このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年9月13日(木)Market TalkのSummary

今後のマーケット展望

世界経済の一番の関心事はアメリカ発の貿易戦争がどのような形で決着するのかということだが、海外メディアによれば、EU、カナダ、中国などとの交渉で色々な進展がみられると報道されている。日本との交渉については9月末の国連総会で安倍首相がトランプ大統領と会ってそこで決まると思われるが(もちろんその前に実務レベルで落としどころを決めておくわけだが)、これからこういった報道も出てくるであろう。そうなれば自民党総裁選のところではさすがに2万3000円の壁は抜けていくだろう。

米国株は過去74年間のS&Pの動きで見ると、大統領任期2期目の第2四半期(4-6月)、第3四半期(7-9月)が一番パフォーマンスが悪い。要は中間選挙前の不透明感を嫌気して下げるということだが、今年は下がっていない。S&Pは8月末に史上最高値をとってきている。それだけ米国株は強い、アメリカの経済、企業業績が良いということだ。中間選挙が終われば、さすがに貿易戦争も過激なトーンがなくなり落としどころを探ってくるだろう。マーケットもそれを好感し、そしてパフォーマンスの良い第4四半期に突入するのでもう少しの辛抱ではないか。

また、米国株全体の先行指標と言われるダウ輸送株指数が史上最高値をとってきているので、遅かれ早かれダウ平均ももう一度史上最高値を更新するであろう。

これらから考えるとこの秋は株を買うには絶好のタイミングとなるのではないか。

金融危機発生の可能性について

過去の金融危機は銀行経由で起こっている。株が強烈に下がって、金融機関が打撃を受けて危機になっていくというのが過去の金融危機のパターン。現在は銀行の資本はかなり強化されており、危機的なことが起きても大丈夫なように備えができているので、少なくとも今は金融危機は起きないのではないか。

また、ノンバンクや年金、新興国懸念など銀行を経由しない危機の可能性も言われているが、それほど影響は大きくないと思う。

今はリーマンショックから10年ということで皆が警戒しており、この状況で今すぐ何かおかしなことが起こるということにはならないだろう。

今週はメジャーSQを控え海外ヘッジファンドの日経平均先物買いが相場を押し上げているという見方もありますが、SQ明けの来週から月末にかけての展開は?

メジャーSQ通過で流れが変わってくるだろう。9月後半は材料が目白押しだが、特に自民党総裁選で安倍首相が3選すれば、改めてここから3年アベノミクスが継続する、ということがはっきりして海外勢も参戦してくるだろう。

半導体関連株は今日も軟調ですが、今後の見通しは?

今後は転換すると思う。今のデジタル化の流れは不可逆的で、色々なところで電子部品、半導体は使われていく。今売られているのは一時的な調整だろう。

今後、予想EPSが下落することによって今の水準が正当化される懸念はありませんか?

それはないと思う。今の予想EPSはまだ保守的と思われる。今後上方修正される可能性が高く、ここから予想EPSが下がることは考えにくいのではないか。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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