日々の睡眠不足が積み重なって起きる「睡眠負債」は、集中力の低下で仕事に支障をきたすだけでなく、精神的疾患や「がん」「糖尿病」「心臓病」など重大な病気にも関連していると言われています。睡眠負債の解消・返済には、睡眠時間だけでなく睡眠の質を向上させるために生活習慣を見直すことが大切です。
日本人は何時間睡眠?
日本人は睡眠時間が短いといわれています。厚生労働省の平成27年国民健康・栄養調査結果の概要によれば、平均睡眠時間が6時間以上7時間未満とした答えた割合が男性33.9%、女性34.2%という結果でした。また、睡眠時間が6時間未満の人では日中眠気を感じると答えた人が男性で44.5%、女性で48.7%という結果です。
10年前の平成17年と比較しても、睡眠時間が5時間未満の割合、5時間から6時間未満の割合、6時間以上7時間未満の割合がそれぞれ増えていて、徐々に睡眠時間が短くなっている傾向が見受けられます。
睡眠時間が4時間などのいわゆるショートスリーパーが増え、睡眠時間が8時間9時間のロングスリーパーが減少しているといえるでしょう。人にはそれぞれ自分にとって快適に生活ができる睡眠時間があります。そのため、仕事などで無理をして睡眠時間が削られ、睡眠負債が増えている状態にならないように体を整える必要があります。
睡眠負債を解消して睡眠を資産に変える!
米ペンシルベニア大学などの研究チームが行った実験では、「6時間睡眠が2週間続くと、徹夜が2晩連したのと同じ影響がある」ことが判明しました。毎日の睡眠が少し足りなかったとしても、日々をなんとかこなしているため、睡眠不足である自覚がないまま「睡眠負債」となっている人もいるかもしれません。
仕事で効率が落ちるだけではなく、健康にも深刻な害を及ぼす可能性がある「睡眠負債」ですが、一方で夜に十分な質の良い睡眠をとり、翌日にパフォーマンスを出すことができる健康的な状態を「睡眠資産」とするものだという考え方もあります。
今は「睡眠負債」が大きかったとしても、生活習慣を見直して負債を返済し、今後「睡眠資産」に変えていくことができます。
睡眠負債の解消・返済方法は?
睡眠負債を解消するには十分な睡眠時間が必要ですが、睡眠の質が悪い場合は寝不足と同じ状態となるため「睡眠の質」にも注意する必要があります。
睡眠負債の解消には、「毎日同じ時刻に起床する」「朝食を食べる」「朝日を浴びて体内時計を調整する」など朝を軸に規則正しい生活にすることで、体内時計がリセットされて、睡眠サイクルが安定しやすくなります。また、就寝前の体温をコントロールすることで、眠りやすく、睡眠の質も上げることができます。
睡眠のメカニズムとしては、眠くなると手足から熱放散がおこり深部体温が下がることで体は入眠モードに切り替わります。
睡眠に適した体温にするために40度のお風呂に15分間浸かり、それによって深部体温が0.5度上昇しますが、その後90分かけて元に戻り、その後はさらに下がります。そのため、入浴後90分してからベッドに入るとスムーズに眠りにつけます。また、眠る前には「PCやスマートフォン、テレビを見ない」ようにし、ブルーライトによって刺激を与えないようにするなど、睡眠前の行動をルーティン化し、脳を興奮させないようにすることが重要です。
どうしても眠れない場合はアロマオイルやヒーリングミュージックなどで、気持ちを落ち着かせるのがよいでしょう。自分にあった方法を試すことが大切です。
アプリでスコアをつけて睡眠を改善しよう
生活習慣を整えることが基本ですが、睡眠負債を解消するためには、睡眠の状態を把握することも改善に有効です。現状への思い込みなどをなくし、今の状態を正しく認知することで症状が改善する「認知行動療法」を採用したアプリやサービスがあります。
睡眠記録アプリの使い方は、ほとんどが寝る際にアプリを起動させたスマートフォンを枕元に置いておくだけです。スマートフォンの加速度センサーによって寝返りなど就寝中の動きから眠りの深さや睡眠効率、覚醒時間や寝つきなどをグラフ化し「見える化」してくれます。
また、目覚まし機能により、眠りが浅い時にアラームを鳴らして目覚めをサポートする機能や、いびき・寝言・歯ぎしりを録音する機能を有しているものもあり、睡眠中の状況を具体的に把握することが可能です。
睡眠は、自分で状態を把握することは困難ですが、アプリによって自分自身の睡眠状態を正しく把握することができます。睡眠負債のツケは大きく、重篤な病気つながってしまう可能性もあるため、放置することはできません。こういったアプリでスコアをつけることで、自分の改善ポイントが見つかるのであれば利用してみてもよいかもしれません。
睡眠負債にならないために、生活リズムを整えよう
規則正しい生活や、アプリの睡眠記録で正しく睡眠状況を把握することで睡眠負債を解消し、睡眠を資産に変えましょう。海外ではビジネスパーソンのためにナパサイズというフィットネスクラブでの睡眠のワークアウトが登場したり、日本でも睡眠カフェなどが存在します。
毎日を元気に明るく自分のやりたいことや目標に向かって進むために、寝る時は寝る、休む時は休むといったメリハリをつけ、生活リズムを整えてみてはいかがでしょうか。(提供:J.Score Style)
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