HEROZの新規上場も刺激
日経平均株価が3日、一時前日比332円安まで下落した。根強い米中の貿易摩擦への懸念を背景に、相場は依然として安定感を欠いている。為替も再び1ドル=105円台まで円高が進み、3月企業の本決算発表シーズンを前に手控えムードがぬぐえない。一方、本格化するテクノロジーの革新は、着実に世界を変える。普及期を迎えつつあるAI(人工知能)もその一つ。オフィスでの単純作業を自動化する「RPA」への注目度の高まりや、将棋ソフト「ポナンザ」で知られるHEROZ(4382・M、情報通信、4月20日上場予定)のIPO(新規上場)も控え、有力な手掛かり材料となりそうだ。
展示会も注目―ヴィンクス、オンキヨーなど
東京ビッグサイト(東京・江東区)では4日から、展示会の「AI・人工知能EXPO」が始まる(6日まで)。今年は昨年の3倍の300社が参加し、大きな盛り上がりが期待される。出展企業では、無人レジ関連銘柄として注目されるヴィンクス(3784)がAIを使った洋服コーディネート技術を展示する。オンキヨー(6628・JQ)などもウェアラブルAIスピーカーで参加するほか、AIによる画像解析のモルフォ(3653・M)も面白そうだ。
Tホライゾン―画像分野に強み、自動運転時代リード
光学、電子機器のテクノホライゾン・ホールディングス(=Tホライゾン、6629・JQ)は、画像半導体大手の米エヌビディアのAIコンピューターモジュールに対応した組み込みプラットフォームを手掛ける。3月末に米国で行ったエヌビディアの技術イベントではAIを使った自動運転やロボットなどの関連技術が大きな注目を集めた。FA(ファクトリー・オートメーション=工場自動化)や自動運転にAI技術の活用が広がる中、Tホライゾンの製品にも関心が高まりそうだ。
足元の業績も好調。前2018年3月期の連結営業利益は10億円(前々期比2.1倍)となったもよう。AI以外にも、監視カメラや教育IT関連製品、ドライブレコーダーなど材料が豊富だ。
株価は2月の上場来高値1027円からは調整を挟んでいるものの、13週移動平均線を足場に粘り腰をみせている。
ソフトバンテ―英アームと協業、IoTで相乗効果
ソフトバンク・テクノロジー(4726)は、製造業の生産性を向上するAIのクラウド提供に向けた取り組みを共同で開始したほか、AIチャットボット(会話を自動的に行うプログラム)による人材育成システムに注力している。親会社のソフトバンクグループ(9984)が買収した英半導体設計大手アーム・ホールディングスとは、IoT(モノのインターネット)分野のパートナー契約を締結。アームは昨年にAI時代に対応した高性能プロセッサーを開発済みだ。IoTで得たビッグデータをAIで解析し、IoT製品にフィードバックする流れが強まる中、アームとのパートナー契約が大きな強みとなってきそうだ。足元の業績もクラウド案件が官公庁向けで伸びている。
株価は安値圏から切り返す動き。13週移動平均線を上抜くと上昇に弾みが付きそうだ。
Dセクション―本格的な収益貢献に、株価は見直し機運
データ解析のデータセクション(=Dセクション、3905・M)は、独自のAIプラットフォーム「エムエルフロー」の成長期待が高まる。ブイキューブ(=Vキューブ、3681)子会社の持つドローン(小型無人飛行機)技術を組み合わせ、太陽光発電施設の点検システムの提供を開始した。今後はトンネルなどのインフラ監視や農業分野への進出を目指す。迷惑メールの投稿監視サービスなども手掛け、AI事業が本格的な収益貢献期に入る。
株価は安値圏でもみ合う動きを続けているが、AIへの関心の高まりとともに見直し機運が強まりそうだ。(4月4日株式新聞掲載記事)
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