東京株式市場で底入れ感が強まっています。米国のトランプ大統領が鉄鋼とアルミニウムについて輸入関税を課す方針を示し、保護主義の高まりが懸念され、日経平均株価は3/5(月)に一時20,937円まで下落しましたが、そこが当面の安値になったようです。当面の輸入関税対象国としてカナダやメキシコが除外され、その他同盟国への課税も交渉余地を残すなど、貿易戦争への懸念が後退したためです。北朝鮮リスクの後退も手伝い、3/9(金)の日経平均株価は続伸となりました。

3/9(金)は東京株式市場でメジャーSQ、米国で雇用統計の発表と、重要スケジュールが重なった日でもありました。それらを通過した後になる3/12(月)開始の週はポジションを取りやすくなりそうです。一方、米長期金利上昇に上昇余地があり、外為市場での円高圧力も解消したとは言い切れず、物色の主役を探るのはなかなか困難となりそうです。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、本業のもうけを示す営業利益が連続で増えている上に、今後も増加が予想されている銘柄をご紹介することにしました。スクリーニングで抽出された企業は、時代の要請に応え、独自の製品やサービスを提供している企業が多く、為替市場の変動等にも強いと考えられます。これらの銘柄については、今後再び「波乱相場」となっても好パフォーマンスを期待することができそうです。

物色の中心として期待の「連続増益銘柄」を探る

日本株投資戦略,連続増益銘柄
(画像=PIXTA)

それではさっそく、連続増益銘柄についてスクリーニングを行ってみたいと思います。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)1月決算以外の銘柄であること(決算発表時期が近いため除外しました)
(3)銀行業、証券商品先物、保険業、その他金融以外の業種の銘柄であること
(4)業績予想を公表しているアナリストが3人以上いる銘柄であること
(5)時価総額が1千億円以上の銘柄であること
(6)前期まで5期連続で営業増益で、その間に累計で2倍以上に営業利益が増えている銘柄であること
(7)今期、来期ともに市場予想(Bloombergコンセンサス)で営業増益予想となっている銘柄であること

上記の全条件を満たす銘柄から、来期の予想営業増益率(市場コンセンサス)が高い順に10銘柄を並べ、ご紹介したものが表1となります。

ダイフク(6383)はマテハン(物流機械・システム)分野で世界のトップを走る企業です。エレクトロニクス業界、自動車・自動車部品、商業・小売分野など、幅広い業種をターゲットにしています。保守・サービス関連の売上高が3割近くあるため、安定した収益計上が可能になります。売上高の約3分の2が海外となるため、為替変動の影響は残りそうですが、世界的に旺盛な半導体設備投資や、やはり世界的に活況な省力化投資が追い風になりそうです。

ディスコ(6146)は半導体製造装置メーカーの一角を占めています。シリコンウェハをサイの目の状に切り分けるダイシングソーの分野で世界シェア7~8割を有しています。この強い競争力を長年維持していることが特筆されます。半導体設備投資の浮き沈みにより業績変動が激しい業界ですが、2012年3月期をボトムに前期まで連続営業増益となっています。半導体市場に襲来しているとされる「スーパーサイクル」を追い風に、今期・来期ともに増益が予想(市場)されています。

この他、JCRファーマ(4552)は医薬品メーカーでヒトホルモン製剤が主力となっています。大きな市場でなく、患者の少ない市場で着実な成長を目指しているようです。MonotaRO(3064)は中小製造業にとっての「アマゾン」的な存在で成長が続いています。工業用間接資材(MRO)をインターネットを通じ販売しています。

日本株投資戦略,連続増益銘柄
(画像=SBI証券)

なぜ「連続増益銘柄」に注目するのか?

東京株式市場に底入れ感が強まる中、「日本株投資戦略」はなぜ「連続増益銘柄」に注目するのでしょうか。

その理由は、3/9(金)の東京株式市場が示していると言えそうです。すなわち、世界的貿易戦争や北朝鮮のリスクが後退し、日経平均株価が一時500円超も上昇したにもかかわらず、途中からは相当に伸び悩んだためです。また、株価底入れの割に外為市場で円安・ドル高方向への戻りが鈍いようです。金融機関の外債投資意欲低下が指摘される中、3月期末を控え、円高圧力がくすぶり続けていることが大きな要因とみられます。

したがって、3月末まで外為市場では円高圧力がくすぶり続ける可能性もありそうです。また、それに伴って、輸出企業等を中心に上場企業の業績予想が今後、慎重モードになってしまう可能性も十分あるとみられます。

ドル・円相場が1ドル125円の円安・ドル高水準になったのは2015年半ばです。それ以降は実は、それよりも円高・ドル安水準で推移しているのが現状です。すなわち過去5年でみると、外為市場で円安・ドル高トレンドが描かれている訳ではないように見受けられます。そうした中、過去5期連続で営業増益を達成するには、仮に輸出企業であっても、円安メリット以外の何かを味方に付けない限り、増益を維持することはできないとみられます。

前項ではいくつか、表1の銘柄についてコメントを掲載していますが、独自の分野で製品やサービスを提供し、強い競争力を有している企業が抽出されたように思われます。すなわち、実力で成長を続けている企業として、株式市場でも評価されているように思われます。このため、表1の銘柄の多くがPERでみると高めになっている面は否定できないと思われます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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