やっぱり高い 東京の地価
国土交通省が2014年6月10日に発表した「平成25年度土地に関する動向」及び「平成26年度土地に関する基本的施策」によると、東京、大阪、名古屋の三大都市圏は、住宅地、商業地ともに6年ぶりに地価が上昇に転じました。このうち、特に地価の上昇傾向が顕著に見られた東京圏の地価動向(商業地)について、市区町村別に変動率を見てみると、3%以上地価が上昇しているのは、東京都千代田区、中央区、港区等の東京都の都心部、神奈川県川崎市、横浜市等です。
このように、東京都の都心部を中心に周辺部への地価上昇の動きが拡大しており、特に収益性や利便性に優れた地域や、今後、収益性、利便性等の向上が見込まれる地域における地価の上昇が、東京圏全体の地価の回復を牽引していることがわかりました。
また、財務局が2014年3月に発表した「平成26年地価公示価格(東京都分)」によれば、東京23区全域の変動率は 1.8%と、昨年の-0.2%から上昇に転じました。そして、23区全域で変動率が上昇しています。 なかでも、上昇率が最も高かったのは、8.7%の中央区(前年0.0%)で、6.0%の千代田区(同0.0%)、5.9%の港区(同0.1%)がこれに続いています。
具体的な価格ですが、東京23区の用途別の平均価格は、住宅地で最も高いのが千代田区で198万8300円/㎡、商業地で最も高いのが中央区で630万7400円/㎡となっています。23区全域では住宅地が50万4800円/㎡、商業地が210万1000円/㎡となっています。このように、東京の地価が上昇しています。今回は、今年の東京23区の公示地価からオフィス市況やマンション市況を見ていきたいと思います。
オフィスは旺盛な移転需要で好調
まず、オフィスなどの商業地は、区部全域の変動率は昨年の-0.4%から上昇に転じ2.7%となりました。全23区で変動率が上昇し、上昇率が最も高かったのは、4.7%の中央区(前年-0.4%)でした。そして、4.4%の港区(同-0.8%)、4.2%の千代田区(同-0.5%)がこれに続いています。
店舗付きマンション素地の取得競争、富裕層の消費動向の回復、大型再開発等の波及効果が複合的に影響し、都心一等地での地価上昇が目立っています。 一昨年の新規オフィスビル大量供給により高まったオフィスの空室率は、旺盛な移転需要で確実に改善しているようです。移転の理由としても、耐震性等機能性を重視した移転のほか、事務所のグレードアップ、立地改善、事業拡張など積極的な理由によるものが増えています。また、賃料の水準は下落傾向が続いていましたが、グレードの高い大規模ビルを中心として値上がりに転じ始めています。また、店舗を中心とした高度商業地は、消費動向の回復や外国人観光客の増加に伴い堅調に推移しており、店舗賃料の上昇が顕著となっているようです。