今から約1年前の2017年2月21日、「プレミアムフライデー(略称プレキン) ナビゲーター就任イベント」が都内で開催された。選ばれたのは、アイドルグループ関ジャニ∞だ。イベントには、「プレキン∞」と称するメンバーそっくりのパペットも登場、キャンペーンを盛り上げる。

イベントには世耕弘成経済産業大臣、石塚邦雄日本経団連副会長も出席し、24日のプレキン初回に向け、PRへの力の入りようが伺えた。あれから既に1年以上が経過、果たしてプレミアムフライデーは定着したのか。

プレミアムフライデー
(画像=PIXTA)

プレミアムフライデーとは何か

プレミアムフライデーとは、買い物・家族との外食・観光などに充てる時間創出を促し、ワークライフバランスの変革・コミュニティーの一体感醸成・デフレ傾向からの脱却二つなげようとする取り組みだ。

取組を後押しするのが官民合同の「プレミアムフライデー推進協議会」(2016年12月22日設立)だ。旗振り役の幹事16名には、経済産業省からは流通政策課長、民間からは百貨店協会・旅行協会・小売業協会・フランチャイズチェーン協会などの事務局長や専務理事が参加した。ちなみに協議会の事務局は、経産省から委託を受けた広告会社の博報堂だ。

このメンツからも、プレキンの本質は「個人消費の喚起」にあることが伺える。大手監査法人系コンサルの調査では、プレキン実施による経済効果は5000億円に上ると推計されていた。

協議会と企業の取り組み

協議会は、統一ロゴマークの無償提供を通じて、知名度アップを促すと同時にプレキン実施日に合わせて普及活動を展開した。具体的には、「お花見しましょう」「渋谷大掃除パーティー」「RUNイベント」などさまざまなイベントを実施、市川海老蔵、内田恭子、浅田真央といった有名人も使って話題作りを仕掛けてきた。

協議会のキャンペーンに乗り、ソフトバンクのように積極的に取り組んだ企業もある。同社によると、同社のプレキン参加率は45.5%に達した。さらに同社では、業務都合で当日参加できない社員のために振替制度も認めており、この分を加味すると実に4人に3人がプレキンに参加したことになる。ソフトバンクでは、プレキン当日に汐留本社25階の社員食堂「FESTA」で、大手菓子メーカーや電力メーカーなど異業種との交流会を開催している。プレキン定着を促すには、こうした仕掛けが欠かせない。

認知率は90%も参加者は10%台

プレキン立ち上げから1年を迎えようとするなか、経産省はプレキンの実施状況に関する実態調査を、サラリーマン約2000人を対象に実施した。調査結果によると、認知度自体は9割と非常に高かった。

プレキンに参加した社員は、大企業で16.4%、中小企業で10.2%であり、まだまだ定着してきたとは言えない。とはいうものの、協議会による別の調査では、過半数がプレキンについて「楽しみたい」と肯定的に捉えている。サラリーマンの期待感は高いようだ。

一方で、消費活性化の面では期待外れに終わっている。プレキン当日の消費支出動向だが、外食費等が含まれる「その他」が1.0%減で、効果が出ているとは言い難い状況だ。販促キャンペーンに参加した小売・観光業者の半数は「もう実施したくない」と回答しており、すでに撤退・縮小に踏み切るところも出始めた。

息の長い取り組みに期待

さまざまな課題が指摘されるプレキンだが、経済産業省は、旗を降ろすつもりはないようだ。そもそもプレキン自体では、収入が増えるわけではない。むしろこの機会に働き方を見直し、業務効率を改善することにこそプレキンの本質がある。長い目で見れば、所得向上ひいては消費活性化にもつながるはずだ。

当然、実現には時間がかかる。一時的なブームに終わらず息の長い取り組みが続くことを期待したい。(ZUU online 編集部)