一部報道によると、デービス・英EU離脱担当相の辞任以後、ベイカー議員、ブレイバーマン議員もEU離脱チームから離脱しています。英・テレグラフ紙は離脱者続出で「メイ英政権は危機的状況」、英タイムス紙も「内閣の危機、更なる辞任追随の可能性も」と示唆しており、今週はポンド売りが再熱する可能性が出てきています。

今後の見通し

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(画像=PIXTA)

メイ政権が上述したように大きく揺らいでいることもあり、ポンドについては基本的には上値の重い展開になりそうです。ブランチフラワー・前英MPC委員が「メイ英首相は次の週まで生き残れないかもしれない」と話してるように、英国においてもメイ政権の基盤の弱体化を指摘する声が挙がっており、今週はポンド軟調の動きがメインシナリオとなりそうです。

英国以外でも、米中貿易戦争がリスク回避の動きを誘発するのではないでしょうか。前週金曜にトランプ大統領が事前予告通り、中国に対する関税を発動しました。以前トランプ大統領は、中国が報復措置を取れば、更に2,000億ドルの輸入品に対する10%の関税を課すと話していたこともあり、米中貿易戦争についても、リスク回避の動きが主導しそうです。当初予定されていた500億ドル相当の輸入に対する関税を超える部分については、実際に発動されるまでのプロセスにこれから少なくとも1ヶ月は要すると見られており、発動までのプロセスでトランプ大統領がTwitterなどで不用意なTweetをするようであれば、さらにドルは下落傾向を強めるのではないでしょうか。

147円前半でのポンド円の売りを待ちたい

ドルとポンドに売られる材料が揃っていることもあり、ポンドドルについては方向感が希薄になりそうです。リスク回避の動きが今週のテーマになりそうなことから、狙い目としてはポンド円の戻り売りに妙味がありそうです。東京オープンから一時147円を示現したものの、その後は146円後半に下落しており、147円前半が目先の戻り売りポイントになっていることも、147円前半の戻り売りを推奨する理由となります。147.80円付近上抜けとなれば損切り、147.30円付近での戻り売り戦略とします。利食いについては、146.30円付近を想定しています。

海外時間からの流れ

前週末では米雇用統計が発表され、内容としては強弱入り交じる内容となりました。ただ、失業率、平均時給がコンセンサスより弱く、特に平均時給の悪化が意識されたこともあり、米金利が低下しています。全体的に見れば好調な雇用統計の内容であったものの、ドル買いに繋がっていない状況を鑑みると、ドル円の上値は一旦重くなってきたと考えられるのではないでしょうか。FOMC議事要旨においても、市場コンセンサスである 四半期に一度を超えるペースでの利上げはない、利上げ目処は3%前後、という2点の可能性を高める内容であるものの、それ以上に貿易戦争は金利低下要因として捉えられている可能性が高そうです。

今日の予定

本日は主要な経済指標は予定されていませんが、ブロードベント・BOE副総裁、ノボトニー・オーストリア中銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp