2020年のオリンピック開催地が東京に決まった直後は、連日ニュースで会場や選手村などの話題が取り上げられていましたが、最近は東京オリンピック終了後の会場や選手村がどのようになるのかが話題に取り上げられるようになりました。

選手村が建設されているのは東京都中央区晴海という場所で、この場所に東京ドーム3個分に匹敵する14~18階建ての宿泊施設21棟と商業棟が整備されることが予定されています。東京オリンピックが終了した後は、この選手村はどのようになるのでしょうか?オリンピック終了後の選手村の再利用について見ていきましょう。

東京オリンピックの選手村は再利用前提で建設されている

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(画像=kawamura_lucy/Shutterstock.com)

一般的にオリンピック終了後の選手村は再利用することを前提に建設されています。東京オリンピック終了後は、宿泊施設をマンションに改修するだけでなく、50階建てのタワーマンション2棟を建設することによって、合計約5,650戸のマンションを供給することが予定されています。

一般向けの分譲マンション以外にも、東京都の発表した整備計画では、サービス付き高齢者向け住宅や若者向けのシェアハウス、外国人向けのサービスアパートメントも建設することが計画されているだけでなく、学校の建設予定地など一時的ではなく、長期にわたって住み続けることができる街を目指していることが分かります。

現在、晴海地区には鉄道が通っていませんが、2019年には都心と臨海副都心を結ぶ新しい交通システムであるBRT(バス高速輸送システム)が導入される予定になっています。このBRTが予定通り開通すると、都心へのアクセスが大幅に改善されるので、分譲時の大きなポイントになると言えるでしょう。

中央区は人口増加率が23区内で1位、全国2位だった場所

約5,650戸のマンションが一気に分譲されるわけではありませんが、通常同等の戸数の分譲を行う場合は建設と分譲に何年もの時間をかけて行われるため、供給過多であることは明確です。しかし、中央区は2005~2010年までの国勢調査において、人口増加率が23区内で1位であるだけでなく、全国2位の人気のある場所であるため、分譲を機に引っ越しを検討する人が増える可能性があります。

また、分譲が予定されている住戸には家庭用燃料電池が設置されているなど、エコ住宅への取り組みが本格化していることに加え、立地条件などの環境面の良さに魅力の多いエリアになっており、予想に反してあっという間に分譲が完了してしまう可能性もあるでしょう。

不動産価格は一時的に下落する可能性が高い

供給量の多いマンションの分譲を行う場合、建設と分譲を繰り返しながら何期かに分けて供給過多にならないように工夫しますが、今回は選手村として使用した宿泊施設を住居仕様に変更する程度なので、通常の分譲よりも供給スピードが早くなってしまいます。

一時的に供給スピードが早くなってしまうことによって、市場に不動産があふれることになってしまうため、中央区周辺では不動産価格が低下してしまう可能性があります。特に、東京オリンピックの影響による不動産価格の高騰や、人件費の高止まりによる分譲マンションの価格が最高値を更新している状況にあるだけに、物件価格の下落は避けられない状況と言えるでしょう。

まとめ

2020年の東京オリンピック終了後における選手村は、分譲マンションとして再利用される予定になっています。再利用として分譲されるのは、選手村の14~18階建て21棟だけでなく50階建てのタワーマンション2棟がさらに加わるため、供給過多によって一時的に中央区全体の不動産価格が低下する可能性が懸念されています。

分譲が予定されている住戸には家庭用燃料電池が設置されているなど、エコ住宅への取り組みが本格化していることに加え、地域の一部を緑地化するなど環境に配慮した新しい街づくりのモデルとして注目されているため、需要が高まる可能性もあります。

新しい街づくりのモデルとして成功するか、また供給が多すぎた場合に周辺の不動産価格に及ぼす影響を知る上でも、東京オリンピック終了後の選手村の再利用の行方は注目されていると言えるでしょう。(提供:不動産投資セミナー

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