株式で資産運用する場合、株式100%で構成されている投資信託(投信)を購入するのと、自分で個別に銘柄を選択して購入するのでは、どのような違いがあるのでしょうか。また、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。メリットとデメリットを整理しましょう。
投信のメリットは少額資金でも得られる分散投資効果
投信にはさまざまなタイプがありますが、基本的には多数の投資家から集めた資金を一つのファンドとしてまとめ、株式や債券など複数の資産に投資する点は同じです。そのため、投信は分散投資の効果が得られやすいというメリットがあります。
株式100%型投信の場合でも、例えば円高局面で買われやすい銘柄と円安局面で買われやすい銘柄のように、値動きの特徴が異なる複数の銘柄をバランスよく組み入れることなどにより、リスクを抑えつつ収益獲得を目指すことができます。そのため、個人投資家は投信を購入することで、間接的に複数の銘柄に分散投資していることになり、少額資金による運用でも分散投資の効果が得られます。
これに対して、自分で個別に銘柄を選択して購入する場合(個別株を購入する場合)、少額資金では複数の銘柄に分散投資することが難しくなります。
2018年10月からは株式の売買単位が100株単位に統一されます。そのため、現在よりも少額で買いやすい銘柄が増えるかもしれません。それでも分散投資の効果を十分に得られるだけの複数銘柄を購入するには多額の資金が必要になります。
また自分で銘柄を選別して購入するには、景気や企業業績の予想、株価指標やチャートによる売買タイミングの判断など、投資に関するさまざまな専門知識も必要になります。しかし、投信を購入して運用を専門家に任せることで、そのような専門知識を身につけるのと同様の効果を得られるというメリットもあります。
投信のデメリットは手数料などの諸費用の高さ
手数料などの諸費用で見れば、個別株を購入する場合に比べて、投信はそのコストの高さがデメリットだといえるかもしれません。
個別株を購入する場合の手数料とは、基本的には売買成立時に証券会社に支払う株式売買委託手数料です。なお、信用取引を利用した場合は保有期間中の金利手数料なども必要になります。
株式売買委託手数料は完全に自由化されているため、その料金体系は証券会社によって異なりますが、ネット証券を利用すれば運用収益にあまり影響を与えない程度に売買手数料を抑えることができます。
一方、投信の手数料には購入時手数料、運用管理費用(信託報酬)、信託財産留保額などがあります。最近は購入時手数料を無料とするノーロード投信が増え、また信託財産留保額を必要としない投信も多いですが、ほぼ必ず必要になるのが運用管理費用です。
運用管理費用は、その名の通り運用や管理など投信を運営するために必要な費用として、投信の純資産に対する年率で決められており、投信の資産から日々自動的に差し引かれます。
運用管理費用は、投信のタイプによって高低の傾向があります。市場平均に連動した収益獲得を目指すインデックス型(またはパッシブ型)投信は、基準とする指数の銘柄や構成比率とほぼ同じ形で投資するため、銘柄選択などの手間があまりかかりません。そのため、独自に調査などを行って銘柄を選定し、市場平均以上の積極的な収益獲得を目指すアクティブ型投信に比べて、運用管理費用が低く設定されるのが一般的です。
しかしインデックス型投信でも、ネット経由で個別株を購入する場合に比べると、必要な手数料は高くなるのが一般的です。その結果、自分で個別株式を選定し運用する場合に比べ、コスト面では若干不利といえます。
自分に適した方法を選ぶ
株式投資をする時に、投信を使うメリットとデメリットをみてきました。ただ、普通の個人投資家にとっては、数銘柄を自分で買うことと、数十銘柄以上が組み入れられた株式投信を買うことは、全く異なった投資手法で、どちらが良くて、どちらが悪いというものではありませんし、併用することも可能です。自分の投資資金や投資経験、投資を考えるのに使える時間などを念頭に、それぞれの投資手法の特徴を活かしながら、自分に適した方法を考えてみてください。(提供:マネーLife Style)
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