男性用美顔器の売れ行きが好調だ。俗にいう草食系男子の増加に伴い、若い世代中心に売れ行きが伸びているかと思いきや、40代以上の中高年の男性にも売れていると聞き、いささか驚いている。

特にアラフォ―世代の男性サラリーマンは、お肌の曲がり角を迎え、加齢が自分事になってくる世代でもある。また彼らの周囲には、美容を当たり前にたしなむ若手男性や厳しいチェックの目を持つ女性の存在が、職場における身だしなみは必須の時代が到来している。

ヤーマン,男性美顔器
(画像=RomarioIen/shutterstock.com)

男性美容市場の伸びは

Beauty 総研「男性美容に関する調査」によると、職場の女性が一緒に働く男性に対して求めるものは、第二位の「言葉遣い・話し方に好感が持てる」を抑えて、第一位が「清潔感である。

では男性美容マーケットは2000年以降どのように拡大してきたのだろうか。経産省が発表した生産動態統計調査(男性皮膚用化粧品・出荷額)によるメンズコスメ、スキンケア市場の推移は、2001年111億円だったものが2013年には220億円と倍増している。

同じくBeauty 総研「男性美容に関する調査」によると、男性が悩むポイントは「臭い」「顔の肌質」「体形」などの加齢カテゴリーで、その悩みへの対応策として「洗顔料」「制汗剤」「化粧水」などを使うことが多いようだ。

また最近はそこから一歩進んで、男性用美顔器を積極的に使う層が増えているという。その背景には、男性向けエステティックサロンのCM効果や男性モデルやタレントのテレビでの美顔器具のこだわりの発信などがあるようだ。また男性の年代別の肌の悩みを見てみると、50代はたるみ、40代はシミ、30代は毛穴、ニキビとなっているが、それらをすべて解決するものとして男性用美顔器が存在している。

美顔器関連企業の株価を見てみると、その代表格であるヤーマン株式会社 <6630> は、後述する「RF ボーテシリーズ」の販売好調が追い風となり、2018年4月期第3四半期決算の売上高は前年同期比18.4%高の約176億円、営業利益が同59.6%増の約46億円となった。株価も2,500円前後で推移しており(2018年4月現在)、600円を割っていた1年前に比べて、約5倍の水準だ。

売れ筋美顔器はどれ?

では、具体的にどんな美顔器が売れ筋なのだろうか。美顔器は大きく2つのタイプに分類できる。毛穴やシミ対策には肌に潤いを与える性能に優れている超音波タイプ、たるみには顔だけでなく全身にも使えるローラータイプだ。例えば「RF ボーテシリーズ」のひとつである「RFボーテ フォトPLUS EX」は前者にあたる。

ヤーマン公式オンラインショップによると税抜価格45,000円と決して安くはないが、売れ行きは好調という。年齢と共に増えるお悩みに、ヤーマン独自技術で、肌に安定的に熱を与えて角質層のすみずみまでアプローチ。温めながら毛穴ケア・うるおい保湿・表情筋トリートメントなどを行うことで、年齢のサインを抱える肌にハリを与えてくれるという。

他ブランドも男性をターゲットにしたラインナップの充実を進めている。男性の美容意識の高まりで新たな市場が生まれており、その市場をいち早く獲得している企業の株価は大きく上がっている。個人投資家としても、世のトレンドに敏感でありたいものだ。

マネーデザイン代表取締役社長 中村伸一
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。