「世界で最も幸せな国ランキング」が発表され、フィンランド、ノルウェー、デンマークの北欧3カ国がトップ3に選ばれた。日本は2017年から3つ順位を下げ54位となった。
そのほかスイスやオランダ、カナダ、ニュージーランドなど欧米勢が上位を占め、順位の変動は見られるものの、トップ10の顔ぶれは同じ。アジアトップは中華民国、シンガポール、マレーシアとなった。
幸福度が低い国・地域は東アフリカのブルンジや中央アフリカ共和国、南スーダン、シリアなど、政治情勢が慢性的に不安定な国・地域ばかりだ。最も幸福度が低いブルンジの幸福度はフィンランドの4割弱しかない。
ランキングは「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」とデンマークの独立系シンクタンク「幸福度研究所」が共同作成したもので、所得・自由・信頼・健康寿命・社会的支援・寛容の6項目を指標 に、世界156カ国・地域の幸福度を評価している。世論調査企業ギャラップのデータを基に、117カ国における「移民の幸福度」も考慮された。
世界で最も幸せな国・地域と2017年の順位
30位(29位) グアテマラ 6.382ポイント
29位(24位) アルゼンチン 6.388
28位(22位) ブラジル 6.419
27位(30位) パナマ 6.430
26位(33位) 台湾 6.441
25位(20位) チリ 6.476
24位(25位) メキシコ 6.488
23位(31位) フランス 6.489
22位(27位) マルタ 6.627
21位(23位) チェコ共和国 6.711
20位(21位) アラブ首長国連邦 6.774
19位(19位) 英国 6.814
18位(14位) 米国 6.886
17位(18位) ルクセンブルグ 6.910
16位(17位) ベルギー 6.927
15位(16位) ドイツ 6.956
14位(15位) アイルランド 6.977
13位(12位) コスタリカ 7.072
12位(13位) オーストリア 7.139
11位(11位) イスラエル 7.190
10位(9位) オーストラリア 7.272
9位(10位) スウェーデン 7.314
8位(8位) ニュージーランド 7.324
7位(7位) カナダ 7.328
6位(6位) オランダ 7.441
5位(4位) スイス 7.487
4位(3位) アイスランド 7.495
3位(2位) デンマーク 7.555
2位(1位) ノルウェー 7.594
1位(5位) フィンランド 7.632
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日本の弱点「信頼」「寛容」は世界共通?
日本は3ランクダウンで54位。総合スコアも5ポイント減って5915ポイントに。2017年と同じく、「所得(国民ひとり当たりのGDP)」「社会的支援」「健康寿命」では平均あるいは他国より高評価を受けているが、「信頼(腐敗への認識)」「寛容」の低さが原因で順位を下げている。
評価には過去の最低値に基づいた「ディストピア」がベンチマークとして採用されており、簡単に説明すると「ディストピア=不幸な国の象徴」とされている。日本はこのディストピアの最低値(1.92)と2015~2017年の調査で算出した各国・地域の「残余値」が比較的低い。つまりディストピアと現実の差があまりなく、幸福だと感じている人が少ないということになる。香港(76位)、南アフリカのボツワナ(146位)、ルワンダ(151位)などは、日本よりさらに差が縮まる。
対照的に北欧諸国に代表される上位国では、ディストピアと現実の差が大きく開いている。
アジアのトップは台湾(26位)、シンガポール(34位)、マレーシア(35位)。台湾とマレーシアは「自由」「寛容」「信頼」、シンガポールは「寛容」「信頼」が弱点だが、どうやらこの辺りは世界に共通しているようだ。どの国の評価結果を見ても、この3項目が最も低い。
ブルンジの幸福度はフィンランドの4割弱
上位はやはり北欧諸国が独占。幸福度研究所のメイク・ヴィーキングCEOは、北欧諸国が高評価を受けている理由として、「質のよい生活を作り出すという点で正しい取り組み方をしている」とコメントしている。
確かに上位にランクインした国・地域はいずれも「所得」「社会的支援」「健康寿命」「寛容性」が高く、生活水準が経済面だけではなく精神面、健康面でも高いことが分かる。 「最も幸福度が低い国・地域」は東アフリカのブルンジで、総合スコアは2905ポイントとフィンランドの4割にも満たない。次いで中央アフリカ共和国(3080ポイント)、南スーダン(3.254)、タンザニア(3.030)、イエメン(3.355)、ルワンダ(3.408)、シリア(3.462)など、政治情勢が慢性的に不安定な国・地域が続く。
国民が幸福な国・地域では移民も幸せ?
世界各国の移民が2.4億人(人口の3.3%)を突破した近年、各国・地域における幸福度はこれらの移民を考慮する必要がある。上位の国はいずれも「移民にとっても幸せな国・地域」 でもあることが、レポートに掲載された別のランキングから分かる。逆に「移民が不幸な国・地域」は総合ランキング同様、シリアやルワンダ、南スーダンなどだ。
自国民だけではなく移民にも良質な生活を提供出来る寛大さが、国全体の幸福度に貢献しているのかもしれない。日本は25位と、移民にとっては比較的暮らしやすい国と評価されているようだ。
米国はトランプ政権への不安感からランクダウン?フランスは跳躍
一方4つランクダウンとなった米国は、トランプ政権による移民制限や貧困層への支援、医療ケアの予算削減などが、国民の幸福度を下げる要因としてスコアに反映されているものと推測される。
ドイツ、アイルランド、ルクセンブルグ、ベルギーなどがわずかとはいえ順位を上げた一方で、オーストラリア、ブラジル、アルゼンチンは順位を下げた。新政権への期待が高まるフランスは一気に8ランクアップ。英国は前年から19位を維持した。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)