昔からあるルールを「なぜ?」と疑ったことがあるかどうか、思考停止にならずに、視点や発想を変えてみることも大切。ここでは、どのような考え方をしたら良いかを具体的に紹介していこう。
(本記事は、午堂登紀雄氏の著書『僕が30代で5億円の資産をつくれたのは、誰でもできるシンプルなことを大切にしただけ。』=かんき出版、2013年8月5日=の中から一部を抜粋・編集しています)
みんなの言うことは案外、正しくない
ここからは発想や視点を変えるお話をしましょう。
ユダヤ人の教訓に、「全員一致した決定は間違いだ。みんなが真剣に考えれば、一人ひとり違う意見が出るはずだ」というものがあります。
確かに私自身の経験からも、みんなが「悪い」と反対することが、案外よかったりしたことがあります。
典型的なのが本です。多くの批判レビューが書き込まれている本で感激したこともあれば、みんなが絶賛している本がつまらなかったことは、よくあります。
私たちは、つい多数の意見に流されてしまいがちですが、多くの人の普通の思考で判断すると、結果も普通にしかなりません。
少数意見、それもクレイジーな人のクレイジーな意見のほうが、驚くような良い結果を生む可能性があるということを意識し、クレイジーな意見を最初から捨てないようにしたいものです。
そこで私も、新書などで極端な主張の本を好んで読むようにしています。炎上するような意見のほうが、むしろ貴重ではないかと思っています。
もう一つ着目したいのは、「みんなが言う」の「みんな」とは誰かという点です。
それは経験がある人なのか、成功体験や失敗体験がある人なのか、自分よりもその分野で力量がある人なのか。そうでない人が言っているとすれば、そんな人の意見を信用するに値する根拠とは何か。
そんな多数意見を鵜のみにし、貴重なチャンスを見逃し三振しないようにしたいものです。
視点を転換させて悩みを払拭する
「この商品を開発して、もし売れなかったらどうしよう」
と、こんなことを言う人がいます。でも、そんなことは誰にもわかりません。売れるか売れないかは、やってみなければわからないのです。
なのに、「売れなかったらどうしよう」というマイナスの方向にフォーカスしてしまうと、「行動」にブレーキをかけてしまいます。ほとんどの悩みは、自分の中で妄想を膨らませているだけで、大して根拠のないものです。妄想を大きくする前に、とらえ方を変える。つまり視点を転換させることが重要です。
視点を変えることについて、有名な話があります。
ある靴メーカーの社員がアフリカに市場調査に行きました。
一人の社員は本社に戻って、深刻な顔で、こう言いました。
「部長、ここは誰も靴を履いていません。マーケットはまったくありません」
もう一人の社員は、意気揚々と帰ってきました。そして、こう報告したのです。
「部長、ここの人たちはまったく靴を履いていません。ものすごく有望なマーケットです」
どちらの営業マンがより多くのチャンスを手にすることができるでしょうか。
同じ現象を見ても、その人のとらえ方によって、見方が180度変わってしまいます。視点を変えるだけで、大きなチャンスが巡ってくるかもしれません。
あえて仏滅に結婚式をあげるという考え方
「仏滅に結婚式をあげよう」というと、どう感じるでしょうか。
縁起が悪い?
私が「仏滅」でもいいと言う根拠はこうです。
もともと「大安」や「仏滅」は中国の「六曜」から来ています。しかし中国では意味がないものとして、その風習はとうに廃れています。
ですが、日本人だけが律儀に昔の「六曜」を守っています。
そんなこともあり、日本では「仏滅」に結婚式をあげる人は少数ですから、仏滅の日は費用が安く、しかも貸し切り状態です。
人がみんなそうするから、という理由で、深く考えもせず慣習に従うのは、自分の頭で考えて行動していない。
「思考停止状態」に陥っているということです。
とはいえ、最近は、仏滅を気にしないというカップルも増えているそうです。
給料日に銀行に行ってはいけない
私はもう何年も前から25日には銀行に行かないようにしています。
理由は簡単。混んでいるからです。25日の昼休みともなると、銀行のATMの前には長蛇の列。金曜日や月曜日、五十日(ほとんどの日本企業の決済日)も同じです。しかし給料日から数日ズラすだけで、並ばずにスイスイとお金がおろせます。
さらに最近は、一度に10万円くらいを引き出し、財布にはつねに15万円以上入っているようにしています。
基本的にクレジットカードで支払うようにしているので、なかなか現金が減らず、お金をおろしに行く頻度がグっと減ります。これも待ち時間をつくらない工夫です。
銀行だけに限りません。USJに行くと、必ずエクスプレスチケットを買って並ばずにアトラクションに乗ります。ディズニーランドでは、ファストパスを取っておく。
人気のラーメン店は平日の午後2時に行き、飲み会の店は必ず予約を取っておく。
旅行は必ずシーズンオフの平日に行く。温泉旅館の露天風呂なんて貸切状態にもかかわらず、値段はピークシーズンの半額です。
新幹線に乗るときは、平日朝10時以降の空いている時間帯を選べば、グリーン席でなくても広く使えます。
逆に、ゴールデンウイークや盆暮れ正月は、外出せずに仕事。
投資でも、人が売っているときに買い、人が買っているときに売ると儲けられるのと同じで、人が動く時期はじっとし、人が動かないときに自分は動く。
そうすると、人の渦に巻き込まれることなく、時間を失うこともなく、出費は最小限で行動することができます。
上司や部下と一緒に移動してはいけない。「現地集合・現地解散」が原則
上司や部下と一緒に取引先に行くとき、あなたは一緒に会社を出るでしょうか。そのとき、道中はどんな話をするでしょうか。
今日の商談のための準備であれば、意味はあります。お互いのプライベートを話して理解し合う時間であれば、やはり意味はあります。
確かにこういうときでなければお互いのプライベートなことを共有する時間は取れないので、そういう時間だと考えれば、大切な時間と言えなくもありません。
しかし、「最近、寒いね」とか「あのニュース知ってる?」「あの部署の部長ってさ......」といった、単なる場をつなぐための会話であれば、あまり意味がありません。
誰かと一緒だと、自分だけ勝手に本を取り出して読むわけにもいきませんし、企画を考えたり、パソコンで資料をつくったりといったこともできません。
たとえば電車の中で席が空いていても、なかなか座る勇気も出ないものです。
ですから私は部下と取引先に行くときは、必ず「現地集合・現地解散」を原則にしています。
出かけるときは、何か用事をつくって先に出ますし、帰り道も「ちょっと銀行に寄ってから帰るよ」と、あえて時間をズラすことで、移動の時間を自分の時間にしています。
出張に行く場合も「現地集合・現地解散」が鉄則です。
新幹線に乗るときも、飛行機に乗るときも、部下と一緒に移動するときはすべて席は別々、チェックインもバラバラにしています。
その場合の待ち合わせ場所ですが、私はなるべく改札やビルの前といった外での待ち合わせを避けています。 なぜかというと、外で立ったままだと、待ち時間中に他のことができないからです。さらに、冬は寒いし夏は暑い(当たり前ですが)。それで相手が遅れてくると、イライラします。
しかしこれが、カフェやホテルのラウンジなら、前述したとおり、早めに行って仕事ができるし、仮に相手が遅れても気になりません。
そこで、ファミレスやカフェチェーンが検索できるスマートフォンアプリを多用しています。さらにそのアプリは店内でコンセントが使える店も検索できるので、快適なオフィス環境がどこでも手に入ります。
仕事はキリの悪いところで帰ろう
私はいつも仕事をキリの悪いところで終わらせて帰るようにしています。
なぜかというと、キリのいいところで終えて帰ると、確かに達成感はあるものの、仕事のことをきれいさっぱり忘れ、思考のアンテナをたたんでしまうからです。
それよりも、次の仕事に少しだけ取りかかった状態で帰る。そのため、机の上もやりかけの仕事がそのまま広がっています。
すると問題意識のアンテナが立ったままなので、帰り道でどこかに寄ったり、誰かと会うときでも、そのアンテナにいろいろなものがひっかかってきます。
そして次の日、会社に来たとき、机の上は昨日の状態で、やりかけのままの仕事が広げてあるので、そのまま座って、すぐにトップスピードで仕事を始められます。
これがきれいさっぱり片づけられていると、「昨日はどこまでやったかな?」と資料を取りだすのも面倒くさいし、それでモタモタする時間がもったいないのです。
もちろん、スッキリ仕事を片づけてからでないと気持ちが悪い人もいるでしょうし、会社員であれば、情報漏えいなどのリスクもありますので、一定の整理整頓は必要でしょう。
ただ私自身は、キリの悪いかたちにして、仕事を引きずっていたほうが、いろいろな情報が入って来る気がしています。
通勤で往復2時間は悪か?
たとえば通勤時間が15分で、しかも満員電車だと、何かに集中するのは難しいものです。
しかし、もし家が勤務先から遠く、片道1時間かかったとしても、自分だけの時間を確保できると考えると、非常に有効となります。1時間というまとまった時間が確保できると、読書や勉強でも集中できるからです。
もちろん混んでいればムダになりますが、始発駅近くなどで座っていける場合は、本を読んだりタブレット端末で調べ物をしたり、はたまた勉強したりと、自己投資の時間となります。
通勤に往復2時間かかるとすれば、1日2時間の通勤時間ですから、1ヵ月で40時間、1年で480時間も自分の時間があると考えることができます。
さらに副次的効果としては、家賃や住宅の値段が安く、家計にゆとりが生まれるということがあります。
あるいは逆に、徒歩や自転車で会社に通えるところに住むというのもアリです。もはや通勤時間という概念ごと消し去ることができます。高い家賃なんてあとから回収すればいいという発想で、仕事に没頭する環境をつくることができます。
もちろん、個々人の状況、勤めている会社の状況によっても、どちらが良いかは異なるでしょう。自然の多い場所、学校区の良い場所、親が住んでいる場所など、仕事以外にも住まいを決める要素はたくさんあります。
自分の置かれた状況を考え、最も有効な時間の使い方ができるのはどういう形態なのか。そのうえで自分はどこに住むべきかを戦略的に考えられればよいでしょう。
人のせいにする人は、他人に振り回される人生を選んでいる
何かあると、すぐ他人のせいにする人がいます。上司が悪い、会社が悪い、政府が悪い、社会が悪い......。メディアも不平不満のオンパレードで、子どものいじめ問題、誰かの二股問題、失言問題......ヒステリーのように叩きます。
もちろん、ケースバイケースで、100%他人に非があるという場合もあるでしょう。しかし私たちの日常生活において、そんな場面に直面するほうが稀です。そもそも自分の不遇が他人のせいであるならば、自分の人生はそんな人に振り回され、自分でコントロールできていないということです。
なぜ不平や不満が出てくるかというと、他人に依存しているからです。
「会社がこうしてくれればいいのに」→「会社がそうしなければ、自分は不利になる」→「会社の方針に左右される」
「政府がこうしてくれればいいのに」→「政府がそうしなければ、自分は不利になる」→「政府の方針に左右される」
というわけです。会社や政府に自分が振り回されるなんて、そんな脆弱なでつまらない生き方ってあるでしょうか。それよりも、
「会社は関係ない」→「自分で努力して有利に持っていく」→「会社の方針が変わっても自ら対応できる」
「政府は関係ない」→「自分で努力して有利に持っていく」→「政府の方針が変わっても自ら対応できる」
と言える人が強いのではないでしょうか。
そうすれば、会社や政府がおかしなことをしても、不満を抑えられるし、自分で何とかしようと必死で考え行動します。会社や政府の動きに、自分の人生が左右されることがなくなります。
たとえば、私は電力会社の値上げには納得できません。そこで、その電力会社に不満を言うのではなく、どうすればお金を払わずに済むかと考えました。
そこで、自宅の電灯はすべてLED化し、冷蔵庫もインバーターの超低消費電力のタイプのものを買いました。べランダで太陽光発電し、スマートフォンの電力を賄っています。電源が使えるカフェで仕事すれば、パソコンの充電も不要。こうして我が家の電気代は、前年の半分以下となりました。そうやって利害関係が薄くなれば、彼らが何をしようと気にならないものです。
これは一つの例に過ぎませんが、やるべきことは、他人に怒りの矛先を向けるのではなく、どうすれば他人からの影響を最小限にできるかを考える。
他人がどうこうではなく、「では自分はどうすべきか?」に思考を巡らし、行動する。それは無関心であれということではなく、依存度を下げるということです。
そのためには、「人のせいにしない」というマインドセットが必要ですが、それが本当に自分の人生を自分で支配することになると考えています。
午堂登紀雄
不動産コンサルタント。米国公認会計士。1971年、岡山県生まれ。中央大学経済学部卒業後、会計事務所を経て大手コンビニ企業に就職、経営コンサルタントとして活躍。2006年、不動産コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は、経営者兼個人投資家としての活動のほか、講演も多数行ない、資産は5億円を超える。