平昌冬季五輪組織委員会の発表によると、2018年2月17日までに販売された五輪の観戦チケットは99万1000枚で、目標の92.8%に到達した。旧正月の連休中、多くの観戦者で盛り上がりを見せたが、観戦チケットを購入した外国人が観戦を断念するケースが起きている。

これは会場に行く交通手段が確保できないことが主な理由。五輪会場でもビザカードを所持しない観戦者が商品などを買うことができず、土産物や記念品ショップは閑古鳥が鳴いているという。1年半後に迫った東京五輪でも対策が求められるのではないだろうか。

五輪会場に向かう高速鉄道に帰省客が殺到

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平昌五輪は韓国内の関心が薄く、開幕直前のチケット販売率は70%台にとどまっていた。自治体による入場券の配布や連日のテレビ放送などで関心が高まり、2018年2月16日の観戦者は10万7000人、17日も9万2000枚のうち9万枚が売れたが、海外メディアからフィギュアスケート会場など、空席が目立つとの声が上がりはじめた。組織委員会は競技会場に来られなかったチケット購入者が多かったとみている。

五輪期間中の2018年2月15日から18日は旧正月の連休で、地方出身者など新年を家族で祝うため帰省する。例年、3000万人が鉄道や飛行機を利用し、バスや自家用車を利用する人も多い。五輪が開催されている江原道に帰省する人も多く、ある旅行会社は連休初日の15日午前中の試合を観戦するには、ソウルを午前3時に出る必要があるという予測を立てている。

ソウルから東海岸の江陵への移動は、これまでバスや自家用車が多かったが、平昌五輪を機に開通した高速鉄道KTXに利用客が殺到した。バスや自家用車は通常3時間程度で、帰省シーズンには3時間半以上、鉄道は5時間かかっていたが、KTXの開通で2時間弱となり大幅に時間が短縮されたのだ。

韓国鉄道公社は当初、旧正月連休中、五輪を観戦する外国人利用向けの乗車券を確保していた。ソウルと平昌・江陵を結ぶ全路線が乗り放題になる外国人専用の「平昌コレールパス」を販売し、旧正月連休の乗車券を売り出した1月16日から25日まで、コレールパス購入者向けに10%を確保していた。16日に売り出した乗車券は即日完売し、外国人向けの10%も25日以降の一般販売と同時に売り切れている。

鉄道公社はコレールパス購入者には25日までに予約するよう電子メールで案内を送ったと説明するが、案内メールを受け取っていないという外国人が多く、五輪の観戦チケットとコレールパスを購入しながら乗車券を確保できず、観戦を断念した外国人は少なくなかった。2月9日の開会式後も会場に近い珍富駅で最終電車に間に合わなかった外国人に混乱が生じている。

東京五輪への期待

2020年に開催される東京五輪は盆休みシーズン前の8月9日に五輪が閉幕し、休暇後の25日にパラリンピックが開幕する。盆や正月は五輪観戦で訪問する外国人にはわかりにくい風習であり、周到な事前告知が必須だろう。

混乱は鉄道だけではない。五輪会場で使用できるカードは国際五輪委員会(IOC)ワールドワイドスポンサーのビザカードのみで、ビザカードを所持せず、現金にも余裕がない観戦者は記念品や土産を買うことができない。会場内に飲食物は持ち込みできず、食事ができない事態も起こりうる。国外カードで現金を引き出せるATMや外貨への対応などが不十分だと、利用客は買い物や食事ができず、出店者も開店休業に追い込まれかねない。

日本オリンピック委員会(JOC)は平昌に、東京2020組織委員会と東京都は江陵に、それぞれ2020年の東京五輪と開催都市・東京をPRする施設を運営している。江陵の「Tokyo 2020 JAPAN HOUSE」の入場者数は五輪が開幕した2018年2月23日までに10万人を超え、関心の高さがうかがえる(入場者数は26日追記)。こちらは25日に一度閉館し、パラリンピックが開幕する3月9日から閉幕3月18日まで再び運営される。(佐々木和義、韓国在住CFP)

【お詫びと訂正】「ジャパンハウス」「Tokyo 2020 JAPAN HOUSE」の運営主体などについて誤りがありましたので、関係者の皆様にお詫びして訂正します。