さまざまなカテゴリーのプレステージブランドを手掛けるフランスLVMHの業績が好調だ。一時は贅沢品の自粛ムードで落ち込んでいた中国市場も復調しており、2018年1-3月期の売上は13%増えた。LVMHの企業名自体、日本での知名度は低いが、傘下のブランドは多くの日本人におなじみだ。(文中敬称略)

ヴィトン,LVMH
(画像=Sergio Monti Photography/Shutterstock.com)

ブランドコングロマリットLVMHの素顔

高級バッグのルイヴィトン、化粧品のクリスチャンディオール、シャンパンのドンペリニヨン、アクセサリーのブルガリ、憧れの高級腕時計タグホイヤーはいずれもLVMHの傘下だ。「メゾン」と呼ばれる参加ブランドは70、売上は426億ユーロ(約5兆8000億円)にも達する。

こうした複数のブランドカテゴリーを擁する巨大企業グループを「ブランド複合企業(コングロマリット)」と呼び、ヨーロッパの超富豪たちが経営権を握っている。LVMHを支配するベルナール・アルノー氏は世界4位の資産家、かのマーク・ザッカーバーグ(Facebook創業者)やラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)よりもお金持ちだ。個人資産は736億ドル(円ではない!)に達する。

アルノー氏はフランスの超エリート校エコール ポリテクニーク卒で建設業を経たのち、ラグジュアリーブランドの再編を手掛けるようになる。80年代には当時経営危機に陥っていたディオールの黒字化に成功、以降数々のブランドを買収してきた。先般のパラダイス文書では、同氏がタックスヘイブンを積極的に活用していたことが露呈、詳細を報道したル・モンド紙に対し広告撤収で圧力をかけるなど、物議をかもした。

世界の高級ブランドビジネスは、LVMHを始め、グッチを抱える第2位のリシュモン、カルティエやピアジェを傘下に持つ第3位のケリングが市場をほぼ握っている。彼らはマルチブランド化による高いオペレーション効率、大量のマスプロモーションなどの手法を巧みに駆使してブランド価値を最大化しており、日本企業に入り込むスキはほとんどない。

化粧品もマルチブランドビジネス

一方、同じカテゴリーでコングロマリットが形成されるケースもある。代表的なのが化粧品だ。高級基礎化粧品SK-IIが誕生したのは1980年代、今では世界13か国で愛用されている。世代を超えて受け継がれる人気商品で、知名度は非常に高い。杜氏の手の美しさに着目して、酵母を主成分に開発したというブランドストーリーもよく知られている。

一方で、SK-IIが家庭用品のトップカンパニーP&G(プロクター&ギャンブル)社の1ブランドであることは、あまり知られていない。綾瀬はるか・有村架純・タンウェイ・桃井かおりなどの看板女優が登場するSSK-IIのウェブサイトにも、P&Gの名前は文末に小さく登場するだけだ。

化粧品の場合、欧米のコングロマリットが複数ブランドを展開しているケースが多い。デパートの化粧品売り場には、多くの化粧品カウンターがしのぎを削っているが、エスティーローダー、クリニーク、アラミス、ボビイブラウン、M・A・Cなどのブランドは、いずれもエスティーローダー傘下だ。

クリニークのようにローダー社が立ち上げたブランドもあるが、買収で手に入れたブランドも多い。ボビイブラウンは1991年にメーキャップアーティストのボビイブラウンが立ち上げたブランドだが、1995年にローダーの傘下に入った。

そんなローダー社自体も、ユニリーバやロレアルへの身売りの噂が出てきている。投資銀行ゴールドマンサックスにも話が持ち掛けられているようだ。コングロマリットがさらに巨大なグループに飲み込まれることになる。

今後も成長が続くブランドビジネス

利益率の高いプレステージブランド市場規模は世界で38兆円にものぼる。欧米が売り上げの中心と考えられがちなブランドビジネスだが、例えばLVMHのアジア売り上げは全世界の1/3を占め、アメリカ・ヨーロッパ地域を上回る。アジア市場の高い伸びに支えられ、プレステージブランド市場は年平均6.6%の成長が見込まれる。ブランド複合企業の経営も当面安泰のようだ。(ZUU online 編集部)