空室率の低下や賃料の上昇など、東京の不動産景気がにわかに盛り上がっている中で、その成長がいよいよ世界にも認められた。アメリカで不動産情報を扱う大手、ジョーンズ・ラング・ラサールの行う調査により、不動産投資の観点から見た都市の世界番付で、なんと総合順位5位という快挙を成し遂げたのだ。今回はこのニュースについて掘り下げていこう。

世界の魅力的な不動産投資先として東京が「ビッグ7」に

Shanghai
(写真=Patrick Foto/Shutterstock.com)

ジョーンズ・ラング・ラサールが行ったのは、世界の83都市の成長過程、課題、命題、機会を比較した「国際都市競争力インデックス」の調査だ。この中で東京は「確立された世界都市」としてカテゴライズされ、世界最高のグローバルとして認定された「ビッグ7」に認め取られたのだ。東京以外にはロンドン、ニューヨーク、パリ、シンガポール、香港、ソウルがランキング入りしている。名前を聞くだけでも国を代表する一大都市とわかるそれらと同率に数えられたことは、非常に名誉なことと言えるだろう。近年は台頭する中国や韓国の影響もあり、日本の力が衰えてきているという意見も少なくない。しかし、そんな中でも都市東京は、しっかりと成長しつづけているのである。世界の商業用不動産への投資額の4分の1近くを占めるこの「ビッグ7」は、まさに世界を代表する都市と言えるだろう。

ビッグ7を追い上げるのはロサンゼルス、上海

ちなみに、このビッグ7に次ぐ都市として、「挑戦者たち」の称号を得たのが、ロサンゼルス、上海、北京、アムステルダム、シカゴ、サンフランシスコ、トロント、マドリード、シドニー、ワシントンDCの10都市だ。確かな国力と、海外への影響力、市場規模や世界的な信頼度など、いずれもビッグ7に勝るとも劣らない強者ぞろいだ。こうした強豪たちを退けられたのは、間もなく開催される東京オリンピックの影響も強いと言えるだろう。事実、東京は過去10 年間スコアを下げていたが、オリンピックを見越した大掛かりなインフラ整備が計画されていることもあり、そのスコアを回復させることができた。2020年以降、東京がどのように成長していくかが、今後の試金石となっていると言えるだろう。

シリコンバレー、ベルリン、メルボルン、京都は新たな世界都市に

また、日本の都市への注目は、何も東京に限ったことではない。「ビッグ7」や「挑戦者たち」ほどの規模はないものの、都市運営の行き届いた中規模都市で、不動産投資や企業、人材の誘致で敏捷性に優れており、インフラ、生活の質の高さとニッチな専門性を提供できる都市として認められたもの与えられる「新たな世界都市」の称号を京都が獲得した。中でも京都は多国籍機関や観光事業、交易機能の場を提供し、世界的・地域的な影響力を有する都市に与えられる「インフルエンサー」というグループに入れられ、東京とはまた違った観点からの評価を獲得することができた。都市そのものの大きさとしては大阪や名古屋に溝をあけられてしまっている京都ではあるが、世界的にも魅力のある文化的な背景を持ち、観光資源も豊富。大学や博物館といったアカデミックな要素も多数持ち合わせていることから、世界的な価値で言えば大阪や名古屋よりも高いのだとか。京都がこの先どうなっていくのか、世界規模で注目が集まっている。

福岡・札幌・広島も要チェック

もちろん、大阪や名古屋も十分に世界に認められた年であり、その注目度は決して低いわけではない。今はまだ国内市場への影響力が大きいため、これが世界に向けて広がっていけば、その価値を大きく伸ばしていけるだろう。注目すべきは、福岡・札幌・広島の3都市だ。これらは他の世界的な都市に比べても、インフラなどは十分に整備されており、それぞれ独自の強みを持った都市である。正しく運用していけば、東京・京都に続く日本を代表する都市として認知されることも遠くはないだろう。日本の世界に向けた挑戦はまだ始まったばかりだ。(提供:百計ONLINE

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