立体の造形物を作製する3次元プリンターの先を行く、「4次元プリンター」が注目を集め始めている。3次元の「縦・横・高さ」の要素に「時間」の概念を加えたもので、出力された物体にその後の動きや変化を盛り込める。深海や宇宙空間から日常生活に至るまで多くの分野での活用が想定され、市場は大きな成長性を秘める。ユニチカ、(3103)やMUTOHホールディングス(7999)など、関連銘柄をマークしたい。
プリンターから出力された自動車部品が、ひとりでに曲がって組み上がる。細長い物体が、水の中で膨張して違う形になる。4次元プリンターはそんなことも可能にする。
ベースにあるのは、過去に相場にもなり近年実用化が進んでいる3次元プリンター。データを基に3次元形状を再現するところまでは同じだが、素材に特殊な樹脂やカーボン、磁気性の物質を使い、出力後に熱や圧力を加えることでさまざまな変化がもたらされる物質を製造するのが4次元プリンターだ。
こうした特徴は、例えば輸送しやすい物体を成形し、遠い場所に運んでから目的の形に変化させるといったことがかなう。高性能のフィギュアのようなホビー製品から宇宙開発まで、応用範囲は幅広い。
まだ大きな産業にはなっていない4次元プリンターだが、そのポテンシャルへの関心は世界的に高い。調査会社の米グランドビューリサーチでは、市場規模が2025年におよそ3億1300万ドル(約350億円)になると予想。防衛や自動車、航空宇宙、ヘルスケアなどの分野で引き合いを強めている。
日本企業ではユニチカが、造形後に人肌や暖かいお湯で温めるだけで自由な形状に加工できる、感温タイプの立体プリンター用の素材を展開。材料には特殊なポリエステル樹脂を使い、冷やせば形を固定できる。
同製品は今年上市された。供給先は明らかにしていないものの、同社によれば既に商業出荷の段階にあるという。用途イメージとして、角度調整ができるフィギュアの関節部や、現場でも形状の修正を可能にする工業用治具などを示している。
3次元プリンターで知られるMUTOHHも、4次元領域を強化する。ユニチカの素材を活用し、立体プリンターを訴求。抗菌材料で除菌、防臭効果を加えて医療介護現場での用途を提案。また、造形後に焼成して使う石こうパウダータイプの材料を、美術工芸や電子機器部品向けに本格投入することを目指す。
株価は、ユニチカが昨年3月と11月に付けた高値(それぞれ1050円、1035円)のダブルトップ後の調整から600円どころでボトムを確認し、おおむね700円を上限とする往来相場で値固めに入った。
MUTOHHは3次元プリンター相場が盛り上がった2013~14年のピークと比べて半値以下の水準で推移しているが、このところは業績面で底打ち感が出てきた。テーマに乗りたいタイミングだ。
このほか、3次元プリンターの関連企業が4次元を目指す展開が想定される。JSR(4185)や群栄化学工業(4229)、ソディック(6143)、ローランド ディー.ジー.(=ローランドD、6789)、パルステック工業(6894・(2))、クラスターテクノロジー(=クラスターT、4240・JQ)、アンドール(4640・JQ)などをマークしたい。(9月12日株式新聞掲載記事)
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