8月13~17日の東京株式市場は上下に荒っぽい展開となった。13日はトルコ・リラの通貨危機でリスクオフムードが強まる中、日経平均株価は前日比440円安と急落。しかし、翌14日はリラ安一服で短期筋の買い戻しが入り498円高と急反発するなど乱高下した。結局、17日の終値は前週末比27円70銭安の2万2270円38銭となり、週ベースでは3週連続のマイナスとなった。

東証マザーズ「高PERランキング」

グローバルウェイ,株価
(画像=PIXTA)

それでは、今回は東証マザーズ市場の「高PER(株価収益率)ランキング」を紹介しよう。

(1)ラクスル <4384> 2651 (単)3681.94
(2)データセクション <3905> 733 (連)2819.23
(3)グローバルウェイ <3936> 4000 (連)1550.39
(4)MRT <6034> 1866 (連)524.16
(5)ホットリンク <3680> 961 (連)436.82
(6)sMedio <3913> 1308 (連)415.24
(7)イオレ <2334> 1890 (単)395.40
(8)サンワカンパニー <3187> 280 (単)378.38
(9)イノベーション <3970> 931 (単)365.10
(10)ALBERT <3906> 8040 (単)314.55

※銘柄、証券コード、17日終値、PERの順。(単)は単体、(連)は連結。データはヤフーファイナンスより。

マザーズ指数は週初に1000ポイントを割り込み、年初来安値を更新した。時価総額が大きく、マザーズ指数への寄与度が高いメルカリ <4385> が9日発表の2018年6月期連結決算で70億円の純損失を計上し、急落したことが影響した。

PERは、EPS(1株あたり利益)に対し現在の株価が何倍に相当するかを示している。日経平均株価のPERは13倍程度であり、それに比べると上記ランキングのPER(314~3681倍)は異常に高く見えるかもしれない。だが、東証マザーズのような新興株式市場では足元の業績よりも長い目でみた将来性が買われる傾向が強く、そうした人気を反映している側面もあるといえそうだ。

グローバルウェイ、業績好調で人気化する

今回は上記ランキングからグローバルウェイ、ラクスル、イオレを取りあげる。

グローバルウェイはWebメディア事業を手掛けるインターネット企業。就職や転職のためのクチコミ等を紹介するサイト「キャリコネ」などを運営している。

8月9日、グローバルウェイは4~6月期連結決算を発表した。売上高は3億5400万円、営業利益1300万円、純利益200万円だった。「キャリコネ」のユーザー数の増加等が利益に貢献した。企業向けのビジネスアプリケーション事業も、重点領域と定める顧客管理や販売管理などで新規契約が順調に伸びているという。なお、同社は通期予想については売上高15億円、営業利益500万円、純利益300万円で据え置いている。

上記4~6月期の営業利益が「通期目標」を上回ったことから、株価も上昇する場面も見られた。投資家の成長期待は高いようで、今回のランキングで3位となった。

なお、グローバルウェイは4月、スイス金融市場監督局に対し(スイスでの)子会社設立とタイムコイン発行の申請を行っている。タイムコインとは個人が空き時間をシェアリングで販売するサービス「タイムチケット」で利用できるトークンのこと。このため、グローバルウェイは仮想通貨関連株と位置づけられることもある。

ラクスル、印刷・運送のプラットフォームへの期待高まる

ラスクルはインターネット上で印刷物を受注するWebサイトを運営する企業。自社で工場を持たず、提携先の印刷会社を活用し、安い価格で納品するシェアリング型ビジネスを展開する。また、荷主と運送会社をマッチングする「ハコベル」サービスも手掛ける。今年5月31日に上場した。

ラクスルは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という企業ビジョンを掲げている。デジタル化が進んでいない伝統的な印刷・物流業界でITを活用し、既存の商習慣を変えることで経営を良くすることを目指している。インターネットを活用した電子商取引でプラットフォームを創り、企業と消費者を結びつけるビジネスモデルは珍しくはないが、印刷・物流の分野で大きな成果をあげることが出来るか注目される。

ラスクルは2017年7月期まで経常損益や純損益が赤字だったが、2018年7月期は黒字転換が見込まれている。株式を公開して日が浅く、投資家の期待を集めているため高い株価が付いている。一方、EPSは1円以下のため、PERは3681.94に達し、今回のランキングでTOPとなった。

イオレ、営業利益「約86.9%減」を嫌気される

イオレは東京都港区に本社を置くインターネット企業。部活動やサークル等を対象としたグループコミュニケーション支援サービス「らくらく連絡網」や、大学生に特化したアルバイト求人サイト「ガクバアルバイト」などを提供する。2017年12月15日に上場した。

今年5月、イオレは学生等をターゲットに採用広告を配信する「運用型広告」のシェア確立を目指し、営業資源を注力する方針を明らかにした。この結果、2018年9月中間では営業損益が4100万円の赤字、2019年3月期では黒字となるものの、前期比86.9%減の2200万円になるとの見通しを公表した。この影響でイオレ株は発表前の2700円台から1900円台に急落する場面も見られた。EPSも47円(2018年3月期)から5円(2019年3月期予想)に急低下、株価よりもEPSの下落率が大きいためPERが上昇した。(ZUU online 編集部)