昨日の海外時間には、FOMCが予想通り0.25%の追加利上げを決定しました。経済見通し、政策金利見通しは上方修正されましたが、パウエル議長の会見がそれほどタカ派的ではなかったことから米長期金利が低下してドル売りが強まりました。
今後の見通し
FOMCは予想通り0.25%の利上げを決定しました。発表されたドット・プロットによれば、FOMCメンバーによる経済見通しは比較的大きく上方修正されました。ただし年内の利上げ回数の予想は前回同様3回と4回に分かれていました。ただし前回タカ派的となった声明文には大きな変更はありませんでした。
今回初めてのFOMCとなったパウエル議長の会見では「労働力不足が言われるなかでも、賃金が上がらないことには私だけでなく皆驚いているだろう」「経済指標からはインフレ加速の兆候見られず」とインフレの進展には慎重な姿勢を示し、また「貿易措置、さらに広がれば見通しに影響を与えかねない」と通商問題に懸念を示しました。全体的にあまりタカ派的でないと受け取られたことから米長期金利が急反落する結果となりました。
大きなイベントを通過したことから、今後は再び来週27日に行われる佐川元国税庁長官の証人喚問に注目が集まると考えられます。安倍政権の継続に疑問符が付く状況にまで発展する可能性があり、中長期的にはまた別かもしれませんが、少なくとも短期的にはアベノミクスの終焉は株安 、円高という動きに繋がりやすいことから、円が買われやすい状況が続くと予想します。
ドル売りポジションを維持
106.40円のドル売り円買いのポジションを保有中です。損切りラインを持ち値の106.40円に引き下げて、損失を回避しながらレンジ下抜けを待ちます。
昨日の海外市場動向
欧州時間序盤、日経平均先物が下落したことから円買いがやや優勢となって、ドル円は106.20円台まで、ユーロ円は130.40円付近まで下落しました。その後「中国が米関税への対抗措置を計画」と報じられると円買いが強まって、ドル円は106.00円台まで、ユーロ円は130.10円台まで下落しましたが、この円買いは続きませんでした。
NY時間午前はFOMCの結果待ちで小動きとなりました。NY時間午後にかけて特段の材料はありませんでしたがユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.2290台から1.2250台まで、ユーロ円は130.60円付近から130.30円付近まで下落しました。
FOMCは予想通り0.25%の利上げを決定しました。発表直後は一旦ドル売りとなって、ドル円は106.00円台まで下落し、ユーロドルは1.2310台まで上昇しました。しかし米長期金利が上昇したことからすぐにドル買いが強まって、ドル円は106.50円台まで上昇し、ユーロドルは1.2250台まで下落しました。その後も米長期金利の上昇が続く中円売りが優勢となって、ドル円は106.60円台まで、ユーロ円は131.00円台まで上昇しました。しかしパウエルFRB議長の会見が始まると、それほどタカ派的ではないとされて米長期金利が急反落して、ドル売りが優勢となって、ドル円は105.80円台まで下落し、ユーロドルは1.2350付近まで上昇しました。
今日の東京時間には、日経平均は上昇しているものの、米長期金利がやや低下していることから円買いが優勢となっています。
今日の予定
今日の海外時間には英中銀金融政策委員会が開催され、金融政策が発表されるほか、英中銀四半期インフレ報告と議事録の公表、カーニー・英中銀総裁の会見が行われます。そのほか独/ユーロ圏・3月製造業/サービス業PMI、米・2月中古住宅販売件数、英・2月小売売上高指数、米・新規失業保険申請件数の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp