私有財産制を採用しているわが国において、財産の所有者が亡くなった場合、その遺族は「相続」について考えなければなりません。そもそも相続とは、亡くなった人の遺産を次の世代に受け継がせることです。また、その手続きのことを指します。そのため、相続は決して他人事ではなく、多くの人が自分ごととして理解しておくべきことといえるでしょう。
とくに知っておきたいのは、相続が発生した場合の「相続税」についてです。なかでもトラブルに発展しやすいのは、不動産を所有していた方が亡くなった場合において、多額の相続税を支払わなければならないケースでしょう。このようなケースでは、相続税を正しく納税できるよう、手続きや相続税の試算方法について、あらかじめ把握しておくことが求められます。
まずは必要書類を収集することから
それでは、相続の具体的な手続きについて見ていきましょう。資産の所有者が亡くなった場合、とくにその方が不動産を所有しているケースでは、「固定資産税納税通知書」や「不動産の権利書・登記資料」、さらには「名寄帳」を収集するようにしてください。それらの書類があれば、相続税の対象となる不動産の状況を把握することが可能となります。
固定資産税納税通知書に関しては、その登記名義人が亡くなった場合でも、“亡何某宛”で届くのが一般的です。相続人に対して自動的に送付されるわけでないため注意しておきましょう。また、不動産の権利書や登記資料については、被相続人が亡くなる前に保管場所を確認しておくことが大切です。名寄帳は、故人の不動産を管轄している市町村の役所で取得することができます。
相続における不動産の評価方法について
固定資産税納税通知書や不動産の権利書・登記資料、さらには名寄帳など、不動産の状況を把握するために必要な書類を収集できたら、相続税の試算に必要な“不動産の評価”を行いましょう。保有物件の多くは一戸建てやマンションなどが想定されますが、それら土地と建物がセットになっているものに関しては、それぞれを別個に評価する必要があります。
まずは、土地の評価について見ていきましょう。土地の評価に関しては、「路線価方式」を採用するのが基本となります。路線価とは、市街地における路線(不特定多数が通行する道路)に面する宅地の評価額を定めたものです。毎年1月1日に評価されたものが、夏頃に国税庁の特設サイトで公表されており、誰でも閲覧することが可能となっています。
ちなみにこの路線価で土地を評価すると、売買取引価格のおおむね70~80%ほどで試算されます。つまり、相続税における土地の評価(路線価)は、売買取引価格のおよそ70~80%であると理解しておけばいいでしょう。また、路線価が設定されていない土地に関しては、「倍率方式」を取り、固定資産税評価額をもとに「倍率表」を用いて評価されることになります。
では、建物の評価についてはどうでしょうか。建物は、「固定資産税評価額」を元に算出するのが基本です。固定資産税評価額で評価されることから、一般的には相場の50~60%ほどで評価されるといわれています。また、建物が建築途中の場合には、建築費用の70%ほどで試算することになるので注意しておきましょう。その他の細かい規定などについては、国税庁のページで確認することができます。
とくに土地の評価には注意が必要
不動産の評価のうち、とくに土地は、形状や接道、広大地、賃貸中かどうかなどによっても評価方法が変わります。相続財産の金額を正確に把握するためにも、どのようにして評価されているのかを理解し、より正確な数字を導き出せるようにしておいてください。そうすれば、納める相続税も正しく試算できるようになり、相続時に慌てて対処する必要もなくなるはずです。(提供:相続MEMO)
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