日経平均予想レンジ21,190~21,842円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週はNYダウが過去最大の下げ幅となり、リスク回避の流れが東京市場にも波及した。日経平均は、2017年10/13以来21,078円まで売られる場面が見られた。6日には米国株が上に転じ、世界的な連鎖安に一旦歯止めがかかったとの見方が広がり、一時22,300円台への自律反発を見せた。その後は、米国市場の不透明感が再燃し不安定な動きの中、週末は21,382円で終了した。

海外の焦点

米株式市場では、1月雇用統計でインフレ指標とされる平均時給が前年同月比2.9%上昇と8年7カ月ぶりの大きな伸びとなったことで、FRBによる利上げペースが加速するとの警戒感からリスク回避の売りが広がった。

NYダウは週初1,175ドル安した後、一旦戻りを見せたものの早期の英追加利上げ観測をきっかけに、再び売り込まれ11/28以来23,849ドルまで下落した。米国株はこれまで金利上昇を無視して上がってきたが、投資しやすいゴルディロックス(適温相場)の終わりが意識され始めたとの見方が広がっている。

もっとも、年初から急上昇してきた米株式相場に対しては、かねてより過熱感が指摘されており、FOMC、雇用統計をきっかけとした利益確定売りの格好の材料とされた面が強い。従って、今後は景気拡大と金利上昇局面を見据えた巡航相場に転換する可能性が強いと考えられる。

国内の焦点

決算発表が本格化する中、為替相場は108円台後半にとどまり、足元の決算発表では日経225銘柄の1株当たりのEPSは1,621円(2/8)に上昇してきた。一段の円高にならない限り、国内企業業績に与える影響は過度に心配する必要はない。又、米10年債利回りはピークの2.88%から2.824%台に下がるなど上昇一服になっており、需給面での解消が進むことで金利情勢は落ち着きを取り戻してくると考えられる。

テクニカル面では、年初来高値24,124円(1/23)から急落した2/6安値21,078円までの下落率12.62%は正常な調整の範囲内と受け止められる。

フィボナッチ比率61.8%押しの21,107円に到達したことで、値幅調整は達成感が出た。更に2/9には21,119円まで下落し、2/6との2点底から短期的なダブルボトムが形成された。2月SQ値21,190円を終値が上回ったことで底入れムードの高まりが期待される。

来週の株式相場

以上、来週の相場は、日本株には米国株程割高感はなく、中期的な株高トレンドは変わらない。値幅調整一巡から下げ過ぎた好業績株の個別株物色中心に、全体は日柄調整に移行する相場展開と捉えている。日経平均のレンジは、上値は5日線21,842円が意識され、下値は2月SQ値21,190円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト