こんにちは。中田健介です。
投資には、それぞれの投資家によってさまざまな投資スタイルがあります。例えば株式投資だと、デイトレードや長期保有といった投資の方針です。
ソーシャルレンディング投資でも、投資家によって投資スタイルは異なるのでしょうか。また、事業者やファンドを選ぶ際、どのような点を重視しているのでしょうか。
今回は14名のソーシャルレンディング投資家にご協力いただき、投資の際に重視している点を調べてみました。
(アンケート回答者:ソーシャルレンディング投資家14名(中田健介含む))
事業者を選ぶ際に何を重視するか
ソーシャルレンディング投資を始めるには、いずれかの事業者で口座を開設しなければなりません。
また、投資金額が増えてくるとリスク分散のため、複数の事業者で口座を開設する必要も出てきます。
各投資家はどういった点を重視して事業者を選んでいるのでしょうか。
アンケート結果は以下の通りです。
<質問1>事業者を選ぶ際に何を重視しますか。4つまで選んでください。
<結果>
代表者・経営陣の経歴 / 10名
ファンドの利回り / 9名
親会社・出資者の信用度 / 8名
実績(営業年数・募集総額など) / 6名
ビジネスモデル・スキーム / 5名
サイトのデザイン・システムの使いやすさ / 4名
事業者自体の経営状況(資本金・負債比率・黒字かどうかなど) / 4名
情報の透明性 / 4名
投資テーマ / 2名
募集されるファンド数や規模 / 1名
キャンペーン / 1名
その他 / 1名
●事業者の信用度が重要
まず「代表者・経営陣の経歴」を重視して事業者を選択するという方が10名で、最も多い回答となりました。
特に新規事業者については、代表者や経営陣の経歴が気になるという方が多いようです。 金融業界での十分な実務経験・実績があり、過去に怪しいうわさなどがないことが必須条件と言えるでしょう。
また、「親会社・出資者の信用度」(8名)、「実績(営業年数・募集総額など)」(6名)を挙げる方も多くいました。 やはり投資家にとっては事業者の信用度が選択の第一条件となっており、厳しくチェックするという方が多いようです。
一方で、「ファンドの利回り」を重視するという方は9名で、ソーシャルレンディング投資の高利回りに魅力を感じる投資家が多いようです。
以降、「ビジネスモデル・スキーム」(5名)、「サイトのデザイン・システムの使いやすさ」(4名)、「事業者自体の経営状況(資本金・負債比率・黒字かどうかなど)」(4名)、「情報の透明性」(4名)が続きます。 これらの要素も各投資家に重視されていると言えます。
ただ、「投資テーマ」(2名)、「募集されるファンド数や規模」(1名)、「キャンペーン」(1名)を挙げる投資家は比較的少なく、これらの要素はそれほど重視はされていないようです。
また、その他の要素として「事業会社の評判、長期滞留の遅延がないかどうか」を挙げた方もいました。
また、ソーシャルレンディング投資歴の長い方からは、「古参の業者には既に手を出してあるので、投資を検討する(選ぶ)事業者はいずれも新規事業者がメインとなる。そうするとビジネスモデル、テーマ、代表者、また新規事業者が行なってくれるキャンペーンに注目しがちとなる。」という意見もありました。
ファンドを選ぶ際に何を重視するか
次に、投資家はファンドを選ぶ際には何を重視しているのでしょうか。 アンケート結果は以下の通りです。
<質問2>ファンドを選ぶ際に何を重視しますか。2つまで選んでください。
<結果>
投資期間 / 12名
担保・保証 / 9名
利回り / 4名
ビジネスモデル・スキーム / 2名
投資テーマ / 1名
●高利回りよりも安全性が重視
投資家がファンドを選ぶ際に最も重視する要素は、利回りではなく「投資期間」でした。実に14名中12名が挙げています。
投資期間が長すぎるファンドは、資金が拘束される期間が長く、リスクも高いと考えられることから、敬遠される傾向にあるようです。
また、2番目に重視されている要素は「担保・保証」(9名)でした。
「利回り」を重視しているという投資家は4名で、意外に少ない結果となりました。
高利回り案件が人気が高いというイメージがありますが、実は利回りよりも安全性を重視する投資家が多いようです。
また、「ビジネスモデル・スキーム」(2名)、「投資テーマ」(1名)を重視しているという投資家は少ないようです。
好きな投資テーマ
投資テーマについてはどういったものが好まれているのでしょうか。 以下の結果となりました。
<質問3>好きな投資テーマは何ですか。2つまで選んでください。
<結果>
国内不動産 / 10名
国内事業性資金 / 6名
エネルギー / 3名
海外不動産 / 3名
海外事業性資金 / 1名
海外個人ローン / 0名
特にこだわりなし / 2名
●国内不動産の人気が高い
投資テーマとして最も人気が高かったのは「国内不動産」で、10名が挙げています。 ファンド選択の基準として「担保・保証」を挙げた方は、不動産担保が設定されている国内不動産案件を好む傾向があるようです。
また、次に人気が高いのは「国内事業性資金」(6名)と「エネルギー」(3名)でした。
一方、「海外不動産」(3名)、「海外事業性資金」(1名)、「海外個人ローン」(0名)と、海外の投資テーマを挙げた方は比較的少ない結果となりました。 海外投資には為替リスクやカントリーリスクなどがあることが投資家に敬遠されている理由として考えられます。
また、投資テーマについて特にこだわりがない、という方も2名いました。
ソーシャルレンディングの利回りを高めるために行っていること
ソーシャルレンディング投資家は、利回りを高めるためにどういった工夫をしているのでしょうか。
実際に行なっていることを挙げていただきました。
<質問4>ソーシャルレンディングの利回りを高めるために行なっていることは何ですか。いくつでも挙げてください。
<結果>
利回りのよいファンドに積極的に投資する / 9名
こまめに再投資する / 8名
投資期間の長いファンドに積極的に投資する / 4名
融資実行までの期間が短いファンドを選ぶ / 2名
ローンを活用してレバレッジをかける / 1名
特に意識していない / 1名
●投資資金を効率的に回す対策を実践
利回りを高めるために行なっている対策として最も多かったのは、やはり「利回りのよいファンドに積極的に投資する」ことで、9名の投資家が実施していました。
また、「こまめに再投資する」(8名)、「投資期間の長いファンドに積極的に投資する」(4名)、「融資実行までの期間が短いファンドを選ぶ」(2名)といった対策で資金効率の向上を図ることも多くの方が実践しています。
なお、「ローンを活用してレバレッジをかける」を行っているのは1名のみ(私)でした。この方法はソーシャルレンディング投資家の中でも一般的ではないようです。
また、「利回りは特に意識していない」という方も1名いました。 「高利回りのファンドばかりを狙って投資するのは、かえって損をすることにつながると考えている」との意見でした。
ポートフォリオ全体の中でのソーシャルレンディングの位置づけ
ソーシャルレンディング投資家は、他にはどういった投資を手掛けているのでしょうか。
また、資産全体のうち、どの程度の割合をソーシャルレンディングに投資しているのでしょうか。
ポートフォリオ全体の中でのソーシャルレンディングの位置づけについて聞いてみました。
<質問5>ソーシャルレンディングの他にどの投資を行なっていますか。いくつでも挙げてください。
<結果>
投資信託・REIT・ロボアドバイザー / 10名
国内株式 / 7名
仮想通貨 / 6名
FX / 5名
外国株式 / 4名
債券 / 3名
株式投資型クラウドファンディング / 3名
現物不動産 / 2名
●様々な投資にチャレンジしている
ソーシャルレンディング投資の他にも様々な投資を手掛けていることがわかります。
最も多かったのは、「投資信託・REIT・ロボアドバイザー」(10名)と「国内株式(7名)」でした。
やはり投資というと、まず投資信託や国内株式から入る人が多いものと思われます。
また、近年話題の「仮想通貨」に投資している方も6名いました。ソーシャルレンディングとは同じFintechのカテゴリで語られることも多く、興味を持つ方も多いようです。
以下、「FX」(5名)、「外国株式」(4名)、「債券」(3名)、「現物不動産」(2名)と、インカムゲイン型、キャピタルゲイン型に関わらず、様々な投資にチャレンジしています。
FUNDINNO、エメラダ・エクイティなどの「株式投資型クラウドファンディング」に投資している方も3名いました。株式投資型もソーシャルレンディングと同じクラウドファンディングの一種であり、親和性は高いものと思われます。
最後に、資産全体のうち、どの程度の割合をソーシャルレンディングに投資しているかを聞いてみました。
<質問6>総資産のうち、どの程度の割合をソーシャルレンディングに投資していますか。
<結果>
80%~100% / 4名
60%~79% / 2名
40%~59% / 3名
20%~39% / 3名
1%~19% / 2名
●総資産の90%をソーシャルレンディング投資に回す投資家も
総資産のうち、ソーシャルレンディングに投資している割合は投資家ごとに、広く分かれる結果となりました。
最高で総資産の90%をソーシャルレンディングに投資している方もいましたが、一方で10%程度という方もいました。
ソーシャルレンディングをポートフォリオの中心に位置づけている投資家や、株式など他の投資をメインで行なっており、ソーシャルレンディングを待機資金の一時的な運用先としている投資家など、それぞれ活用方法が異なるために、比率について大きなばらつきがあるものと考えられます。
おわりに
今回ソーシャルレンディング投資スタイルに関するアンケートを実施し、いくつか興味深い結果が得られました。
投資家は、事業者・ファンドの選択で、いずれにおいても安全性を第一に考えている傾向がうかがえます。一定の安全性の基準をクリアした上でないと投資しない、という考え方が多いようです。
一方で、その基準の範囲内では積極的に高い利回りを狙って、こまめに再投資するといった工夫をしている方も多くみられます。
また、ソーシャルレンディングをポートフォリオ全体の中でどう位置づけているかについては人それぞれで、ソーシャルレンディングの活用方法は1つではないと気づかされる結果となりました。
(記事提供= クラウドポートニュース )
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