Deloitteが世界の高級ブランド市場を分析したレポート「Global Powers Luxury Goods2018」から、2014〜16年度にかけて急成長した高級ブランド企業トップ8をご紹介。

38.8%という売上高成長率で首位に輝いたカナダのアパレルGoose Holdingsを筆頭に、スウェーデンのAcne Studios Holding、老舗Valentinoまで、同じ高級ブランドとはいえ個性は様々だ。

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(画像=Casimiro PT / Shutterstock.com)

8位 Richard Mille (リシャール・ミルスイス)

1999年に設立されたスイスの高級時計メーカー。時計製造で有名な街ラ・ショー・ド・フォンとル・ロックルの中間の小さな村レ・ブルルーに本社を構える。MatraやMauboussinといった高級ブランドでキャリアを積んだリシャール・ミル氏が立ち上げた(WtachFinder&Co)。

軽量だが耐久性を極限に高めるために特殊な素材を使用。価格は「Tourbillon Split Second Chrono Airbus Corp Jets」 が65.9万ポンド、少し低めの価格帯でも「Richard Mille RM 016 Marcus Edition」が4.5万ポンドなど、庶民には縁遠い存在だ。2016年度売上高成長率は21.6%だった。

7位 Moncler(モンクレール、イタリア)

ミラノを拠点とするスポーティーでカジュアルなデザインが特徴だが、シャツ1枚が340ポンド するなど価格は決してカジュアルではない。

1999年にクリエイティブ・ディレクターに就任したリモ・ルッフィーニCEOは、当時破たん寸前だったMonclerを見事復興させ、2013年、同社はイタリア最大のIPO企業となった(フォーブス2018年8月7日データ )。

6位 Acne Studios Holding (アクネ ストゥディオズ ホールディングス、スウェーデン)

クリエイティブ・デザイナーのジョニー・ヨハンソン氏が中心となり、1996年ストックホルムで設立。ヨハンソン氏のデザインと細部へのこだわり、仕立てや素材、独自のファブリックへの情熱を強く感じさせるブランドだ。洋服、アクセサリー、靴、ジーンズなどのメンズおよびレディース用品を販売している。

5位 SMCP(フランス)

大人の女性ための「可愛い」デザインで人気の3大ブランド「Sandro」「Maje」「Claudie Pierlot」を傘下に置くSMCPは、1984年、エヴリン・シャトリット氏 とジュディス・ミグロム氏がパリで共同設立した。

実際にはルクセンブルクのKKR Retail Partners Midcoの子会社で、パリに本社を置くアパレル・リテールグループSoho Holding Franceが株の69.75% を保有している。2017年にはパリの証券取引所Euronext Parisに上場した(capital.com2017年9月18日付記事)。

4位 Furla(フルラ、イタリア)

1927年、アルド・フルラネット夫妻がボローニャで設立したFurlaは、ファッショナブルな女性用アクセサリーなどの小売店から、世界100カ国・地域以上に店舗を所有する高級ブランドへと成長した。上質な皮素材とシンプルで気品あふれるデザイン、手頃な価格が人気の秘密だ。

3位 Valentino(ヴァレンティノ、イタリア)

2014〜16年度の売上高12.94億ドル、2016年度売上高成長率は11.7%、純利益8.7%増という、好調さでトップ3入りした老舗高級ブランドValentino。ヴァレンティノ・ガラヴァーニ氏が1960年に設立した。2012年にカタール王族が7億ユーロで買収後、経営強化や事業拡大が功を成したものと思われる(ロイター2012年7月12日付記事)。

「ステファノ・サッシCEOやクリエイティブデザイナーのピエールパオロ・ピッチョーリ氏による貢献度も高い」と、デロイトは評価している。

2位 Pandora(パンドラ、デンマーク)

シンプルなデザインに女性らしさが光るPandoraのジュエリーは、「ハンドメイド・高品質な本物のジュエリー」でありながら手頃な価格帯で、幅広い層の女性を魅了している。 1982年、デンマークの金細工職人ペア・イーネヴォルセン夫妻がコペンハーゲンにオープンしたジュエリーショップがきっかけ。1987年から専用のデザイナーを採用し、独自のジュエリー事業を展開。2000年に発表したチャームブレスレットのコンセプトが大ヒットとなり、国外にも進出を果たす。2018年8月現在、Pandoraの商品は100を超える国・地域 で販売されている。

1位 Goose Holdings(グース・ホールディングス、カナダ)

世界トップレベルの防寒アウトドアウェアを製造・販売するGoose Holdings。母体となったのは、ウールのベストやレインコート、スノーモービルウェアを専門とする、Metro Sportswear。移民だったサム・ティック氏がトロントで1957年に設立した。

1970年代に義理の息子デヴィッド・リース氏が大量生産が可能なダウン充填機を発明。Goose Holdingsの前身となったSnow Gooseを立ち上げる。1980年代には、南極マクマード基地に滞在する科学者のニーズに応えた遠征用パーカーを開発。後に“Big Red”という名称で、ブランドの定番商品となった。

以降、カナダ人で初めてエベレスト登場を達成したローリー・スクレスレット氏、犬ぞりレースのトップマッシャー、ランス・マッケイ氏のほか、映画『The Day After Tomorrow』『National Treasure』にウェアを提供するなど、世界的ブランドとしての地位を確立する。

2001年にデヴィッド・リース氏の息子ダニー・リース氏が社長兼CEOに就任して以来、「カナダ製」にこだわっているのも、ブランドそのものの価値を高めている。

2014〜16年度の売上高は3.07億ドルと小規模ながら、同期間のCAGR(年平均成長率)は36.0%、2016年度の売上高成長率は38.8%と、評価の対象となった企業の中で最大の伸びをみせた。価格帯はメンズ用の軽量ダウンベストで395〜695ポンド。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)