前日の海外時間では、「中国は新たな報復措置を検討している」との報道を受けて、ドル円は一時111円を割り込む動きとなりましたが、米中貿易摩擦の影響は限定的な動きとなっており、今月に日米通商協議(FFR)が予定されていることで、日米貿易不均衡是正圧力が強まる可能性がドル円の上値を重くする要因になると考えられていましたが、当面は貿易摩擦への反応は限定的になりそうなため、ドル円は上値を拡大する動きになりそうです。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

トルコリラについては、先月再選されたエルドアン大統領が、公約通りに利下げに言及したことでトルコリラの下落に拍車がかかりました。既にドルトルコリラは一時1ドル4.9743トルコリラと過去最高値を付けたこともあり、再度上値の重さが意識される展開になるかもしれません。東京時間の戻りでも23円を回復できなかったことを踏まえると、23円のラインが一定のレジスタンスラインとして考えられているかもしれません。

米国が対中追加関税リストを発表するなど報復合戦の深刻化に対する懸念が高まっているものの、円の買いは比較的小幅となった事で、マーケットから悲壮感が感じられていません。VIX指数も大きな動きがないので、本格的なリスクオフではないと考えていいのかもしれません。引き続き株価の動きは気掛かりではあるものの、前日の海外時間では株安であるにもかかわらず円安の反応だっただけに、株価が冴えなくても円買いの反応は限定的になると考えてもいいのかもしれません。

引き続き147.50円のポンド円の売りは継続

147.50円のポンド円の売りポジションは、148.10円で損切りの結果となりました。ドル円が堅調に推移している以上、クロス円は連れ高になると考え、一点買い戦略へと切り替えます。今後はポンド円147円半ばから後半を押し目買いポイントとして捉え、147.70円付近での押し目買いを戦略とします。損切りは147.20円、利食いは149.00円付近をターゲットとします。

海外時間からの流れ

BOC(カナダ中央銀行)は市場コンセンサス通り政策金利を25bp引き上げて1.50%としました。声明では「インフレ目標に近づくため利上げは正当化される」「データに基づいて段階的なアプローチを取ると予想」などの見解を示しました。ただ、ポロズBOC総裁やウィルキンスBOC副総裁から市場が期待していたタカ派な発言がなかったことでその後は徐々に落ち着きを取り戻しました。

本日の東京午前のドル円については、米中貿易摩擦の一段のエスカレートへの警戒感が強まり、日経平均が300円超の下落幅を示現しているものの、111.10円付近まで買い戻されています。ただ、株価の下げ幅が縮小したことによる買い戻しの動きの可能性が高く、本格的に米政権が対中追加関税措置を発表したことへの不安払拭という流れではなさそうです。引き続き、クロス円を中心に上値が重い動きになるのではないでしょうか。また、ユーロドルに関しては、「一部の欧州中央銀行(ECB)メンバーは2019年7月の利上げを主張している」との報道が伝わったことで、1.17579ドルまで上値を拡大しましたが、前日の高値を上抜けることができず、その後は1.16ドル半ばまで下落しています。本日は、北大西洋条約機構(NATO)が、ブリュッセルの本部で首脳会議を開き、各国の防衛費をGDP比2%に拡大する目標について「前進はあるが、まだやることは多い」とする共同宣言を採択しました。ただ、影響は限定的で引き続きドル円を中心としたクロス円は上値を拡大しています。

今日の予定

本日は欧州中央銀行(ECB)議事要旨、米・6月消費者物価指数、米・新規失業保険申請件数などが予定されています。要人発言では、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp