B /Sをうまく利用する


○保険をB/S上で分析しよう

さて、単年度の収支を理解したあとで、数十年という長い時間軸の話しに移りましょう。財務諸表には「賃借対照表」と呼ばれるものがセットになっています。B/S、つまりバランスシートの「BとS」を意味しており、個人の財産を「資産」か「負債」に区分けし、長い目で見るのが特徴です。

もし、保険を「資産」と考えて、数十年保険料を払い続けるならば「資産」として有効な保険に加入しなければ意味がありません。まずは保険料と保険期間をチェックするのが一番です。例えば、年間の保険料が100万円、保険期間が30年としましょう。もし金利0の銀行預金ならば、30年後に3000万円の資産が出来ているはずです。

もし、あなたが保険に加入し、30年後に仮に3100万円の満期保険金を受け取るか、解約返戻金を仮に3100万円受け取ることができれば、「資産」として保険をうまく利用したことになります。(つまり、保険は金利がある商品だ、ということです)ですが、30年後に満期保険金も解約返戻金も0円、死亡保険金もなくなってしまったとしたら、いままでの支払い額の3000万円は「負債」となってしまうのです。


保険商品をマネーバランスに生かす


保険に加入する場合、ほとんどの人が2万円、3万円と月々支払うことになります。それもP /Lで考えているため、これから先の総支払額やリターンなどには無頓着です。ですがB /S上、保険ほどさまざまな貯蓄性を持ち、資産となる商品はありません。銀行での住宅ローンや学資ローンは新たな「負債」ですが、保険からの借り入れは「貯金の取り崩し」と内容は変わらないのです。

生命保険で「貯蓄」を考えるならば、20年、30年という長い時間で育てていく商品と考えるのは非常に有効です。有価証券や株式と同時に、長期形成資産として、保険商品を考えてみるのもよいでしょう。


可視化することで、見えて来るものとは


保険は生きているうちに使える「資産」形成として、再注目を浴びています。それには、従来の保険料=支払額という考え方ではなく、保険料=貯蓄額という見方が必要です。金融商品の内容と自分の資産形成方法を可視化していくことで、さまざまな人生の金融リスクに対応するスキルが身に付きます。死亡リスクに特化するか、貯蓄リスクにも対応するかを可視化することで、よりいっそう効果的な保険加入が実現できるでしょう。