4月からの日本銀行の新体制について、黒田東彦総裁(73)は続投、岩田規久男、中曽 宏両副総裁は任期満了で退任。新しく早大教授の若田部昌澄氏(53)と日銀理事の雨宮正佳(62)両氏が就任することが決まった。雨宮氏とはどのような人物なのだろうか。日銀副総裁とはどのようなことを行うのだろうか。

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(画像=Getty Images)

「日銀のエース」雨宮氏の経歴

雨宮氏は東京都出身、東京大学経済学部を卒業し、1979年に日銀に入行した。若いころから「日銀のエース」「ミスターBOJ」と呼ばれ、将来の総裁候補と目されてきた。長きにわたり企画畑に在籍し、2001年企画室参事役、2004年政策委員会室審議役、06年企画局長を経て10年日本銀行理事(企画局、金融市場局、金融研究所担当)に就任している。理事の任期は4年で再任されないのが通例だが、14年に理事に再任されている。

状況に応じて臨機応変な対応ができるとの評価

報道などによると、雨宮氏は柔軟な思考ができる人で、臨機応変に状況に応じて政策を変えることができるという評価を得ている。特定の政策を強引に推し進めるようなタイプではなく、総裁の意向を組みながらその方向性に従った政策立案を行ってきたといえる。

これまで7人の総裁に仕えてきており、福井俊彦総裁(第29代、任期2003-08年)時代にはゼロ金利政策を解除し、白川方明総裁(第30代、同08-13年)の時には「包括的な金融緩和策」を導入している。黒田総裁(第31代、同13年~)の下では異次元緩和の政策立案にも関わり、うまく円安・株高を誘発し、企業業績を回復させた。これらのことからも柔軟な政策運営ということが理解できる。

日本銀行の体制と雨宮氏が在籍した「企画局」の重要性

「通貨の番人」といわれ、物価の安定と金融システムの安定を図ることが使命である日銀。総裁を頂点に副総裁2人、理事6人、15の本店局室研究所、支店32ヵ所、国内事務所14ヵ所、海外駐在事務所7ヵ所で構成されている。

15の本店局室研究所の中でも、通貨及び金融の調節に関する基本的事項の企画・立案を行う「企画局」は日銀の中でも中枢といえる存在だ。政策決定を行う政策委員会とも密接な関係を有し、総裁や副総裁のブレーン的役割を担う存在。つまり企画局への配属は日銀の中でもエリートコースとされているのだ。

雨宮氏はこの企画部門に長く在籍しており、日銀の中でも一目置かれる存在であった。企画局長や理事への就任の際も日銀関係者なら誰でも「順当な人事」と受け止められていた。

今回の雨宮氏の副総裁人事は、黒田総裁を支えてきた功績に報いるという側面もあるだろうが、総裁になるための布石とも考えられる。黒田総裁が後4年で退任したら、次は雨宮氏が総裁にというシナリオがあるのかもしれない。

ちなみに15の本店局室研究所には、①政策委員会室、②検査室、③企画局、④金融機構局、⑤決済機構局、⑥金融市場局、⑦調査統計局、⑧国際局、⑨発券局、⑩業務局、⑪システム情報局、⑫情報サービス局、⑬総務人事局、⑭文書局、⑮金融研究所がある。

日銀における副総裁の役割

副総裁の役割は、総裁を補佐することと、総裁に事故があった時に変わりに業務を執行するというものだ。日本銀行法第22条第2項では、「副総裁は、総裁の定めるところにより、日本銀行を代表し、総裁を補佐して日本銀行の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行う。」と規定されている。

ちなみに金融の調整に関する事項や重要な事項は、政策委員会で決議しなければならないことになっており、総裁の独断では決められない。政策委員会は、総裁(1人)と副総裁(2人)の他、審議員(6人)の計9人で構成されている。決議は3分の2以上の出席で過半数が必要なので、執行部の提案を通すためには総裁と副総裁の他、審議員2人の賛成があればよい。このような仕組みから、執行部の提案が否決されることはまずない。

黒田総裁の下、量的緩和によって一定の株価の上昇や景気の回復はできたと言えるが、目標である物価上昇率2%は程遠い。日銀のエースと呼ばれた雨宮氏も副総裁になることでこれまで以上に発言力は増すと思われる。大胆かつ、しっかりと効果の表れる政策を期待したい。(ZUU online 編集部)