新年度相場が始まり、株価は一時に比べると落ち着きを取り戻しているようです。米国と中国の「貿易戦争」が気になる所ですが、決算発表シーズンを控え、市場は企業業績への関心を高めつつあるように思われます。

そうした中、前回(4/6付)の「日本株投資戦略」では、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できる「好業績銘柄」を探るべく、スクリーニングを行いました。そこで分析の対象としたのは時価総額1千億円以上の「主力銘柄」で、市場からの評価がすでにある程度、確立されているとみられる銘柄でした。

決算発表を控えた時期でもあり、今回の「日本株投資戦略」でも、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待できる銘柄をスクリーニングにより抽出したいと思います。ただし、分析の対象としたのは時価総額500億円以上1千億円未満の銘柄です。もう少し市場からの評価が高まれば、近い将来に「主力銘柄」としての活躍も期待できる銘柄群になっていると「日本株投資戦略」では考えています。

上方修正に加え次の「主力銘柄」として活躍が期待される銘柄は!?

「主力銘柄」として活躍が期待される銘柄
(画像=PIXTA)

さっそく、業績見通しの上方修正や、会社計画を上回る収益計上を期待でき、近い将来に「主力銘柄」としての活躍も期待できそうな「好業績銘柄」を探るべくスクリーニングを行ってみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部に上場する3月決算銘柄であること
(2)時価総額が500億円以上1千億円未満(2018年3月末現在)であること
(3)広義の金融を除くセクターに属していること
(4)業績予想を公表(Bloomberg)しているアナリストが2名以上いること
(5)第3四半期(累計)の営業増益率が2018年3月期(通期)の予想営業増益率(会社予想と市場予想)を上回っていること
⇒表1では(A)の数字が(B)よりも大きくなります
(6)2018年3月期(通期)の営業利益について、市場予想が会社予想を上回っていること
⇒表1では(C)の数字が(B)よりも大きくなります
(7)直近4週間で市場予想EPS(一株利益)が低下していないこと
(8)2018年3月期および2019年3月期の市場予想営業増益率が10%超となっていること
⇒表1では(C)および(D)が10%超となります

表1は上記のすべての条件を満たす銘柄について、19/3期の市場予想営業増益率(D)が大きい順に並べたものです。

メガチップス <6875> は任天堂関連銘柄の代表的存在で、同社ゲームソフト向けにLSIを提供しています。「Nintendo Switch」の売上高見通しは予想以上に好調であり、当社の業績も当面は拡大が見込めそうです。営業利益は2019年3月期に60億円程度が予想(市場コンセンサス)されています。なお、ホシデン <6804> も任天堂向けの納入が多い銘柄です。

電子部品メーカーについては、車載向け市場の拡大を取り込むことに成功している企業の活躍が目立ちます。新電元工業 <6844> やKOA <6999> も例外ではないようです。前者は急速充電器、後者は抵抗器分野で電気自動車(EV)向けの売上拡大も期待できそうです。

メニコン <7780> は好採算の定額会員サービスが伸長し、事業が拡大しています。ツガミ <6101> は小型自動旋盤のトップ企業で、製品の大半を中国で生産し、自動車、スマホなど多くの分野に納入しています。

日本株投資戦略,主力銘柄
(画像=SBI証券)

慎重な業績見通し等に注意

今回のスクリーニングでも、(5)と(6)がポイントです。(5)の条件を満たしていることで、その会社は「通期の会社予想営業利益」を上回る勢いで第3四半期を通過したとみなすことができます。したがって、ビジネスが順調に進んでいれば、業績予想が上方修正される可能性が出てくると考えられます。さらに(6)を満たしていることで、アナリストも同様に、その会社の業績を強めに予想していることが理解されます。

なお、今回は(2)の条件にもあるように、時価総額が500億円以上1千億円未満を対象にしています。機関投資家によっては、運用銘柄の時価総額について、最低1,000億円程度を目安にしている場合もあるとみられます。すなわち、もう少し市場からの評価が高まれば、近い将来に時価総額が1,000億円以上となり、機関投資家の運用対象となり、各種ファンドに組み入れられ、更なる株価上昇を期待できるようになると考えられます。

なお、このクラスの時価総額の銘柄であれば、やはり、高い成長を連続であげることができる銘柄を選好したい所です。そこで、2018年3月期と2019年3月期の両方において、営業利益が10%超伸長することも条件としました。仮に、2018年3月期の業績が計画を上回っても、2019年3月期の利益が伸び悩む見通しとなっては、株価面で好パフォーマンスを望むことは難しいと考えられます。その意味で、アナリストが当面、高成長を予想できる銘柄であることは「最低条件」と言えるかもしれません。

なお、スクリーニングの結果、ご紹介する銘柄のほとんどが製造業であり、国際的に事業を展開する企業が多くなりました。このため、一時に比べ円高になったことや、米中の貿易摩擦等を背景に、会社側が2019年3月期の業績予想を慎重に出してくる可能性があり、その点は注意が必要です。ただし、会社側による慎重な業績予想で売られた場合、その会社が最終的に、アナリストが期待したような高い増益率を確保できるのであれば、株価は将来、回復に転じると期待されます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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