~900万円以下だと、所得税の税率は23%で、900万超~1,800万円以下だと33%、1,800万超~4,000万円以下で40%となります。

さらに、4,000万円を超えると最高税率の45%に達し、これに復興特別所得税0.945%(復興特別所得税率=所得税率(%)×2.1%)や個人住民税、個人事業税を加えると、最高で約60%以上もの税が課せられることになります。

一方で、法人税の最高税率は23.4%。しかも平成30年4月1日以降に事業開始する法人に対しては、最高税率が23.2%に引き下げられます。ただし、法人税には実効税率という考え方があり、平成30年度で実効税率は34.59%(中小法人)となります。(大法人は29.74%)

もちろん、法人を設立するには登記や設立の手続きにお金がかかりますし、決算申告も複雑になるので、税理士に依頼する必要が出てきます。こうした諸費用と税率の違いを勘案して、利益が出る場合には資産管理会社を立ち上げて法人化したほうがよいでしょう。

法人化の目安は家賃収入が1,000万円超?

よく、法人化の目安は「家賃収入が1,000万円超」だと言われます。法人税の実効税率が34.59%とすると、個人所得税が40%のラインに到達するようであれば法人化を検討した方がよいでしょう。サラリーマン大家の場合、家賃収入が1,000万円超あるような人は、さらに本業からの収入を合算すると、個人所得税は40%以上のラインとなるでしょう。こうしたことから、目安は1,000万円と言われていると考えられます。

「経費」や「報酬」を活用して節税

また、法人化すると「経費」や「報酬」を活用してさらに節税することができます。不動産経営に必要な諸費用を経費として節税できるほか、法人化すると、家族を役員にして、賃料収入から「報酬」を支払うことができるからです。オーナー1人の所得とするよりも、家族を役員にして報酬を支払ったほうが1人あたりの個人所得税が節税できますし、後々の相続を考えたときも、相続税の大幅カットにつながります。

副業が禁止されている場合は配偶者を代表に

ただし、なかには副業が禁止されている職場もあるでしょう。とくに、公務員は法律で副業が禁止されています。

公務員でも、10室以下の区分マンション所有や、転勤での自宅賃貸などで賃貸収入が年間500万円以下の場合などは、事業規模とみなされず不動産経営ができます。ただし、資産管理会社を立ち上げるレベルとなると、法律違反となってしまいます。

そうした場合には、配偶者を資産管理会社の代表者とするという方法があります。国家公務員法に抵触しないよう、資産管理会社からの収益はすべて、報酬として配偶者に支払われるようにしましょう。ただし、資産管理会社の株式すべてを配偶者の所有としてしまうと、物件を購入するときに銀行からの融資が引き出せなくなる恐れがありますので、注意が必要です。

不動産からの収益をコントロールして節税

このように、資産管理会社を設立し、税率の違いや経費、報酬といった法人ならではの仕組みをうまく活用することで、不動産からの収益をコントロールし、節税につなげることができます。初心者にはまだ気が早いかもしれませんが、不動産経営の知識として、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。(提供:不動産投資セミナー

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