「住宅ローン減税制度」は新築物件、中古物件を問わず、一定の条件を満たした住宅を購入する際にローンを組んだ場合、10年間に渡って減税措置を受けることができる。

住宅ローン減税を受けるには購入する住宅が一定条件を満たしている必要があるだけでなく、自分の所得が3,000万円以下であることや金融機関から10年以上のローンを借り入れていることなど様々な条件がある。

購入してから条件があっているのかを確認しているのでは手遅れになることもある。各種書類を入手できるかどうかは不動産業者に確認しながら契約を進めていくようにしたほうが確実だ。

住宅ローン減税を受ける手続き

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(画像=PIXTA)

減税を受けるには確定申告を行う必要がある。会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者であっても確定申告をすることになっている。しかし、初年度に申告さえしてしまえば、翌年度以降は年末調整だけで手続きを済ませることができる。

あまり確定申告に縁がない給与所得者にとっては億劫な作業かもしれないが、初年度だけ頑張れば向こう10年間、最大で400万~500万円の節税効果が期待できるのだからしっかり準備しておくことをおすすめする。

住宅ローン減税を受けるのに必要な書類

住宅ローン減税を受けるには以下のものを用意する必要がある。

必要書類/入手するところ/備考
確定申告書/国税局/原本
源泉徴収票/勤務先/原本
住宅ローン年末残高証明書/金融機関/原本
建物の登記事項証明書/法務局/原本
建物の請負契約書または売買契約書/不動産業者/コピー
マイナンバー/市区町村/コピー

確定申告書

確定申告をするには確定申告書を提出する必要がある。確定申告書にはA様式(白色申告)とB様式(青色申告)の2種類が用意されているが、給与所得者はA様式を選択すれば問題ない。

確定申告書は国税局の確定申告書等作成コーナーで必要項目を入力して印刷するか、マイナンバーカードを持っているのであればe-Taxを利用してインターネットから提出することもできる。

源泉徴収票(一戸建て・マンション)

源泉徴収票は勤務先から12月下旬~1月中に発行される。勤め先が複数ある場合はすべての源泉徴収票を用意すること。

住宅ローン年末残高等証明書(一戸建て・マンション)

住宅ローン減税は年末時点の住宅ローン残高から算出されるため、残高証明書が必要になる。残高証明書はローンを組んでいる各金融機関から発行してもらうことが可能だ。一般的に10月~12月の間に郵送されてくるので、捨てずに保管しておこう。複数の金融機関から借り入れがある場合はすべての残高証明書が必要だ。

建物の登記事項証明書(一戸建て・マンション)

建物の持ち分や床面積を確認するために登記事項証明書が必要になる。さらに、登記事項証明書を見れば抵当権に入っているかどうかも確認することができ、これで住宅ローン減税の計算を行う。

基本的に法務局で取得することができるが、司法書士に登記を依頼した場合は司法書士からも取得が可能だ。もしくは法務局のホームページからオンライン請求することもできる。オンライ請求であれば、手数料が安いだけでなく自宅、会社などを指定して郵送してもらうことができる。忙しい人の場合はこちらの方が便利だろう。

請負契約書または売買契約書(一戸建て・マンション)

注文住宅で家を建てる場合には工務店や住宅メーカーと取り交わす請負契約書が必要になる。もしくは建売住宅やマンションの場合は売買契約書が必要だ。

マイナンバーが確認できる書類(一戸建て・マンション)

マイナンバーカードがある場合はマイナンバーカードの表裏のコピーで済む。マイナンバーカードがない場合は「通知カードのコピー」と「顔写真付きの身分証明書(運転免許証、パスポート、住基ネットカードなど)」2種類の書類が必要になるので注意しよう。

もし、通知カードを紛失してしまったという場合は住民票の写しを発行してもらって代用することが可能だ。マイナンバー制度の導入以降、住民票にはマイナンバーの記載を希望することができるようになったため、これを通知カードの代わりとすることもできる。

ただし、時間があるのであれば通知カードの再発行、またはマイナンバーカードの発行をしてしまったほうがこの先も面倒がなくて良いだろう。

土地も一緒に購入した場合

建物と一緒に土地も購入した場合は以下のものも必要となる。

必要書類/入手するところ/備考
土地の登記事項証明書/法務局/原本
土地の売買契約書/不動産業者/コピー

土地の登記事項証明書(一戸建て)

土地には土地の登記があるので、その登記事項証明書を発行してもらう必要がある。建物の登記事項証明書と同様に法務局、または司法書士から発行してもらう。

土地の売買契約書(一戸建て)

建売住宅、注文住宅の場合でもまずは土地を購入することになる。その売買契約書を提出するのだが、入手経路自体は建物の売買契約書と同様に不動産業者から発行してもらう。

中古物件を購入した場合

築25年を超える鉄筋コンクリート造、鉄骨造、または築20年を超える木造、軽鉄骨造の中古のマンションを購入した場合は建物の住宅性能を証明する書類が必要になる。

必要書類/入手するところ/備考
住宅性能評価書または耐震基準適合証明書/関連機関/コピー

住宅性能評価書または耐火基準適合書(マンション)

中古物件を購入した場合に住宅ローン減税を受けるためには「築25年以下の鉄筋コンクリート造、鉄骨造住宅」または「築20年以下の木造、軽鉄骨造住宅」であることが条件だ。

しかし、これらの条件を満たしていない、つまりさらに古い建築物の場合にはその住宅が十分な住宅性能、耐震性能を持つことを証明することで住宅ローン減税を受けることが可能だ。

その書類が「住宅性能評価書」や「耐震基準適合証明書」であり、これらはその家屋の取得日から2年以内に評価、証明されたものである必要がある。

「耐震基準適合証明書」は建築士、指定確認検査機関等、登録住宅性能評価機関又は住宅瑕疵担保責任保険法人が作成する。「住宅性能評価書」は登録住宅性能評価機関が作成する。

認定住宅の住宅借入金等特別控除の特例を受ける場合

長期の使用に耐えられる性能を持つ優良住宅は住宅ローン控除の特例を受けることができる。特例を受けられれば住宅ローン減税の最大控除額が10年間で400万円から500万円まで引き上げられることになる。

必要書類/入手するところ/備考
長期優良住宅建築等計画の認定通知書/不動産業者/コピー
住宅用家屋証明書または認定長期優良住宅建築証明書/不動産業者/コピー

長期優良住宅建築等計画の認定通知書(一戸建て)

特例を受けるためにはその住宅の長期優良住宅建築等計画の認定通知書を提出する必要がある。これは構造の劣化対策、耐震性、維持管理・更新が容易であること、リフォームなどに柔軟に対応できる可変性、バリアフリー対策、省エネ設備の充実などを盛り込むことで評価されるものだ。

これらの対策を行うことで最大控除額の引き上げ、建物の資産価値の上昇が見込め、地球環境にも優しい住宅ができる。注意してほしいのは長期優良住宅の認定を行うには、着工前に認定申請の手続きをする必要があるという点だ。

住宅用家屋証明書(一戸建て)

長期優良住宅建築等計画の認定通知書は建築前の資料であるならば、こちらは計画通りに住宅が建築されたかを確認するための資料という位置づけになる。不動産業者に発行してもらうことになるが、どうしても見つからなければ市区町村役場の「税務課」に問い合わせてみると良いだろう。

必要書類/入手するところ/備考
長期優良住宅建築等計画の認定通知書/不動産業者/コピー
住宅用家屋証明書または認定長期優良住宅建築証明書/不動産業者/コピー

住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例を受ける場合

マイホームを建てるときに両親などから金銭的な援助をしてもらうケースもあるだろう。通常、年間で110万円を超える金銭の贈与には贈与税が発生する。しかし、住宅を購入するための援助の場合、年間700万円(優良住宅であれば1,200万円)までの贈与であれば非課税となる。

この制度は非常に活用しやすい制度である一方で「700万円(もしくは1,200万円)までは非課税」という部分だけ話を聞きかじっただけで申請をしなくて良いと都合よく解釈してしまうケースがある。

申請日を1日でも過ぎてしまえば適用対象外となり贈与税が発生してしまう。非課税で0円だからといって何も申請しなくて良いというわけではないので十分に注意しよう。

必要書類/入手するところ/備考
通帳、贈与証書、贈与税申告書/自分で用意・国税庁/―

通帳、贈与証書、贈与税申告書(一戸建て・マンション)

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」はあくまで住宅を建てるために親、または祖父母から支援を受けた場合に適用されるものだ。

確定申告の際に特例措置を受けるための書類を提出するわけではないことに注意してほしい。支援を受けた分については住宅ローン減税の対象からは外れることになる。確定申告ではその計算に必要な通帳や贈与証書、贈与税申告書が確認されるだけだ。

書類の準備はしっかりと行おう

認定住宅の住宅借入金等特別控除などを見ても分かるように、住宅ローン減税制度は家を購入する前段階から準備しておく必要がある書類もある。いざ住宅ローン減税を利用しようとして書類が足りなかったのでは非常にもったいない。

多額の減税チャンスを逃すだけでなく、今後の返済計画に影響が出る可能性もある。住宅を購入する予定があるのであれば、新築か中古か、優良住宅を建てるのであればどの要件を満たしておく必要があるのかなど、綿密に計画を建てておくことをおすすめする。(ZUU online編集部)