昨日の海外時間には、NYダウが続伸して、原油相場も上昇するなど全般的にリスク選好の動きになりましたが、円売りは強まらず、ドル円は上値の重い展開が続いています。

◆今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

昨日のNY市場では、NYダウが306ドル高と5日連続で上昇しましたが、米長期金利がやや低下したこともあって、ドル円は上昇してもすぐに反落する流れが続きました。先ほど政府は、日銀執行部人事で、黒田総裁の再任と雨宮理事の副総裁昇格、若田部早大教授を副総裁に充てる人事を提示しました。予想の範囲内の人事だったことから相場に大きな影響は与えていません。リスク選好でも円が売られない状況が続いているのは、ひとつには、長年積みあがってきた円売りポジションの解消が進んでいないことと、オリンピック終了後の東アジアの地政学的リスクの懸念があるからかもしれません。

リスク回避が後退していることで、ユーロドルなどドルは全般的に売られています。通常のリスク選好局面では円も売られ、ドル円は底堅くなるのですが、現在はまだそうなっていませんその結果ドル円は上がりにくくなっています。さきほどご紹介したようなポジションの状況が変わるためにもう一段の下落か、時間の経過が必要かもしれません。

◆ドル円ショート継続

一昨日107.40円で成立したドル円のショートを引き続き保有中です。損切りラインを107.00円において105円台での利食いを狙います。

◆昨日の市場動向

欧州時間序盤、欧州株が高く寄り付いたことからユーロ買いが強まって、ユーロドルは1.2510付近まで、ユーロ円は133.00円台まで上昇し、ドル円は106.10円台まで下落しました。しかし欧州株が寄付きからの上昇を縮める展開となるとドル買いが優勢となって、ユーロドルは1.2460台まで反落し、ドル円は106.70円台まで上昇しました。この間ユーロ円は132.70円台まで下落したあと133.20円台まで上昇しています。

NY時間にはいって、NYダウが寄付きの上昇幅を縮める中米長期金利が低下すると、ドル売りが優勢となって、ドル円は106.20円付近まで、ユーロ円は132.50円台まで下落し、ユーロドルは1.2500台まで上昇しました。NY時間午後にかけてNYダウが反発するとドル買いが強まって、ドル円は106.80円台まで、ユーロ円は133.10円台まで上昇し、ユーロドルは1.2450台まで下落しました。その後もNYダウは上昇を続けましたが、米長期金利の反発が限定的なものだったことからか、円買いが強まる中ドルは売り戻され、ドル円は106.00円台まで、ユーロ円は132.50円台まで下落し、ユーロドルは1.2500台まで上昇しました。

東京時間にはいってユーロドルが年初来高値を上抜くなどドル売りが優勢となっています。

FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは82%と変わらずでした。

◆今日の予定

今日の海外時間には、英・1月小売売上高指数、米・1月輸入物価指数米・1月住宅着工件数/建設許可件数、米・2月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)の発表があるほか、クーレ・ECB理事の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。