持病保険とは何?
「糖尿病と診断されたのですが…」
「大丈夫ですよ、ご加入できます!」
「よかった!」
こんな内容のテレビC M が年中流れているのをご存知でしょうか?顧客役のモデルさんは50代男性であったり、70代の女性であったりと、保険加入の条件が厳しい人ばかりです。こうした人たちに保険加入の救済策を掲げて設計された商品が「持病保険」または「無選択型保険」といいます。いったいどのような内容になっているのでしょうか?
1.「持病でも入れます」という、カラクリ
生命保険商品を開発するにあたって、保険会社は「数理部」という部署が様々な計算を行います。そもそも、生命保険会社は「利益を出す」ことが至上命題ではありません。株式会社である生命保険会社の場合でも、株主寄りの姿勢で増配を行うことは、経営者でも出来ないのです。生命保険会社は、そもそも利益が出るには20年、25年という時間を要します。それは、一人の契約者が死亡して保険金を支払う(保険事故)事実があって、はじめて保険会社としての使命を果たすことになるからです。
保険に加入する集団を「マス」と呼ぶとしましょう。マスが大きければ大きいほど、様々な年齢層を取込んでいることがわかります。そして、そのマスが一定数集まった段階で「死亡率」が適用できるのです。死亡率は全国民のどの世代が、どの位の割合で死亡するかを計算したものです。医療保険の場合も同じことがいえます。どの世代がどの位この医療保険を「使う事になる」か。利用頻度が低い年齢•性別では「安い保険料」を、その逆は「高い保険料」を設定します。
つまり、保険会社はどの世代が加入しても、公平な保険料で保険に加入できるような仕組みを作っているわけです。ところが、持病がある場合は健康体の加入者と違い、死亡リスクと疾病リスクが高くなります。そのため、一般の健康体加入者よりも『割増保険料』を設定した保険商品を特別に作っています。これが「持病保険」「無選択型保険」のカラクリなのです。
2.持病保険を選ぶポイント
持病保険は、全ての商品に設定されているわけではありません。一部の終身保険や医療保険にのみ商品開発されています。ポイントは、なぜ「保険に加入できなかったか」を考えることです。
もし、日本生命や第一生命で保険に加入できないとすれば、それは「定期保険」「終身保険」「医療保険」などのセット商品になっている可能性があります。特に、死亡保険金が数千万円という商品などは、死亡リスクの高い人は加入できませんが、保険料を一生払い続ける終身保険や医療保険などの場合は、保険金の支払いや手術給付金の支払いリスクがそれほど大きくはありません。
ですから、持病保険の商品は、死亡保険金が500万円程度の終身保険か、終身払いの医療保険に限られます。医療保険に加入する場合は「先進医療特約」などは付けないこと。1日の入院日額は最低でも5000円は欲しいところです。また、損保系のガン保険と生保系の医療保険を比較して、加入するのもよいでしょう。損保系のガン保険は、1入院を60日型に抑えており、その分告知審査の緩い「加入しやすい」商品になっています。場合によっては持病が保険加入に無関係の場合も少なくありません。