マンション市況も強含み

一方、マンションですが、区部全域の変動率は昨年の-0.2%から上昇に転じ、1.8%となりました。こちらも全23区で変動率が上昇し、上昇率が最も高かったのは、8.7%の中央区(前年0.0%)でした。6.0%の千代田区(同0.0%)、5.9%の港区(同0.1%)がこれに続いています。

マンションの販売は景気回復や円安・株高を背景とした住宅取得資金量増加に伴い、富裕層を対象とした高額マンションを中心に需要が回復しています。そして、マンション開発適地の希少性が一段と高まっているようです。

また、オリンピック開催決定後、中央区、江東区等の湾岸エリアで、分譲マンションが好調な売れ行きを示しています。これは、都心に近く、震災対応等の機能性を付加したマンションの開発が進んでいたことに加え、交通インフラや町並み整備に伴う値上がり期待が高まったことが要因と考えられています。


投資意欲の改善も地価上昇の要因に

良好な資金調達環境が継続する中、投資家の期待利回りが低下傾向を示していることも、地価上昇の要因となっています。日本の不動産に対する海外投資家の投資意欲が高まりを見せ、不動産投資市場の好調に寄与しています。

また、J-REITに加え、私募ファンドやJ-REIT以外の投資による取引も活発化しています。財務省が2013年度に実施した海外投資家に対するアンケート調査では、現在の投資額と3年後の投資額を地域別に比較すると、日本の不動産に対する投資額を「増加させる」との回答割合は 41.1%で、日本を除くアジアに次いで2番目に高かったようです。このように国内外の投資家たちの不動産に対する投資意欲の高まりも、地価上昇の一因となっているようです。


東京23区の公示地価の今後は?

これまでみてきたように、今回の地価上昇は収益性、利便性等の向上が見込まれる地域における地価の上昇が、地価の回復を牽引していいます。また、富裕層を対象とした高額マンションを中心に需要が回復し、マンション開発適地の希少性が一段と高まっていることなどが背景にあります。つまり、バブル期のような投機を目的とした急激な需要拡大ではなく、ゆっくりではあるが着実な上昇です。2020 年のオリンピック・パラリンピック東京大会も控えており、この傾向は、これからも続くとみられます。

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