「お金持ち」というと、経営者や投資家など、会社員以外の働き方をしている人のイメージがあります。日々会社勤めをしていると、「自分がお金持ちになれる可能性がどれくらいあるのか」について、ほとんどの人は考えないものです。
そこで、今回は会社員の生涯賃金を概算し、「本当にお金持ちになれないのか」「そうだとすれば何をすればよいのか」について解説していきます。ポイントは、生涯賃金に加えて資産運用を行い、お金に働いてもらうことです。
会社員の生涯賃金は2億円程度
会社員は、就職してから退職するまでどの程度稼ぐことができるのでしょうか。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働党系2017」によると2015年の生涯賃金は、男性の大学・大学院卒で約2億7,000万円、高専・短大卒で約2億1,450万円、高卒で約2億730万円です。女性の場合は、大学・大学院卒で約2億1,670万円、高専・短大卒で約1億7,530万円、高卒で約1億4,640万円となります。
上記を踏まえると、一般的な会社員の生涯賃金は多くても2億円程度であることがわかります。もちろん、後述するように企業規模によって賃金は大きく異なるので、だいたい1億~3億円前後に収まると考えてもよいでしょう。
生涯賃金のうち「どれくらいの割合を貯蓄に回せるのか」は、一概に述べることはできません。当然ながら、世帯構成など家庭環境によって回せる程度は変わってきます。仮に、貯蓄できる平均割合を15%と多めに見積もり、生涯賃金が1億~3億円とすると貯蓄できるのは約1,500万~4,500万円です。
別の記事で、老後に必要な額(年金のぞく)を持ち家・賃貸、そして最低限の生活・ゆとりある生活に分けて算出しています。そこでは、持ち家×最低限の生活で1,320万円、持ち家×ゆとりある生活で5,190万円、賃貸×最低限の生活で4,320万円、賃貸×ゆとりある生活で8,190万円としています。
参考:老後の生活費 【節約コース】は6,000万、【悠々自適コース】で1億円 貯金と年金だけでつくれる?
このように考えると、生涯賃金が多めで、収入の15%を貯蓄に回せるほど切り詰めた生活を続けたとしても、「お金持ち」とはとてもいえません。
企業規模が左右する生涯賃金
生涯賃金について、もう少し詳しく見てみましょう。生涯賃金は、学歴や性別によっても変わることは前述したとおりですが、企業規模による違いも見落とせません。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働党系2017」によると2015年における1,000人以上の「大企業」の大卒・大学院卒の生涯賃金は約3億円超です。一方、100~999人の「中企業」は約2億5,000万円、10~99人の「小企業」は約2億円となっています。
大卒・大学院卒の大企業勤務の男性で生涯賃金は約3億円程度で、大卒・大学院卒の小企業勤務の女性だと約1億7,000万円となります。大卒・大学院卒の大企業勤務の男性でも、15%の貯蓄で4,500万円程度の資産しか形成できないことになります。ましてや、それより低い賃金の人だと、よほど切り詰めた生活をしても老後は「生き抜くのでも精一杯」という状態になりかねないのが現状です。
会社員がお金持ちになるなら資産運用が必須
結論としては、どうしてもお金持ちになりたいなら不動産や金融商品などを活用した資産運用が必要不可欠であるということです。銀行への貯金だけでは、利回りがほとんどゼロに等しいため資産が増えません。資産運用で増やす努力をしなければ、大企業勤務の男性でも、老後に何とか生活できる程度の貯金しかできないのです。そのため、何も考えずに「お金持ちになる」ということは、夢のまた夢でしかないことがよくわかるのではないでしょうか。
資産運用といわれると、損をする可能性があるために二の足を踏む人もいるかもしれません。しかし、「リスクを分散させる形で少しずつお金を投じる」「あまりリスクの高くない商品を選択する」という工夫でリスクを最小限にすることが可能です。つみたてNISAやiDeCoのように、税優遇のある商品を上手く活用して少しずつ投資できる制度もそろっていますから、会社員が資産運用を始めるのに適した環境は整備されているといえるでしょう。
当然ながら、お金持ちになるには安定的な収入は欠かせません。あくまで本業をがんばって収入を増やすというのは大前提であり、本業にプラスして資産運用を行うということです。ポイントは、自分だけでなく「お金に働いてもらう」という意識が必要になります。銀行や自宅のタンスにお金を眠らせてしまわず、資産運用して増やす考え方がこれからの時代にはますます重要になるでしょう。(提供:Incomepress )
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