(本記事は、二階堂重人氏の著書『株ブレイクトレード投資術』徳間書店、2018年4月30日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『株ブレイクトレード投資術』シリーズ】
(1)儲けられる人と儲けられない人のスキルの違いとは?
(2)相場で勝つ人はチャートの「2つのブレイクポイント」を知っている
(3)1日1億円も?デイトレードの「資金効率」はどのくらいすごいのか
(4)損失をコントロールする「ロスカットタイミング」4つのポイントは?
(5)ロスカットより難しい「利食い」のポイントは?

株ブレイクトレード投資術
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

利食い売りのタイミング

では、利食い売りのタイミングはいつなのでしょうか。

このタイミングは難しいです。

じつは、私の場合、トレードをするときに利食いのタイミングは、とくに決めていません。

エントリーのタイミングは、ある程度、しっかりと決めています。

しかし、イグジットのタイミングは、ほとんど決めていません。「何円値上がりしたら」「含み益がいくらになったら」というようなタイミングはありません。

「エントリーのタイミングさえしっかりとしていれば、あとは何とかなる」といった考えを持っているからです。

そのため、利食いのタイミングは、ロスカットのタイミングと同様に、相場の雰囲気で決めています。勘なのですが、経験に裏づけされた勘です。

・急騰したら利食い、チャートが悪い形になったら利食いが鉄則

株ブレイクトレード投資術
(画像=Foxy burrow/Shutterstock.com)

それでも、いくつか利食いのルールがあります。

その1つは、「急騰したら利食いする」です。

株を買った後、急騰したら、そのタイミングで利食いするようにしています。

「もう少し利益を狙いたい」という場合は、持ち株の半分だけを利食いし、残りの半分でより大きな利益を狙うようにしています。

これは過去の経験から、急騰した後、その反動で下落する確率が高くなるからです。相場が上昇傾向のときは、一時的な下げで終わり、株価が切り返していくことも多いのですが、それでも急騰したら利食いします。

急騰したかどうかは、チャートを見ればすぐにわかります。

急騰を表すチャート(ローソク足)は、「長めの陽線」と「上窓」です。

長めの陽線......始値に対して終値が極端に高い状態
上窓......(日足の場合)終値に対して当日の始値が極端に高い状態

このどちらかが出たら利食いするようにしています。

しかし、株価の位置がそれほど高くないところで、「長めの陽線」と「上窓」が出た場合は、利食いしません。なぜなら、そこから大きく上昇する可能性があるからです。むしろ、「長めの陽線」と「上窓」は上昇の始まりになります。

このあたりの見極めが難しいところです。

もう1つのルールは、「チャートが悪い形になったら利食い」です。

悪い形はいくつかあるのですが、とくに以下の2つが要注意です。

長い上ヒゲ......株価が上昇した後に押し下げられたことを表す
かぶせ線......株価が高寄りした後に押し下げられたことを表す

これらのローソク足が出ると、下落する確率が高くなります。

ただし、株価が高い位置で出た場合です。それほど高くない位置で出ても、あまり下落しません。

以上が、私の利食いスタンスです。

・ロスカットの幅と利食いの幅の比率に注意する

読者の方は、相場の雰囲気で利食いのタイミングを決めるというのは難しいでしょう。

そのため、ロスカットと同様に、値幅や含み益の金額で決めてもかまいません。

たとえば、「買値から30円値上がりしたら利食いする」「含み益が3万円になったら利食いする」というように決めます。

この際、注意したいのが、ロスカットとの比率です。利食いの幅は、最低でもロスカットと同じにしましょう。

たとえば、「買値から30円値下がりしたらロスカットする」と決めたら、利食いの幅は買値から30円以上にします。

下手な人、儲けていない人のトレードを見ると、利食いの値幅がロスカットの値幅よりも狭くなっています。

買値から少し値上がりすると、急いで利食いしてしまいます。「値下がりしないうちに利益を確保しよう」と思うからでしょう。

その割には、買値から値下がりすると、ロスカットが遅くなります。「持っていれば、そのうち値上がりするだろう」と思うからでしょう。

そのため、勝ち負けを繰り返していくうちに、どんどん損失が積み上がってしまいます。

このようなトレードをしていては、トータルで儲けられません。

先にロスカットの値幅・金額を決め、利食い幅はこれよりも大きくなるようにしましょう。

二階堂重人(にかいどうしげと)
専業トレーダー。株で「勝つための知識とテクニック」を徹底的に研究。テクニカル分析を駆使したデイトレードやスイングトレードが中心。株トレードで驚異の勝率をたたき出している。著書累計は80万部を突破。主な著書は、『株トレード カラ売りのルール』(すばる舎)、『株「常勝」トレーダー100の教え』(電波社)、『小心者こそ儲かる7日間株トレード入門(ビジネス社)、『株トレード1億円を目指すチャートパターン』『最新版これから始める株デイトレード』(日本文芸社)など多数。