優勝賞金1億円をかけて競いあう世界最大級のスタートアップピッチ・ビジネスプランコンテスト「スタートアップワールドカップ」の2019年大会開催に向け、日本予選が10月に行われる。2019年大会は初めて「九州ロードショー」を9月9日に開催。ここを勝ち抜いた2社を含む10社が10月5日に東京国際フォーラムで開催される日本予選に挑む。主催のフェノックス・ベンチャーキャピタルのアニス・ウッザマンCEOや審査員長のインフォテリア平野洋一郎代表取締役社長 CEOらが9月5日、都内で会見した。(取材・濱田 優 ZUU online編集長)
スタートアップが大手企業を元気づける
2019年で3回目となるスタートアップワールドカップ。2018年大会では「世界30以上の国・地域が参加」とされていたが、19年大会はさらに規模を拡大し、40ヵ国・地域で予選を開催する。優勝賞金は100万ドル(約1億円)だ。
登壇したフェノックスVC CEOのウッザマン氏は「今年のテーマは、大手とスタートアップのコラボ、コラボから次世代企業を創出すること。元気のない大手企業をスタートアップの側が元気づける気概で取り組みたい」などと話した。
日本予選の審査員長を務めるインフォテリアの平野氏が審査概要を説明した。書類選考で選ばれた10社(うち2社は福岡県飯塚市で行われる九州ロードショーの勝ち残り)が10月5日の予選に登壇。PRビデオ30秒、プレゼン(英語)3分30秒、Q&Aセッション1分30秒で競い合う。審査員らは「事業動機、問題意識」「市場規模、ニーズ」「トラクション、ユーザー数、売り上げの伸び」「競合他社との比較」「ビジネスプラン」「チーム」「プレゼン」の7項目を点数化し、当日のTwitterでの反応も考慮しながら最終的に日本代表を選ぶという。
日本代表は2019年5月に米国サンフランシスコで行われる決勝戦に参加、40社で競い合う。初回の2017年は日本代表のユニファが世界一となった。同社はIoTを活用した保育園の見守りロボットを提供しているスタートアップだ。続く18年のグランプリは米国東海岸代表のLeuko Labs。MIT発のスタートアップで、免疫システムを監視するデバイスを開発し、がんの早期発見を可能にしたという。
2018年の日本代表、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根信一代表取締役社長も記者会見に出席した。同社はAIなどを駆使して衣類を全自動で折りたたんでくれる「ランドロイド」の開発を手掛けている。「来年は日本代表がまた優勝カップを奪還して欲しい」と参加予定スタートアップにエールを送った。質疑応答では「世界大会に出ている企業はいずれも素晴らしく、特に半分は本当にすごいと思った。しかし唯一、ここは自分たちが抜きんでてると思えたのが、『誰もやっていないことをやっている』ということだった」と振り返った。
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日本予選の観戦チケットも申し込み可能
九州ロードショーで審査員長を務める澤円氏(日本マイクロソフト マイクロソフトテクノロジーセンター センター長)も登壇、「短いピッチで絶対やってはいけないのは『説明』。プロダクトや会社の成り立ちの説明ではなく、いかに『インパクト』を与えるかが大切だ」などと話していた。
登壇者らは日本の大手企業について「オープンイノベーションへの取り組みが進んでいる」「変化しつつある」としながらも、まだまだ「自前主義」が幅を利かせているなどと指摘。スタートアップとのコラボで日本の大手企業も大きな変革を遂げることへの期待を表明していた。
日本予選は10月5日、東京国際フォーラムで開かれる「アドテック東京2018」の会場で午後5時45分から行われる。予選の観戦チケットはこちらで申し込める。