携帯電話や家電などの廃棄物をリサイクルし、貴金属として再活用する「都市鉱山」に注目が集まっている。2020年の東京五輪で入賞メダルを製造するための金属回収が進む中、金やプラチナといった貴金属の市況が海外で底打ちし始めていることも見逃せない。
電機製品を都市に眠る鉱物資源ととらえてリサイクルする活動は、1980年代から提唱されてきた。近年では、レアメタル(希少金属)などの価格上昇によってより関心が高まっている。国立研究開発法人物質・材料研究機構の調査結果(08年)では、日本の都市鉱山にある金は世界の埋蔵量の約16%を占める。
家電のリサイクルは進んでいるものの、電子ごみの増加ペースには追い付けていないのが現状だ。政府は13年に小型家電リサイクル法を施行して貴金属の再活用を促してきたが、一段の浸透を目指して地方自治体にリサイクル回収に関する手引書を配布する方針だという。
東京五輪に向けても、電子機器や携帯電話から取り出した金属で5000個のメダルを作るプロジェクトが進行している。東京都は回収を呼び掛け、公共施設などに小型家電の回収ボックスを設置している。
一方、米長期金利の上昇が世界的なインフレムードを形成し、ヘッジ目的で金の価格が上昇している。指標となるNY先物相場(4月物)は今年に入り一時4%上昇。プラチナも値上がりしている。
本命リネットJ
貴金属リサイクルの松田産業(7456)は、顧客の半導体業界の活況を受け今3月期の連結営業利益が前期比35%増の40億円に拡大する見通し。株価は07年のピークへ向けた戻り高値を更新し、上昇に弾みが付いてきた。アサヒホールディングス(5857)やエンビプロ・ホールディングス(5698・(2))、フルヤ金属(7826・JQ)も金属リサイクルを行う。
リネットジャパングループ(=リネットJ、3556・M)は、インターネットと宅配便を活用した都市鉱山リサイクルを展開する。同社のサービスは全国137自治体で採用されている。関連銘柄では代表格に位置付けられ、今後も相場が盛り上がる可能性は高い。電子部品からの貴金属回収ではアサカ理研(5724・JQ)もおなじみの銘柄だ。
穴株にポラテクノ、要興業
穴株としては、ポラテクノ(4239・JQ)と要興業(6566・(2))に注目したい。ポラテクノは金属成分の回析に使うX線分析装置の部材を手掛け、今後の需要急増が期待される。要興業は、東京都区部で廃棄物の収集運搬を行う。都市鉱山の回収機会も多く、隠れた関連銘柄として面白い存在だ。(2月2日株式新聞掲載記事)
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