③問題は「証券化」の際の不純債権

さて、ここまでの話、どうお感じでしょうか?考えたいのは「保険料率」という問題です。保険商品の設計は「数理部」所属の社員が行います。彼らの計算は、年齢•性別でどのくらいの割合が「死亡するか」ということに尽きます。

20代ばかりの契約の場合、死亡率は多くて3%程度、60代にもなると40%と上がります。ただ、いくら3%とはいっても、若年者の自殺率は高く、欧州では特に問題とされています。こうした保険商品を数百、数千と束にしてしまえば、確立的には必ず死亡する人が表われます。ただ、それは動機が純粋とはいえません。そして、そこに「定期保険」が含まれているとすれば、非常にリスクが高いことが予想されます。


④金融庁は認可するか?

日本の金融庁は、保険会社の監視機関でもあり、こうした保険金ファンドを認可することはあり得ません。なぜなら、日本では保険商品そのものの貯蓄性にすら、高金利を認めていないからです。唯一認めているのは、保険会社の保有株式配当。

では、海外の生命保険証券投資に興味がある場合、どういうところに注意するべきでしょうか?もし、ファンドの大部分がTerm Life Insurance(定期保険)だとすれば、リスクは非常に高いものと考えるべきでしょう。そのかわり、リターンが15%から20%といったものがあっても不思議ではありません。


欧米と日本の「生命保険金額」の違いを理解しよう

あくまでも、生命保険が金融商品であるかどうかは、その使い方によります。ですから、客観的に判断して利回りがよいと思えば、海外投資ファンドの一つとして認識するのもおかしくないでしょう。

むしろ、ここで理解したいのは、保険ニーズが日本と欧米とでは違うということです。日本では死亡保険金の上限は5億円程度ですし、その目的はあくまでも保障です。10億、20億といった保険金でなければ、投資のメリットはあまりないでしょう。