個人の「働き方改革」は待ったなしの状態に

中堅ビジネスマン,働き方
(画像=The 21 online)

ビジネス月刊誌「THE21」は今年、創刊400号を迎えた。これまで長年にわたって様々な識者の方々に、仕事において重要なことや具体的なビジネススキルについてインタビューしてきたが、ここ数年はとくに、その内容が大きく変化していることを感じる。

より正確には、以前から「こうしたほうがいいのでは?」と言われてきたことが、「こうに違いない!」とより切迫感をもって求められるようになったというべきかもしれない。

この流れに逆らって旧態依然の働き方を続けていると、時代遅れの烙印を押されかねない。そこで本記事では、「今すぐ変えるべき7つの働き方」として、今後求められる働き方のシフトについて取り上げたい。

1「目の前の仕事をひたすらこなす」ではなく「不要な仕事を切り捨てる」

現在、仕事の現場で起こっている大きな変化の一つが、「残業してでもしっかり仕事をこなす」から「なるべく短時間で成果を出す」へのシフトだ。先進的な現場ほどこの考え方が浸透しているように思える。

長時間労働から短時間で成果を出す働き方へのシフトのためには、不要なことをなるべく切り捨てる能力が必要となる。そのためには、自分の仕事を見つめ直し「何が自分の本質的な仕事なのか」を把握し、それ以外をなるべく削るという発想をしたい。

2「できるだけ要望を受け入れる」から「無意味なことはうまく断る」

1とも関連するが、八方美人的な仕事を良しとすると、いろいろな人から仕事を押し付けられ、本当に自分がやるべき仕事に注力できない。無意味な仕事は勇気を持って「断る」ことが重要だ。

その際のポイントは、「対案を出す」こと。「今はできないが、いつならできる」「全部はできないが、ここまでならできる」などという対案を出すことで、相手の心証を損ねることなく、依頼される仕事を減らすことができる。

3「準備万端で始める」ではなく「とりあえずやって、あとで修正する」

使い古された言い方ではあるが、現代は変化の激しい時代である。準備に時間をかけているうちにビジネスチャンスがなくなってしまうことは多々ある。もちろん、必要な準備はすべきだが、問題となるのは「ミスを過剰に恐れる心理」だ。それが出足の遅さにつながっていないだろうか。

分野にもよるが、とくにネットの世界では比較的修正が効きやすい。「トライ&エラー」を推奨し、「失敗したら修正すればいい」という思いきりの良さをもちたい。

4「ひたすら頑張る」ではなく「人に頼って成果を出す」

人に頼らず、自分一人でコツコツと成果を出す……一見、カッコいいように見えて、実は周りの人間は「私に振ってくれればいいのに」「あの人が残業するせいで自分も帰れない」と思っているかも……。時には思い切って人に頼ってしまおう。そのほうが、成果が出た際に一緒に喜ぶこともできるはずだ。

5「必要なことをやる」ではなく「やりたいことをやる」

「仕事は忍耐」から「やりたいことをやるべき」へのシフトもまた、最近の傾向である。「苦労してこそ一人前になれる」という価値観が間違っているわけではないが、これまでの働き方はその側面ばかりが強調されがちだった。むしろ、やりたいことをやったほうがモチベーション高く仕事に取り組むことができ、成果も出る。

6「会社の事情を押し付ける」のではなく「個人のやりたいことをやらせる」

「やりたいことをやるべき」というシフトは、部下指導に関しても同様だ。いかに会社の方針と、部下のやりたいことを結びつけられるかがカギとなる。

こう言うと「そんなの甘い。俺の若い頃は嫌な仕事も……」と考える人は多いはず。だが、「やりたいことをやってもらう」は甘えではなく、成果を出すための方策だと割り切るべきだ。

7「仕事を通じて学ぶ」だけでなく「仕事以外の場でも学び続ける」

これまで、ビジネスマンの教育は主に企業が担ってきた。だが、OJTや社内研修だけでは、急速に移り変わっていく時代についていくのは至難の業。たとえば、AIやIoTなどに抵抗感を持つ人も、せめてその概念だけは理解しておかなくては生き残れない時代だ。

そのためには仕事を効率化し、勉強の時間を捻出せねばならない。また、好きなことをするからこそ、モチベーション高く効率的な仕事ができる。ここまで紹介してきたことはすべて、相互に繋がっているのだ。

「どっちつかず世代」が真っ先に変わるべき!

現代の30代後半~40代~50代前半くらいのビジネスマンはおそらく、「価値観のはざま」にいる世代だろう。「やるべきときは残業してでも仕事を仕上げるべき」という価値観も、「時間が来たらスパッとやめるべき」という価値観も、どちらも理解できるはずだ。そして、だからこそ「どっちつかず」の働き方になってしまってはいないだろうか。

ここは思い切って意識を切り替えてもらいたい。この世代が変われば、上も下も変わる。すなわち、会社全体が「新しい働き方」に変わり得る。そうなれば、仕事はもっと楽しくなるはずだ。

たとえばその第一歩は、「週に1日、絶対に定時で帰る」でもいいし、「やりたいことについて書かれた本を1冊買う」でもいい。ぜひ一つでも実践してみていただきたい。

THE21編集部(『The 21 online』2018年3月号より)

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