自分が加入している保険に関して不安や疑問を抱いてはいるものの、どのタイミングで見直せばいいかわからない、という人は少なくない。保険の見直しをするのにベストなタイミングとは、いつなのだろうか。また、保険選びで後悔しないためには、どういった点に注意すればいいのだろうか。

保険の見直しにベストなタイミングはいつ?

医療保険,保険見直し
(画像=PIXTA)

保険の見直しについて、「いつ相談に行けばいいのだろうか」「他の商品に乗り変えたり、新たに保険に加入したりするのは、どのタイミングがベストなのだろうか」と悩んでいる人は少なくない。実際、保険を見直すのにベストなタイミングとはいつなのだろうか。

●ライフイベントに合わせた保険の見直し

「将来想定されるライフイベントはなにか」というアンケート調査を実施したところ、以下のような結果が得られている(生命保険文化センター『平成28年度生活保障に関する調査』より。複数回答。)。

・老後の生活の充実……57.4%
・子どもの教育……31.2%
・結婚、再婚……23.0%
・就労、再就職、転職、独立開業……21.4%
・出産、子どもを持つ……15.4%

この結果を見ると、家族構成や収入が大きく変化することを「将来のライフイベント」として想定している人が多いことがわかる。では、これらのライフイベントに対して今の段階で十分備えられている人は、どのくらいいるのか。同調査によると、各ライフイベントに対して順調に準備できていると回答した人の割合は、以下の通りだ。

・老後の生活の充実……3.7%
・子どもの教育……5.2%
・就労、再就職、転職、独立開業……3.5%
・結婚、再婚……5.0%
・出産、子どもを持つ……4.0%

転職や独立開業、結婚や出産など、いつ起こるかわからないライフイベントについては、いざその時になってから様々な「備え」を準備し始める人が多いのであろう。皆様の中にも、就職や転職、結婚、子どもの誕生を機に保険の見直しを検討するようになった、という人がいるのではないだろうか。

結婚したり子どもが生まれたりすると独身の頃に比べて背負う責任が大きくなるし、必要な保障も変わってくる。また、就職時、転職時、独立開業時、退職時は、収入面に変化が生じやすい。

この意味で、結婚、再婚、子どもの誕生、就職、転職、独立開業、退職などは、保険の見直しをするのにベストなタイミングだと言えよう。

●保険の更新時に見直しをするのもおすすめ

約定の期間内に限り保障を受けられる定期型の保険に加入している場合、更新のタイミングで保険の見直しをするのも選択肢のひとつである。というのも、定期型の保険には「更新型」の商品があり、契約を継続する場合は更新時の年齢をもとに保険料が算出されるため、更新前よりも保険料が高くなってしまうのだ。

若い間は更新型定期保険の方が保険料を安く抑えられるが、年齢が上がってくると保険料が上がり、家計の負担も大きくなる。もちろん、収入が減る退職後に終身型の保険に乗り換えるという方法もあるが、その時の健康状態によってはそれが難しい可能性もある。 ある程度の年齢になったら、医療保険など生涯にわたり保障が必要なものについては、一度見直しをしてみてもいいのではないだろうか。

●契約年齢が上がる前に見直しを

保険の見直しをする際、気を付けなければならないのが「契約年齢」である。契約年齢とは保険料算出の基礎にされる年齢のことで、保険会社によって「満年齢」を契約年齢にするところと「保険年齢」を契約年齢にするところがあるのだ。

保険年齢の算出に当たってはまず、被保険者の年齢を満年齢で計算し、1年未満の端数がある場合は6ヵ月以下を切り捨て、6ヵ月超を切り上げて計算する。例えば、満45歳7ヵ月の人の場合、保険年齢は46歳、満年齢は45歳となるのだ。

近年は満年齢を契約年齢とする生命保険会社が増加傾向にあるが、依然、保険年齢制を採用しているところもある。「年齢が上がると保険料が上がるから、誕生日までには保険の見直しを……」と考える人は少なくないが、実際は、保険年齢が上がる誕生日の6ヵ月前までに保険の見直しをするのが理想的だと言えよう。

生命保険は、健康状態が悪化すると加入できなくなることがある。そのため、「保険料が高いのではないか」「今の保障で大丈夫なのだろうか」「新商品が気になる」というように、保険の見直しの必要性を感じたら、できるだけ早めに行動することをおすすめする。

保険選びのポイント1 まずは今の契約内容を確認

保険の見直しをするに当たってはまず、現在加入している保険の契約内容について、詳しく確認する必要がある。自分がどんな保険に加入しているのか知らないままでは、保障内容の見直しについてはもちろん、他商品との比較をすることもできないからだ。

生命保険の保障内容については証券と約款の記載内容に詳しく記載されているので、以下の点について確認しておくことをおすすめする。

・保険期間(定期か終身か)
・保険金額(入院給付日額や死亡保険金額)
・医療保険は入院何日目から保険金が給付されるか
・付保している特約とその保障内容
・複数の商品に加入している場合、保障内容が重複しているものはないか
・免責期間や不担保期間の有無
・契約更新日と更新限度年齢(更新型定期保険に加入している場合)
・現在の保険料を何歳まで払い、何歳以降にどのくらい保険料が上がるのか
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保険代理店等の担当者に証券診断をしてもらうのもひとつの方法ではあるが、最低限、上記のポイントについて理解しておくと、より自分のニーズに合った保険を見つけやすくなるのではないだろうか。

保険選びのポイント2 生命保険以外から受けられる保障を確認

保険の見直しをする場合、最初に検討すべきはやはり保障内容であろう。保険の保障内容についてはプランナーにすすめられるがまま何となく決定し、保険を「かけすぎて」しまっている人が少なくない。保険金額は、本当に必要な額を設定することが大切だ。そこで知っておきたいのが、生命保険以外から受けられる保障についてである。

●遺族基礎年金・遺族厚生年金による保障

日本には年金制度があり、配偶者が死亡した場合、遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取ることができる。また、勤め先の企業に死亡弔慰金制度や死亡退職金制度がある場合、これによる保障が受けられる場合もある。 そして、住宅ローンに関しても、融資を受ける際に加入する団体信用生命保険によってカバーできるケースがほとんどだ。

●公的医療保険制度による保障

日本には公的医療保険制度があり、医療機関で病気やケガの治療を受ける場合、自己負担額は年齢や収入に応じて最高3割の負担ですむ。また、医療費が高額になる場合は「高額療養費制度」を利用することにより、1ヵ月あたりの自己負担額をかなり抑えることができる。限度額適用認定証を利用すれば、窓口で高額な医療費を立替払いする必要もない。

また、勤め先の企業に「付加給付金制度」がある場合、1ヵ月あたりの医療費の自己負担額をさらに軽減できる場合がある。

●サラリーマンは傷病手当金制度による保障も受けられる

サラリーマンが病気やケガにより会社を休んだ場合、一定の条件を満たせば「傷病手当金」を受け取ることができる。これは、病気やケガをした本人やその家族の生活を保障するためのもので、「支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額÷30日×2/3」にあたる金額を、最長1年6ヵ月間にわたり受給することができる。

●サラリーマンと自営業者で備えておくべき額が違う

以上のようにサラリーマンと自営業者では、病気やケガで仕事を休んだ場合、死亡した場合などに受けられる保障が異なる。そのため保険の見直しをする際は、自分に万一のことがあった場合にどのような保障が受けられるのか詳しくシミュレーションし、現在加入している保険の内容が適正かどうか判断することをおすすめする。将来、独立開業して自営業者になる予定がある人は、それを見越したうえで保険内容を検討するのもいいだろう。