このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。
2018年9月20日(木)Market TalkのSummary
今後のマーケット展望
週初は慎重な見通しを出したが、23,000円の壁を抜けたら早い。何度も試しても抜けなかっただけにその勢いが続いているのだろう。買戻しに過ぎないという見方もあるが、1月高値圏で売っていた人すべての買い戻しで上がっているのかというとそういうことはないと思う。また、商いも膨らんでいるので決して先物だけの投機的な動きではないだろう。23,000円の壁を抜けたところで潮目が変わってきているのは確かなのだろうと思う。
前から23,000円を抜けてくると述べていたが、予想EPSが5月につけた1700円を超えて史上最高値を更新、それを追いかける形で日経平均も5月の高値(23,002円)を抜けてきた。今の利益水準に向けて株価の方も追いかけてきたということだ。 また、日経平均の動きはドル円の動きからも乖離していた。米国経済の強さ、米国の利上げ基調を織り込んで、円高にはならず円安基調だったが、株価がついていけなかった。それがここへきてキャッチアップしてきた。
注意する点としては、先週のレポートでこれから米国株が強いシーズンに入るので、米国株に牽引される格好で日本株も上がるのではないかと述べたが、ここへきて米国の長期金利が再び3%を超えてきている点だ。これが米国株の重しになるのではないかと思っている。
米国株については、これ以上金利上昇を無視して株価が上がるのは危ない -バリュエーション的に2月と同じ状況に入ってきているので、今すぐの一段高は無理だろうと思う。1か月後の米国企業の決算発表で利益の情報が更新され、益利回りが高まってくれば足元の金利上昇も吸収できるので、米国株については次の決算情報を待たないと一段の高値追いは厳しいだろう。
ただ2月の急落時と違って株価の勢いはそれほど過熱感はないので、今まで急ピッチで上げた反動で下がるリスクも少ないと思う。しばらく米国株は現状でステイして、1か月後の決算情報を待つタイミングだろう。日経平均も同様でよいと思う。ファンダメンタルズの良さを織り込んで23,000円の壁を破り24,000円近辺にきているわけだから、あと1月たてば半期の決算発表に入る。そこで新しい業績の情報をもとに切り上げていけばよいと思う。
日経平均の終値が23,000円を超えた後、23,700円台まで一気に上昇しましたが、この勢いは来月も続きますか。来月中に日経平均はどの程度まで上がりそうですか。
1か月後から4‐9月期の決算発表が始まる。為替も112円台で業績も良いなか、上方修正も増えてくるだろう。それらを先取りする格好で24,500円位 ‐ 年初来高値をとってくるだろう。
長期金利が上昇気味ですがJリートの見通しは?
金利が上がるとリートは厳しいだろう。Jリートについては価格面での見通しはあまり意味はなく、Jリートを買ってバイアンドホールドで分配金利回りはいくらになるか?と考えないとだめだと思う。結局Jリートを買うということは、ペーパーアセットで不動産投資をやるということで、つまり不動産投資の眼目は家賃収入を得るということ。金利が上がって価格が下がったところで買うのは投資タイミングとしてはいいのではないか。
年末ごろの日経平均25,000円に向けて、狙い目の銘柄や業種などありますか
今年に入って逆風で売り込まれていたファナック、安川、オムロン、ダイフクなどの省力化関連の銘柄や、中国不安などで売られていたコマツ、日立建機など。後は半導体関連銘柄。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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