金曜日の海外時間には、パウエルFRB議長が講演で「物価上昇率は2%を超えて過熱するリスクは見られない」と述べたことから、利上げの終着点が遠くないことが示唆されたとしてドル売りが優勢となりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

注目されていたジャクソンホールにおけるシンポジウムでのパウエルFRB議長の講演では当面「段階的な利上げが適切」としましたが、「物価上昇率は2%を超えて過熱するリスクは見られない」として、次回FROCでの利上げを示唆した一方、利上げの終着点が近づいていることも示唆されました。次回のFOMCでの利上げはすでに織り込まれていたのに対し、利上げの終着点が近いことは織り込まれていなかったことから市場はドル売りに反応しましたが、反応は限定的なものとなっています。また、他の投票権のあるFOMCメンバー、投票権のないFOMCメンバーも直近の利上げ継続と近い将来の利上げ打ち止めを示唆する発言を行っています。

先週木曜日には、それまで続いていた全般的なドル安がやや反発しましたが、金曜日には前日の反発分をすべて消す動きとなって下落しました。ジャクソンホールという恒例のイベントを通過して、再びドル売り、円売りの流れに戻った可能性がありますが、そうであればドル円はあまり大きな動きにはなりにくいかもしれません。

再びドル売りポジション

パウエルFRB議長の講演終了後にドル売りの流れとなる可能性を考慮して、講演前に111.40円でドル売りのポジションを作りました。直近高値越えの111.60円に損切りラインを設定しながら、下落するタイミングを待っています。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、米長期金利と各国株価が堅調に推移する中ややドル買いが優勢となって、ドル円は111.40円台まで上昇し、ユーロドルは1.1550台まで小緩みました。その後ドル買いの勢いがなくなる中、中国が「人民元の基準値を算出する上で、反循環的要因を再導入する」と発表したことから人民元安が是正されるとの思惑からドル売りが優勢となって、ドル円は111.20円台まで下落し、ユーロドルは1.1600付近まで上昇しました。

NY時間にはいると、ジャクソンホールのシンポジウムでのパウエルFRB議長の講演を控えて、ドル円の買い戻しが優勢となって、ドル円は111.40円台まで上昇しました。パウエルFRB議長の講演では「物価上昇率は2%を超えて過熱するリスクは見られない」とされたことからドル売りが強まって、ドル円は111.10円台まで下落し、ユーロドルは1.1640付近まで、ユーロ円も129.40円付近まで上昇しました。

NY時間午後にかけては、週末を前に各通貨ペアとももみ合いとなりました。

東京時間にはいってからは、日経平均が堅調に推移していることからドル円も堅調に推移しています。

今日の予定

今日の海外時間には、独・7月小売売上高指数、独・8月IFO景況指数の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp