資産運用を続けるにあたって、最も重要なことはリスク管理です。運用する以上、相場の状況によって資産が目減りする可能性は避けられません。しかし、今回ご紹介する「3つの分散」を意識することで、リスクをある程度抑えて安定的に運用を継続できます。3つの分散にあたる商品の分散・時間の分散・地域の分散について説明します。
基本は複数商品へ投資対象を分散
リスク管理を考えたときに基本となるのは商品を分散させることです。投資の世界において、有名な格言として「卵は一つのカゴに盛るな」というものがあります。これは、商品分散によるリスク管理の重要性を表現したものです。たとえば、特定の会社の株式に100%の手持ち現金を投資した場合、その会社の株価が上がると良いのですが、万が一倒産してしまった場合の資産はゼロになってしまいます。
そのため、投資対象を分散させるようにします。たとえば、10個の会社に分散して投資した場合、いずれか1社が倒産してもダメージは10分の1で済みます。
ただし、できれば株式だけでなく債券、不動産、外貨など異なる商品を選ぶ方が分散効果があります。たとえば、景気の悪化で経済全体が落ち込むと、株式を保有している企業すべての株価が下落する可能性が高くなります。異なる値動きをする商品を投資対象に加えることで、効果的なリスク分散を実現できます。
商品の分散について決めるとき、ぜひ考えたいのが「アセットアロケーション」と「ポートフォリオ」です。アセットアロケーションとは、国内株式・外国株式・国内債券・外国債券など、異なる資産クラスへの配分を指しています。アセットアロケーションを意識することで、自分が投資したい、あるいはすでに投資している対象の資産クラスがどれくらい分散できているのか把握できます。
次にポートフォリオとは、アセットアロケーションをより具体的にしたものです。たとえば、国内株式のなかでも「トヨタ自動車15%」「ソフトバンク5%」など、銘柄名を挙げて組み合わせたのがポートフォリオです。アセットアロケーションを決めてからポートフォリオを考えることで、効率的に商品分散ができるようになります。
時間差投資のドルコスト平均法を目指す
2つ目に知るべき分散方法が時間的な分散です。特定の時期にまとめて資産を購入するよりも、ばらばらの時期に分けて購入した方が「高値づかみ」を回避できる可能性が高まります。
株式で考えると、最も効率的なのは当然ながら「株価が最も下がった瞬間に手持ち現金のすべてで株式を購入し、その後株価が上昇しきったときに売却する」ことです。もし、株価が割安になった瞬間や割高になった瞬間を分析できるのであれば、一点集中型で投資するほうが合理的です。
しかしながら、実際はそこまで正確に相場をつかめる人はいませんし、資産運用初心者であればなおさらそうでしょう。そうした初心者は、自分の知識や分析力を過信して集中投資すると、大きく外す可能性が高くなります。
時間的な分散投資は、よく「ドルコスト平均法」と呼ばれます。株価が割高な時期にも、割安な時期にも同じ量をこつこつ買い続けることで、購入価格が平準化されます。これで、少なくとも割高な時期にまとめて買い付けてしまうリスクだけは避けられます。「ベストではないかもしれないが、ワーストではない」というのがポイントです。
自分で買い続けるのは少し面倒ですが、2018年から始まった「つみたてNISA」のような積立投資の仕組みを利用すると自動的な買い付けが可能です。ほったらかしでも資産が積み上がる、こうした仕組みを利用すると良いでしょう。
慣れたらグローバル投資で地域分散
最初は日本国内だけの投資で良いと思うのですが、慣れてきたら国外へ目を向けグローバルな投資を意識したほうが良いでしょう。国内だけに投資するのは、日本への集中投資にほかなりません。日本経済が縮小した際のリスクを分散できるよう、さまざまな国を投資対象にします。
ただ、最近ではグローバル化が進展し、一つの地域で発生した経済危機が世界中に波及してしまうといったことも考えられます。どの地域でも不景気になってしまうのであれば、投資対象を地域別に分散させたところで、あまりリスク管理の効果はないともいえるかもしれません。
しかし、それでも一つの地域に集中するよりはリスクを分散できると考えられます。国によってはマイナス成長になることがあっても、世界全体で見ると確実にプラス成長を遂げているからです。IMFは、2017年10月段階で2017年の経済成長率を3.6%、2018年の経済成長率を3.7%と見込んでいます。グローバルに分散させることで、世界経済全体の成長を資産の成長に反映できるわけです。
資産運用に際しては、いろいろな国の異なる種類の資産へ分散させることが重要です。短期的には、「あの資産があるせいで全体の成長の足が引っ張られた」ということがあるかもしれません。しかし、長期的には商品・時間・地域を分散させ、少しずつ資産を積み上げる方が、よりリスクを管理できる形でリターンが得られると期待できます。(提供:Incomepress )
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