昇給して4月からお給料の額が増えた人もいるかもしれません。昇給して嬉しいと思う気持ちがあるのもつかの間、6月から手取りが変わる可能性があることをご存じでしょうか。4〜5月は特に給与も変わっていなかったのに、なぜこのタイミングで?と不思議に思う人もゼロではないでしょう。そこで、6月から手取りが変わるかもしれない理由をお伝えします。

6月から住民税が変わる?

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(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

まず、会社員が毎月支給される給与に対し払う税金は大きく分けて所得税と住民税の2つがあります。しかし、この2つは課税のタイミングが異なります。

所得税は、毎月の給与支給時および賞与支給時に源泉徴収されます。ただ、毎月支払ってきた源泉徴収の総額と、最終的に1年間の所得で計算した所得税額は異なることがあります。この差額を調整するのが年末調整です。一般的には12月の給与支給時に年間で支払うべき税額を再計算し、これまでの源泉徴収額との過不足を調整します。もし1年間の本来の所得税額より毎月差し引かれてきた源泉所得税額が多ければ、12月の給与支給時に所得税が還付されます。逆に、これまでの源泉徴収税額が1年間の本来の所得税額に不足する場合は、12月の給与から不足分の源泉徴収が行われます。

一方、住民税は1年間のすべての所得が年末調整や確定申告などで決定した後、その所得をベースとして計算されます。住民税の計算は各市区町村で行われるため手続きに時間がかかり、実際の住民税が課されるタイミングは年始めとズレが生じます。その課税開始時期が6月なのです。

住民税は、前年の所得に基づいて算出した年度の税額を12等分して、6月から翌年5月までの給与から天引きされます。所得税の源泉徴収額は月の給与支給額の増減に連動して増減しますが、住民税の天引き額は端数分を除いては1年間変わりません。また、賞与からの住民税の天引きはありません。

退職して給与を受け取れなくなる場合でも、その年度の住民税額は既に前年の所得を基に決定されています。年度の残りの住民税は、最後に支払われる給与から一括で天引きされるか、または、納付書を基に自分で納付します(転職先が決まっている場合は転職先の給与から天引きすることもできます)。

手取りも変わる可能性が!?

当然、前年の収入が上がっていれば6月からの住民税が増えるわけですが、なかには給与が変わらないのに住民税が上がり、手取りが減ってしまう人もいます。いくつかパターンを紹介しましょう。

●社会人2年目・3年目の人 前述したように、住民税は前年の所得を基に計算されるので、学生時代アルバイトや副業などで収入が多かった人以外は、社会人1年目には住民税はかかりません。社会人2年目の6月から住民税を納めることになりますので、手取りはその分だけ減ります。

同様に、社会人1年目は4月から12月までの9か月分しか給与がありませんが、2年目は1月から12月までフルに働くため、社会人1年目から2年目にかけては月給が変わっていなくても「年収」は3割ほど増えます。このため、前年所得を基に計算される住民税は、社会人3年目の6月にも増えるのが一般的です。

●控除額が減少した人 子どもが就職して扶養家族でなくなった人や、住宅ローン控除の対象期間10年が過ぎた人なども控除額が減少し、住民税が上がることがあります。

●前年に副業などで給与以外の収入があった人
アルバイトなどのわかりやすい収入だけではなく、FXやビットコインの売買で利益が出た場合、知り合いに頼まれた一時的な原稿執筆や講演で得た収入でも、課税所得の対象になって住民税が上がるかもしれません。

6月になって慌てないようにしましょう

このように毎年6月は、住民税の関係などによって手取りが変わる可能性があります。特に4月から給与が少し増えたにもかかわらず、6月から税金やその他の控除がそれ以上に増えて、手取りが減ってしまうケースは要注意です。給与の増加に気を良くして財布のひもを緩めていると、6月の給与明細を見て顔が真っ青になるかもしれません。大まかで良いので税金の計算の仕組みを勉強したり、多少は余裕を持った月々のお金のやり繰りを心掛けたりすることで、6月になって慌てないようにしましょう。(提供:マネーLife Style


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