『サピエンス全史』は全世界で500万部売れたワールドクラスのベストセラーである。読書にあまり時間を割けていない人も、タイトルくらいは目耳にしたことがあるだろう。

『サピエンス全史』(以下、同書)は、ホモサピエンスである我々が必ず抱き続ける「我々はどこからきて、どこに向かうのか」という疑問に対する道標を与えてくれる本である。道標を綴った書籍は今まで数え切れないほど書かれてきたが、同書は、なぜここまでベストセラーになったのであろうか。同書が世界的なベストセラーになった理由を考察していこう。

サピエンス全史,ベストセラー
(画像= livinglegend/ shutterstock.com)

「認知革命」「農業革命」「科学革命」という3つの重要な革命

同書は、ホモサピエンスが歴史を形成した約7万年前から現在までの出来事を「認知革命」「農業革命」「科学革命」という3つの重要な革命を軸に分かりやすく展開している。このような解説書(歴史書)はえてして難しい内容になりがちだが、ホモサピエンスは、我々自身であり、手に取って読んでいる読者自身である。全編にわたり、ホモサピエンスが主役で展開していくため、より「自分ごと化」しやすく、世界的なベストセラーになったのかもしれない。

現在のライフスタイルを例に分かりやすく説明している

サピエンス全史は、太古の人類の話でありながら、現在のライフスタイルに通じる謎を解き明かす例を分かりやすく紹介している。例えば同書では「ほとんど身体のためにならないのに、なぜ人は高カロリーの食品をたらふく食べるのか?」という疑問について、「もし、石器時代の女性が、たわわに実ったイチジクの木を見つけたら、あたりに住むヒヒの群れに食べ尽くされる前に、その場で食べられるだけ食べるのが最も理に適っていた」と述べ、「カロリーの高い食べ物を貪り食うという本能は、私たちの遺伝子に刻み込まれているのだ。」と説明している。

地球の生物全体を考慮した世界観

現在は、環境保護や絶滅危惧種の救済など、地球全体の環境保護を唱える風潮が強い。ただし、歴史を振り返れば我々ホモサピエンスは、地球の他の生物をないがしろにしてきた事実がある。同書は、地球の生物全体を考慮した世界観で、ホモサピエンスが地球規模で何をしてきたかを知らしめてくれる書籍である。

世界中の場所が登場するストーリー

紹介されるホモサピエンスの歴史は、アフロ・ユーラシア大陸、アメリカ大陸、オーストラリア大陸、オセアニアなど、世界中の国と地域が舞台として登場する。サピエンス全史を読む世界中の読者は、自分の住んでいる場所の歴史とリンクさせてよりリアルな感覚で読みすすめることができるのだ。

複数の学問の見解を分かりやすく解説

同書では、ひとつの学問の見解だけでなく、心理学者、生物学者、歴史学者、社会科学者など、複数の学問の見解を紹介している。そのため、読者はより広い視野で考察をすすめることができるのである。また、多くの場面で、具体的な数値を使って、冷静な分析をしている。数値を使った分析は、やや難しいと感じた内容でも、読者の理解度を高める効果がある。

最先端の情報と未来予想の提示

同書では、最後の章で、現在の最先端の情報と未来予想の提示を行っている。我々の関心は、過去を振り返るとともに、これからどうなっていくのかということに集約される。これからの道標となる内容を読者に提示している点も世界的なベストセラーになった要因かもしれない。(ZUU online 編集部)