使用していない土地を有効活用する方法として、「等価交換」というものがあります。土地の所有者と土地開発業者(デベロッパー)が共同で物件(賃貸マンションや貸しビルなど)を建設する事業の方式のことを「等価交換方式」といいます。つまり、お互いの価値を“等価”で“交換”するわけです。これにより土地の所有者は、資金を負担せずに建物を取得し、土地を有効活用することができるようになるのです。

相続対策として活用されるケースも少なくありません。

等価交換の特徴

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(写真=Grand Warszawski/Shutterstock.com)

等価交換の概要について、さらに掘り下げて見ていきましょう。そもそも土地を所有している人の多くが、開発や建築に関する知識を有しているわけではありません。そのため、何らかの方法で土地を活用したいと考えても、実際に着手するためには、土地活用や建築に関する知識を有する人(主に不動産業者や建築業者など)の協力が必要になります。

このような場合、土地の所有者は土地を提供し、土地の開発業者は建築に必要なスキルやノウハウを提供すれば、スムーズに土地活用を進められるはずです。この意味で等価交換という手法は、非常に合理的な仕組みと言えるでしょう。また、土地の開発によって利益が得られることが想定されるため、土地の所有者、開発業者双方にメリットがあります。

等価交換の相続におけるメリット・デメリットとは

一方、相続対策として等価交換を考えた場合はどうでしょうか。土地の所有者としては、相対的に土地の持分が減る(建物分が付加され、開発業者と按分されるため)ことに加えて、借地権割合の評価が勘案されることにより、評価額は大きく減額されます。新たに取得した建物部分の評価を加えて計算しても、土地のみよりも大幅に評価額が下がります。

さらに、等価交換によって物件を取得しているため、借金の返済に追われることはありません。つまり、手持ちの土地を上手に活用し、相続税の評価額を下げることができるのです。しかも、「小規模宅地等の特例」が適用される条件ならば、土地の評価額がさらに80%減額されるため、節税効果はかなり大きくなります。

ただし、等価交換にはデメリットもあります。たとえば、事業の税務が複雑なため、不動産の取り扱いに不慣れな税理士では対応が難しいでしょう。また、開発事業者が主体となって開発が進められるため、資産状況の判断が困難になるという心配もあります。当然ですが、借入金が発生しないため、金融機関が推奨する方法ではないことも考慮しておきましょう。

等価交換を活用してより良い相続対策を

このように、等価交換にはデメリットがあるものの、土地をそのままにしておくよりは、相続税対策に資することは間違いなさそうです。たとえば、区分所有できる分譲マンションを建築し、資産を分割しやすいようにしておくと便利でしょう。また流動性が高い分譲マンションは、将来的に換金を検討する場合でも扱いやすいという利点があります。

もちろん、分譲マンションを建築しておけば自ら住むことも可能です。賃貸住宅として収益を得ながら、実需としても活用し、さらには相続対策にもなる。このように複合的な視点で考えてみると、等価交換による相続対策には利点のほうが目立ちます。また、一般的な不動産投資とは異なり、借入による重圧もありません。

このような点を考慮しつつ、ぜひ、等価交換という制度を上手に活用して、より良い相続対策を行っていきましょう。(提供:相続MEMO


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